代表取締役 増田 博美

株式会社グローバルハート 代表取締役 増田 博美

代表取締役 増田 博美

設立 平成12年7月11日
事業内容
  • ビジネス支援
会社HP http://www.globalheart.co.jp/about/index.html

ある人事部長に言われたこと

私が大学生だったころはバブル時代の少し前で、
民間の活力が非常に強くなっている時期でした。
特に金融・証券は勢いがありましたね。
最初は法学部で司法試験を目指していたんですが、
そちらの魅力にひきつけられている面がありました。

あるとき、サークルの後輩のつてで、
とある大きな会社の人事部長の方とお話しする機会を持つことができました。
そのときに「君は取締役とまではいかなくても、
ある程度までは出世できるだろう。でも、一歩会社から出てみて、
自分がどの程度までできるのかを試してみたほうがいいんじゃないか」
というようなことを言われたんです。
人事部長ですから、当然人を見る目はしっかりしています。

社会経験もない、ある意味真っ白な状態で聞いたその人事部長の言葉は私の胸に刻まれ、
その後の指針となりました。

給料は会社じゃない、仕事にあるんだ

大学卒業後は、某大手の証券会社に就職しました。
ここで痛感したのは『仕事とは稼ぐこと』、
『仕事ができるからお給料がもらえるんだ』ということです。
たまに『就職すれば、会社に入ればお給料がもらえる』
と考えている人がいますが、全くの誤解です。
仕事ができて、稼げるからお給料が入るんです。

その意味では、新入社員はお給料をもらいながら
仕事を覚えさせてもらっている。こんなにありがたいことはありません。
基礎作りは厳しかったですし、土日はなく勤務時間も長くスパルタ的な会社でしたが、
私はむしろそれが当然だと思っていましたから、苦しいとはあまり思わなかったですね。

日本社と外資、農耕と狩猟

3~4年働いていると、次第に自分のやりたいことが見えてくるようになりました。
一言で証券会社といっても、日本の会社と外資系の会社では全く違う文化を持っています。
日本の証券会社は組織であり、安定してはいるものの、
サラリーマン的側面が強く、仕事内容が歯車的になる。
外資系の証券会社は個人であり、自分の裁量で仕事ができる自由があるけれど、
自己責任のリスクも伴う。
そこで、私は外資系を選択し、外資系に転職しました。

ところが、転職先の部署が途中で撤退してしまったのです。
そこで仕事内容はそのままに日本社に再就職、
しばらくしてまた外資系に転職しました。
そうしたら、今度は転職先の会社がつぶれてしまった。
外資系の会社というのは狩猟民族的ですから、稼げるときにバーっと稼ぎ、
潮目が悪くなるとサーっと撤退してしまいます。そこに巻き込まれたんですね。

そのときに「会社に所属していると、自分とは関係のないところで人生を左右されてしまう」
ことに気づいたんです。
ならば自分で会社を立ち上げようと考えたのが起業のキッカケといえると思います。

会社とは『人を作る組織』である

松下幸之助は『松下電器は人を作る会社です』と言っています。
また、クラーク博士の有名な言葉に『青年よ大志を抱け』というものがありますが、
これには『大志はお金や名誉のためではなく、人間はいかにあるべきか、
いかに社会に貢献するかを考えるべきだ、そのために大志を抱け』という内容が続いています。

この2つは私の指針です。
会社とは人を利用するものではなく、育てるもの。いかに社会に役立つかを社長、
従業員が一緒になって追求していく会社こそが成功するんです。
私たちは社会に貢献できる人材を育てていきたいという想いを胸に事業に取り組んでいます。

今後の目標としては、やはり上場を目指したいですね。
当社のビジネスモデルは新しい分野の開拓であり、前例もないため、
どう評価されるのかはわかりませんが、
人材を育てる会社としてどんどん認知を広げていきたいです。

若者と壮年は両輪になる

若者には若者の、壮年には壮年の良さがあると思います。
若者はエネルギッシュであり、無鉄砲にチャレンジすることができる。
これは時代を切り開く力です。

対し、壮年には経験という財産があります。
ものやサービスを販売する力とは別に、豊富な経験と、それを伝える力がある。
この2つは車の両輪たりえるんです。

当社では、定年退職者を積極的に雇用しています。
定年退職者はまだまだ元気だし、体力もお金も時間もあります。
そういう人がただ老後のことだけを考えて過ごすのではあまりにももったいない。
そこで、正社員とは違う雇用形態を用意し、
働ける時間、働ける日をフレキシブルに選んでもらっています。

私はこの両輪のバランスをとり、加速するためのハンドルの役目をしていると考えています。

素直の上に肩書きは書くな

若手の人材なら、やはり素直さを求めますね。
素直というのは人の言うことをきちんと理解できる人、
わからなかったら聞ける人のことです。

新卒の若者は経験がなく、真っ白です。そこが強みなんですよ。
なまじ経験があるとその範囲内で凝り固まってしまい、
発想もやることもこじんまりとしてしまうんです。

あと、私は資格を取ることはあまり勧めていません。資格で得られるのは肩書きです。
肩書きで仕事はできません。
それよりも、学生さんにはどんどん人に会ってほしい。これに尽きます。
仕事とはつまるところ人とのつながりですから。

また、事実として、いい人が10人いれば悪い人も10人います。
人を見極め、いい人と付き合っていくことが大切になります。
そのために見る目を磨く。見る目を磨く方法は、とにかくたくさんの人に会うことです。
そして、きちんと挨拶をする。
挨拶は基本中の基本ですが、挨拶はその人の家柄や環境が如実に現れるものです。
たくさんの人と出会い、ちゃんと話ができるようにする。これが一番大切なことです。