代表取締役 中村 淳
設立 | 2006年10月 |
---|---|
事業内容 |
|
会社HP | http://www.tempfrontier.co.jp/profile/ |
就職を決めたのは「仕事を任せてくれそうで、しかも面白そうな会社」だったから
私が就職活動をした年は、ちょうどバブルの絶頂期でした。
その頃は、会社説明会に参加するだけで内定がもらえる会社もあったほどです。
そんな中で私が就職先として決めたのが、
人材派遣会社のテンプスタッフでした。
今でこそ、グループ全体の社員は5,000人を越え、
売り上げ2,500億を誇る会社ですが、
当時は社員数約120人、売り上げは100億ほどでしたし、
そもそも人材派遣というサービスが世の中に浸透しておらず
業界としてもまだ確立していませんでした。
「こういう時代が来るから、初めて新卒を採用します!」
「これから組織を作っていきたい!」
「あなたたちにも任せます!」
会社説明会では、ものすごい情熱を感じました。
そして、その後の面接では、私からこんな質問をしてみました。
「120人の社員で12,000人の派遣さんを
どうやってフォローしているのですか?」
それに対する「みんなで頑張ってるんだよ」という回答に、
この会社は絶対面白い!と感じたわけです(笑)。
本当に色々とチャレンジさせてもらえるだろうと確信し、
新卒の第一期生として入社することを決めました。
時代が時代だったので、大手企業の内定も出ていました。
しかし敢えて当時はまだ世間的には、あまり知られていなかった
テンプスタッフという会社を選んだのは、
仕事を任せてくれそうだと感じたことに加えて、
社長の考え方や人柄が魅力的だったから。
説明会での社長の話には優しさがあふれていて、
期待感も伝わってきたのを、今でも覚えています。
「お客様は神様です」「派遣スタッフはお姫様です」の心意気
入社後の新人研修を経て、配属先の銀座オフィスに出勤すると
私の机の上に名刺が6箱置かれていました。
そして「じゃ、今日はこの地域を回ってきてね」と地図をわたされたのです。
要は飛び込み営業ですが、初日から即実践でした(笑)。
既にスタッフを派遣している会社も教えてもらっていないから
営業に行ったら「もうウチの会社には来てますよ」とか・・・。
そうやって色々な経験をしながら2年ほど過ぎた頃に、
全社をあげて営業促進キャンペーンを考えることになりました。
そこで案として出したのが「10月2日→テンプ→テンプの日」として、
この日を、企業のお客様と派遣スタッフに感謝する日にしよう・・・というもの。
それ以来、勝手ながら10月2日をテンプの日と定め、
心を込めたクッキーを配るなど、感謝の気持ちを伝えてきました。
そして、その頃も現在も、テンプスタッフグループは
お客様と派遣スタッフを大事にする心意気を持ち続けています。
「お客様は神様です」それと「派遣スタッフはお姫様です」、
このコンセプトで、とにかくフォローをしっかりと行って
他社との差別化を図っています。
障害者雇用のためのプロジェクト発足へ
銀座オフィスの次は、大阪でマネージャーを務め、
その後は営業企画や広報、大手町オフィスのマネージャーと、
様々な業務を経て、人事部の採用責任者になりました。
その当時、テンプスタッフでは、障害者雇用数が足りないと
厚生労働省から指摘を受けていました。
いわゆる法定雇用率を満たしていない、と。
しかし、とにかく何とかする必要があったので、
障害者手帳をお持ちの方、百数十人の雇用実現のために
プロジェクトチームを立ち上げました。
障害者雇用では、まずその方々が働く場を作る必要がありますが、
適当な職種や業務内容では長続きしないので、
必然性・継続性がある仕事を考えなければなりません。
色々と話し合う中、弊社グループの特例子会社から出てきたアイディアが、
会社が外注している仕事を内製化するという案でした。
そして、大量に外注している営業のノベルティを
障害を持つ方々に作ってもらおうということになり
横浜に専門の製造部門を設立し、
知的障害者の方々を中心としたスタッフにクッキーを焼いてもらって、
それをノベルティーとして配り始めました。
営業促進キャンペーン時に考えついた「テンプの日」のクッキーといい、
このノベルティー用のクッキーといい、
私は派遣会社で2回もクッキーに関わったことになります(笑)。
求職者と求人企業のニーズを満たすために
前述のような形で障害者雇用に携わった後、
弊社グループの特例子会社にあった事業部門を独立させた形で
「テンプスタッフフロンティア」を設立し、私がその代表となりました。
当社は、障害者手帳を持つ方専門の人材紹介業です。
企業は、従業員の1.8%にあたる障害者を雇用することが
国から義務付けられているため(障害者雇用率制度)、
その障害者雇用率を達成するためにも、
弊社のような障害者専門の人材紹介会社のニーズがあります。
そこで、お仕事を探している求職者の情報と、
人材を探している企業の求人情報をマッチングすることで、
紹介料をいただく・・・というのが当社のビジネスモデルです。
企業と求職者のそれぞれからニーズをヒアリングして、
さらに、単なる情報の伝達に留まらずに
言葉やWEBに出ている以上の情報の提供をしながら
適正なマッチングを行います。
しかし実際には、当社の職業紹介では、
障害者手帳を持つ求職者の全ての方々へ、条件の不一致などで
お仕事がご紹介できない事も多いのも事実です。残念ながら。
行政の就労支援事業への参加で、求職者の受け皿を増やす
そこで当社では、人材紹介事業に加えて、
自治体が行っている障害者就労支援事業の
入札に参加しています。
今までに受託した自治体のプロジェクトとしては、就労支援セミナー、
県などが主催の障害者合同面接会の企画・運営、
特別支援学校生の実習先開拓などが挙げられます。
このような行政の事業への入札は、
当社のインフラやノウハウを生かして
事業に取り込んでいきたいという思いから携わっています。
これは、有料職業紹介ではなかなかお手伝いがしにくい
求職者の方々のためでもあります。
企業側も、障害を持つ方を採用したくても
受け入れる体制作りができていない場合も少なくありません。
そこで国が雇用促進の政策を打ち出しているので、
それを受託し、民間企業としての立場から、支援できればと思っています。
国は、「福祉の受益者も納税者にしていかないと、
福祉の財源は枯渇する」という方向性を出しています。
これは、障害があっても働きたい方、働くことができる方が
しっかりと働く仕組みを作るということです。
当社としても、これから10年先、20年先を見据えて
ビジョンを明確にしつつ、模索もしていかなければいけません。
まずは生活の糧を得るための就労支援。
そして、いずれは生活そのものを支えるための
生活支援も、やっていきたいですね。
そのために、まずは生活のための就労を
しっかりと支えることが当面は大事だと思っています。
学生さんへのメッセージ
こういう時代だからこそ、簡単にあきめないで!ください。
焦らずに、あきらめずに何かを続けること、
しっかりとした考えを持ち続けることは、非常に重要です。
「ダメでもともと」・・・というわけではないですが、
若いうちは、恐れずにどんどん挑戦をしていほしいと思っています。
挑戦のチャンスはいろいろなところに待ち受けていますから
そのチャンスを逃さぬよう気持ちや行動を続けていきましょう。
時にはやめる勇気が必要なこともありますが、
やめるのはいつでもできること。
まずは、今やっていることを、最後までやり抜いて完結させてください。
自分ひとりで決断を下すことが難しければ
友達や先輩、親、先生などに相談すればいいと思います。
周りの人や自分を支えてくれている人が方向を定めて
背中を押してくれることも意外と多いですから。
そのようなことを大事にしていると、仲間も増えます。
成功するための方法は、ただ一つ。
「成功するまでやること」なんです。
仕事でも何でもそう。
途中でやめると負けてしまいますから、
やり遂げるまで走り続けることが大切です。