代表取締役 石井 正宏社長
設立 | 2009年4月 |
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事業内容 |
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会社HP | http://sharecoro.com/ |
交渉、説得の技術を学んだ意外な仕事
今までのキャリアですが、僕は珍しいかもしれませんが工業高校出身です。
しかし高校に来る、工業高校生向けの職業に魅力を感じませんでした。
今思えば、社会に出るまでにちょっとモラトリアムが欲しいな、と思ったのですしょう。
卒業後には美容師の専門学校に通って美容師をしていたこともありました・・。
半年くらいで辞めてしまったんですけど。それからはフリーターをしていました。
最終的なバイト経験は40種類くらいあります。
正社員経験は3社なんですが、とにかくいろんなアルバイトをしながら、
27歳までバンドをずっとやっていたんですね。
そして子供ができたことをきっかけに、真面目に働こうと思って、
たまたまですが訪問販売の仕事を選びました。
主婦に掃除機を売る、という仕事だったのですが、
僕はそこで最短昇進記録を樹立しまして、多分それはいまだに破られていないと思います。
この仕事をきっかけに人に説明する技術ですとか交渉、クロージングの知識などを学びました。
しかし同業者が摘発されて、僕の居た会社にもクレームが来るようになってしまったんですね。
それで、これ以上続けても身に成らないような気がしました。
そんな折、次の仕事を探している中で、
これもまた、たまたま手に取ったファイルに「不登校、引きこもりの生活指導」という言葉があったんです。
当時、「不登校」という言葉は聞いたことがあったのですが「引きこもり」って言葉は初めて聞いたんですよ。
その時は「どういう意味だろう」と。
「引きこもり」の意味も何も知らないで面接を受けに行ったら、
「君が君らしく居てくれたらそれが仕事になる仕事なので、やってみないか」と言われ、そして今の業界に入りました。
起業を選択肢に入れた理由
その仕事を10年続けましたが、その仕事に就く前はで独立なんてこれっぽっちも考えたことはなかったんです。
逆に、尊敬できる人の下で犬のように働きたい、くらいに思っていましたね。
今ウチの会社にいるスタッフのうち2人はそのNPO法人から一緒だったのですが、
良くその職場のことを愚痴ったりしていたんですよ、お互いに。
そのうちに、やりたいことも似ているし、
このまま愚痴りながら過ごすくらいなら一緒にやろうか・・・って流れになって。
そこからいきなりですよね、起業しようと思ったのは。
そしたらもう火がついてしまって、今までとはものの見方がすっかり変わってしまいました。
色んな物事のお金の流れを急に意識し出すようになって、
人との繋がりのこととか色々考え出したらどんどん面白くなってきたんです。
仲の良かった同業者の人たちには「今度独立するんです」と言うようになったのです。
そうしたら皆応援してくれるんですよ。
「石井さんが独立するなら、こういうことも頼めるようになるね」みたいな感じで。
横浜で会社をやることになったのも、
別のNPO法人の人たちが「独立するなら横浜においでよ」って言ってくれたからなんです。
ちなみに今入っているオフィスは、お隣の社長さんに誘って頂いたからです。
そしてうちのWEBデザイナーは僕の昔のバンド仲間、「ハマトリアムカフェ」のプログラムを
作ってくれたのは、その彼のバンド仲間です。
そういう仲間内の力を借りながら、ここまでやって来ましたね。
全てのキャリアが役に立っている
僕は営業をやっていたので引きこもりの子を家から出すような説得や交渉が割りと得意だったんです。
訪問販売をやっていたので家庭の中に入るのも苦にはなりませんでしたし。
寮で支援をしていたのですが、そこから家に逃げ帰ってしまった子たちを
説得して戻ってもらうのものも全部僕の仕事でした。
100%戻って来てもらうことに成功していたんですけど、それも営業で培った力です。
私自身アルバイトを40種類経験していて感じることは、
彼らの社会復帰の第一歩ってアルバイトなんですよね。
「君にはこの仕事向いてないかもしれないよ」とか「君なら絶対出来るよ」といったマッチングも僕は出来るわけです。
美容師もやっていたので、引きこもりで伸びてしまった髪の毛も切ってあげたり。
今までバラバラだった僕のキャリアがこの仕事をすることによって一本に繋がったんです。
引きこもり支援から支援者の支援、そして予防へ
今メインに事業として行っているのは「ハマトリアムカフェ」、
他にも動画の編集、撮影もやらせていただいています。
考え方として私は支援者たちを支援したいと思っています。
100人の引きこもりを支援する1人の支援者を支援したい。
僕たちが1人の家に家庭訪問に行ってスキルを発揮するよりも、
こういうことをしてこの業界にスポットが当たるようにしてあげた方が
よっぽど意味があるんじゃないか、と考えています。
講師業もやっていて、引きこもりやニートの若者たちのため、
「アルバイトから始めようよ!」と言う趣旨の「アル活セミナー」とか、
コミュニケーションセミナー等も開催しています。
また「メモトリーワーク」と言ってメモ取りのコツを伝授したり、
他にも保護者に向けての講演も担当させていただいております。
座右の銘は「見る前に跳べ」
大江健三郎の小説にこういうタイトルの小説があるのですが。
例えばここに崖があったとして、
思い切り助走をつけてジャンプすれば空中にいる間に着地の仕方も考えられるんじゃないかと。
動きながら考えられるってことですよね。
逆に立ち止まって崖の下を見てしまったら足がすくんでジャンプなんか出来なくなってしまうかも知れない。
それなら空中で考えようぜ、っていうところが僕の中にはあります。
そのかわり、出来るだけ高く跳べるように、遠くに跳べるような助走っていうのはしっかり考えます。