代表取締役社長 和泉 佳子

株式会社エターナルボーテ 代表取締役社長 和泉 佳子

代表取締役社長 和泉 佳子

株式会社エターナルボーテ
設立 平成17年3月3日
事業内容
  • 事化粧品、医薬部外品の企画開発、製造、卸及び販売
  • 健康食品、美容機器の企画開発、製造、卸及び販売
  • 自社通信販売事業
  • 各種通信販売事業
会社HP http://www.ebeaute.jp/

学生時代はイベントコンパニオン。女優のスカウトも

高校時代までを山形で過ごし、東京の短大に進学。
短大時代は、イベントコンパニオンのアルバイトをしていました。
景気がいい時代だったので、展示会などのイベントが多く、
アルバイトが忙しくて短大の出席日数はギリギリでした。

当時、ある大企業の受付のアルバイトもしていたのですが、その会社の役員から、
「うちにこないか」と言っていただき、そのまま就職するのもいいな、と思っていました。
それと同時期に、女優にならないかというスカウトを受け、
就職がだめならそれもいいかな、という思いも。

日産ミスフェアレディを経て、憧れの専業主婦に

そんなある日、短大の就職課に日産ミスフェアレディの募集があり、
友人の勧めで応募することに。
1600人の応募者の中から15人の採用でしたが、運よく合格。
日産自動車の顔として、ショールームやモーターショーに出る仕事をしました。

ミスフェアレディになって本当によかったと思うのは、
入社して2ヶ月間、みっちり研修を受けられたことです。
お辞儀の仕方から、座る時の姿勢、言葉遣い、電話応対など、仕事だけでなく、
大人の女性として生活していく上で非常に役立つことを教えていただきました。

どんな仕事でも、いろいろな人とお会いして
コミュニケーションを取らなくてはいけません。どうしたら相手の方に
好印象を持っていただき、心地よく過ごしていただけるかを、体にしみこむほど学びました。
その扉を開いてくれたのが、学生時代のコンパニオンのアルバイトでの経験だったのです。

2年間勤めた後、結婚が決まったため退社し、
しばらく実家に戻って花嫁修業をし、24歳で結婚。
子どもの頃からの憧れだった、専業主婦になりました。

「昔はきれいだったのに」の言葉に一念発起

ミスフェアレディの仕事はとても華やかで、
みんな競い合うようにメイクやおしゃれをして出社していました。
きれいにしていることも仕事のうちだったのです。
しかし私は、結婚した途端にぱったりメイクをしなくなり、
外にも出ず、一日中部屋着のまま、テレビのワイドショーを見るような生活に。
そんな私を見て、主人から「お稽古でも仕事でもいいから、何か外に出てみたら?」と言われました。

ミスフェアレディ時代に知り合った主人は、輝いている私に惹かれたのに、
結婚した途端に怠けているのを見て、「昔はきれいだったのにね」と。
その言葉を聞いて、「これではいけない」と一念発起。
カリスマ美容師の美容院に行ったり、服を買いに行ったり、
しばらく手を抜いていた自分磨きに励むようになりました。

その頃、レポーターやフリーアナウンサーの募集広告をたまたま見て応募し、
その事務所に採用されました。しかし、一つ一つの仕事にオーディションがあり、
コンパニオンのような仕事はいただけても、トークの力がないため、
レポーターの仕事は全く受かりませんでした。
落ち込んで、もう辞めようかと思いつつも、主婦だったので生活に困ることもなく、
週に1回くらい働くという生活が数年間続きました。

夫が設立した会社で『girlsgate.com』を立ち上げ。女性サイトの先駆けに

主人は以前、博報堂に勤務していたのですが、
昔から「30歳になったら独立したい」と言っていました。
そして、30歳を少し過ぎた頃、独立して株式会社イーゲートを設立。
私は全面的に応援し、主人が設立した会社の備品管理や帳簿つけなど、
当初は裏方として手伝いました。

当時はITバブルの初期。
その会社では、女性向けサイトを立ち上げ、運営する事業を行っていました。
主人から、私のようなインターネットビギナーの女性に見てほしいから、
モニターとしてサイトの意見を欲しいと言われました。
その頃のインターネットサイトは、無機質でモノクロ、女性から見ると「難しいもの」というイメージ。
私はファッション誌で育っているので、「もっとカラフルに」「写真を多く」
「モデルやレストラン情報が欲しい」と、感じたことを伝えました。

当時のインターネット業界は男性がリードしていて、
女性が作っているサイトはなかったので、そういった意見はかなり斬新だったようです。
「データが重くなるからダメ」と言われつつも、「そうしないと女性は見ない」と主張し、
素人の意見から作ったのが、『girlsgate.com』です。

「女性目線」「雑誌感覚」の画期的なサイトに大注目

初めはコンテンツが少なかったので、
私の最近お気に入りのものなどを紹介するミニコーナーを作りました。
今でいうブログですが、当時はそういったものは全くありませんでした。
お気に入りのボディローションなどを載せていたら、大反響に。

また、雑誌のように、人気の女性モデルをカバーガールにすることを提案。
しかし、全く無名のベンチャー企業でしたし、
インターネットなんてうさんくさいと言われていた時代。
モデル事務所に出演オファーをしても煙たがられました。
それでも粘り強く交渉し、矢田亜希子さんなど、
当時の名だたる女優や人気モデルの方に出ていただけることに。 

すると、それまでインターネットになじみのなかった、
OLや主婦の方がたくさん見てくださるようになり、女性サイトの先駆けになりました。
それまでのインターネットサイトは文字情報が中心で、
デザインに力を入れたものはありませんでした。
しかし、私は、雑誌と同じようにモデルやスタイリスト、カメラマンを使って、
「雑誌感覚で作りたい」という情熱で作りました。

雑誌やテレビの取材が殺到、会社の広告塔に

交友のあった、アナウンサーの中村江里子さん、君島十和子さん、
人気漫画家の安野モヨコさんなどにも、レギュラーコーナーを持っていただきました。
同性から人気があり、興味を惹かれる、お手本になるような方ばかりだったので、
そのおかげでさらに人気が上がりました。

私は、たくさんの人と出かけたり食事をしたりするのが大好きで、
起業するまでは連日いろいろなところに遊びに出かけていました。
そこで人脈が広がり、知り合った方から助けていただくこともよくあります。
人脈は、学校では教えてもらえない、お金に換えられない大切な財産です。
1999年当時にインターネットでそういうことをしたのは非常に画期的だったので、
雑誌やテレビの取材が殺到。月に10数本の取材を受けました。
私が広告塔のようにメディアに出ていたので、
私が社長だと思っていた方も多かったようです。

しかし、社長である主人が、「これからは女性がリードしていく時代だから、
佳子が表に出るのはとてもいいことだ」と言い、主人が引いてくれたレールの上で、
私の個性や感性を活かして仕事をさせてもらえたことは、
非常にありがたいことだと思っています。

会社売却の苦境から、社長となって新会社を設立

会社設立から5年後、事情があって会社を売却することになりました。
40人ほどいた社員たちとは家族のように仲良くしていたのですが、
経営を明け渡して、主人と私が出ていかなくてはいけないことに。

夫婦二人で立ち上げて育ててきた会社は、我が子のような存在でした。
仕事という感覚ではなく、自分の生活全てだったのです。
だから、会社を譲渡する際は、自分の腕をもぎ取られるような思いでした。

突然、会社も肩書きも仕事も収入も失い、我が家は全くゼロの状態に。
この先どうしていこうかと考えた時、主人が、「佳子が社長になって、
より個性を活かせる仕事をした方がいいのでは」と言いました。
そして、当初、私はあまり気が進まなかったのですが、
私が社長として株式会社エターナルボーテを設立しました。

オリジナルコスメの通販サイトを立ち上げ、新たなスタート

ガールズゲートでは、私がデザインした服やオリジナルで作ったコスメを、
PBブランドで売っていて、非常に好評でした。また、私がメディアに出る機会が増え、
私が使ったコスメなどをガールズゲートで紹介すると、非常に大きな反響がありました。
女優の方のコーナーよりも、私のコーナーが最もページビューが多かったのです。
そこで紹介した商品を、ECサイトとしてワンストップで販売を始め、かなり売れていました。
その延長で、私の感性で作ったものを販売するメーカーを作ろうと考えたのです。

新会社、新サイトを立ち上げると、ガールズゲートのユーザーの多くの方が応援してくださいました。
だから、私は負けてはいられない、絶対に復活するという熱い思いで、
新会社をスタートさせました。この挫折がなければ、それまでと同じように、
なんとなくやってなんとなくうまくいく人生だったでしょう。
今となっては、自分が成長するための貴重な経験だと思っています。

通販の常識を覆す、本物志向と最高のサービスを追求

通販コスメは、安価で品質が低いというようなイメージを持たれがちです。
しかし私は、長く愛用していただける本物志向のものを作りたいのです。
お金を払って使い続けるためには、安心して使えて、
確実に効果を発揮してくれて、お手頃価格であることが必要です。
この三拍子が揃ったものを作ろうと強く思いました。

そして、成分、安全性、使用感にもとことんこだわって、
自信を持ってみなさまにおすすめできる商品ができました。
また、お客様に気持ちよく買っていただけるサービスも大切にしています。
通販とはいっても、「高級ホテルに泊まった時と同じサービス」をスタッフにも徹底し、
お客様が「大切にされている」と感じていただけるように努めています。

きれいになるお手伝いをすることで、女性に幸せを提供したい

私は、ただ物を売るだけの会社にはしたくありません。
当社の商品を購入することによってきれいになれる、きれいになると幸せになれる、
その幸せをお客様に提供するために、今の事業を行っています。
肌の調子がいいと、それだけで女性は幸せになれます。
その幸せをスキンケアから感じていただき
「モチベーションが上がるようなコスメを提案していきたいです。

お客様を招いてイベントやパーティーをすると、
みなさますごくおしゃれをして、全国から集まってくださいます。
これまでの通販でそういうことは少ないですよね。
私は、同じ感性を持つ女性として、コミュニティを広げる場を
みなさまに提供したいと思っています。

今後は、こだわった新商品づくりや、ビューティーセミナーなど、
スキンケアや美容のことを学んでいただく場、楽しんでいただくコミュニティの場も
つくっていきたいと考えています。ただの通販に終わらない、
ソフトの部分をもっと増やしていきたいですね。

座右の銘は「Everyday beauty,Everyday happy」

私の座右の銘は、自分の著書のタイトルにもした
「Everyday beauty,Everyday happy」。
これが、私の生きるテーマです。

女性は家庭に入って人前に出なくなると、
鏡を見ては「ここにシミが、ここにシワが」と、自分に自信が持てなくなってくるもの。
でも、「若かった頃はよかった」とか、過去を振り返るのではなく
「今の私が一番幸せ」と前を向いてほしいのです。そして、女性には、
家庭でも職場でも、太陽のように明るい存在でいていただきたいです。

きれいになることで、女性はいつまでも自分に自信が持て、
輝けて、毎日の生活が楽しくなります。
それだけ、美容は大きなパワーを持っているもの。
だから私は、美容の仕事に非常に誇りを持っています。
きれいになるためのお手伝いやきっかけづくりをすることに、
使命感を持って取り組んでいます。

私は女優でもモデルでもなく、仕事を持つ一人の主婦です。
「佳子さんが、何歳になってこういうふうにいられるなら、私も頑張れるかも」と、
身近でありながら、刺激やきっかけを与えられる存在になるためには、
私自身がみなさまに見ていただけるような存在でないと意味がありません。
だから、自分磨きが私のもう一つの仕事だと思っています。

失敗を恐れず経験し、自分の得意を伸ばすことで道が開ける

就職氷河期といわれる時期が続き、就活生のみなさまは、
本当に頑張っていらっしゃることと、頭が下がる思いでいます。
「そういう時代」といえばそれまでですが、どうか諦めないでください。

私も仕事をしていて、何度も「もうだめだ」と思うことがありました。
でも、諦めたらそこで終わりです。諦めずに続けることは大変ですが、
道を切り開く第一歩になります。私自身、有名大学や有名企業で
キャリアを積んだわけではありません。「新卒でこういう会社に入りたい」と
思い描く夢はあると思いますが、道は一つではないのです。

私は、いろいろな経験や出会いを経て、
今では多くのお客様に喜んでいただける仕事ができています。
学生のみなさまも、仕事に関係ないと思わずに、いろいろなことを経験して、
自分の得意なことや興味のあることを伸ばしてください。
何がきっかけになるかわからないし、そこで誰と出会うかもわかりません。
私は、そうして自分の道を切り開いてきました。
ぜひ、失敗を恐れずに、なんでも経験してください。

個性を磨いて、自分しかできない仕事を作ろう

今は、何か得意なことや個性がないと、本当に仕事が回ってこない時代です。
誰でもいい仕事ではなく、「あなたにやってもらいたい」「あなたでないとだめ」といわれることは、
非常にモチベーションが上がるし、生きている価値や存在意義を感じられる、幸せなことです。

私は、できないことや人から教わることが多いですが、
自分の得意なことや、みんなに伝えたいこと、自慢したいことを持っています。
そういうものがないと、これがだめなら次、また次……と
職を転々とすることになってしまいます。ぜひ、自分の個性を大切にして伸ばしてください。