代表取締役社長 大竹 幸信

株式会社ウォークスコミュニケーションズ 代表取締役社長 大竹 幸信

代表取締役社長 大竹 幸信

株式会社ウォークスコミュニケーションズ
設立 2005年4月1日
事業内容
  • Webサイト、オンラインショップ、ECに関する企画設計・マーケティング・開発・構築・運営・コンサルティング
  • ECを念頭に置いた企業・事業・商品のブランド開発やデザイン
  • 各種グラフィックデザイン、撮影、映像編集
  • ビューティ用品(ヘアケア、コスメ等)の開発、販売、マーケティング
会社HP http://www.wox.co.jp/

デザインをすること、そして成果報酬の楽しさを学んだ

僕が初めてベンチャーで働いたのは大学1年生の時。
バイトでもインターンでもなくて、固定給0円の
完全成果報酬というものだったんです。
携帯電話を販売していたんですが、当時はPHSが全盛期でしたから
携帯電話はまだまだこれからの時期でした。

仕事としては携帯電話を0円で売り、契約を取るだけで
バックマージンがもらえるといった形でしたね。
考えかたとしては、携帯を「0円で売る」ではなくて、
「プレゼントする」という感じでした。
某青年雑誌の誌上で「1000台携帯電話プレゼント」とか、
そういう企画をした人がその会社の先輩にいまして、
月に1000万円以上の成果を受け取っていたこともありました。
その人の影響は大きかったですね。

当時Windowsが主流だったんですけど、会社の方でMacを使わせてもらい、
そこで色々なチラシの作り方やデザインについて学びました。
ただ、あまり稼げなくて、バイトしていた方がいいんじゃないかってぐらいで。
そういう訳で当時は掛け持ちでバイトもしていましたね。
この最初の仕事を通して、給料をもらうっていうよりは、
成果を出してお金をもらうっていう考え方がすぐに染みついちゃいました。
成果が出なくてお金がもらえなくてもしょうがないな、
っていう考えに18歳で至ったわけです。

だからリスクに対しても怖くなくなったというか、
度胸がついたといか、どうにかなるものだなって。
そういう気持ちでやってると、成果を出すためのスキルをつけることに
どん欲になり、気付いたらフリーでデザインや制作の仕事をもらえるくらいに
なっていました。

自分のスキルだけで仕事をやっていくという覚悟

21歳の時、デジタルハリウッドという専門学校に
大学とダブルスクールという形で通いました。
半年のコースだったんですけど、ここで学んだ事っていうのは、
技術とかはもうテキストよりも僕の方が知っていたぐらいだったんですけど、
ただ人脈がつくれた。
僕と同じように早稲田大学に通いながら、
その専門学校にきている人とかも結構いたんです。
起業したりだとか、フリーのデザイナーとして生きていたりだとか、
色々なタイプの人がここにいて、刺激と人脈をたくさんもらいました。

ここで知り合った、同じように早稲田に通う学生で
起業するという人がいたんです。
僕は興味を持って、一部始終を間近で見させてもらって、
そこで働いたりもして、起業することを身近で学びました。
「すごく簡単に会社ってできるんだな」っていう感想を持ちました。
当時は株式会社をつくるのに1000万円必要だったんですけど、
それだけ用意すれば、後はどうにでもなるなって。
そういうのを見て、僕も起業しました。それが2001年のことです。

今考えると、事業計画書とかめちゃくちゃでした。
事業計画書の中には数字がほとんど書いてなくて、
もうやりたいことしか書いてなく状態で。
これは今でも若い人にありがちな事で、結構陥りやすい罠なんです。
やっぱり数字の書いていない事業計画書っていうのは、どうしようもないです。
絶対失敗します。案の定、僕も大失敗しました。
資金もあっという間に2年ほどで無くなりましたね。
普通に暮らしているとなかなか出来ない貴重な体験をしましたよ。
反省点としては、あまりにも世の中をナメていたな、と。
学生がいきなりこんな事をやっても上手くいく訳がないというのが
よくわかりました。

ただ維持費を減らしたりして倒産は避けられたので、
そのあとは毎日朝4時頃まで仕事したり、ひたすら努力を続け、
だんだんとそれなりの稼ぎは上げられるようになってきました。

転機を迎えて、大きく広がった世界

僕が最初に起業を学んだ社長に、全国イーコマース協議会
(現:財団法人日本電子商取引事業振興財団)という、
最初はまだ50社ほどのサークル的な集まりだったんですけど、
そこの事務局をやってくれって言われて、1人で全て任されて
やることになったんです。
僕は事務局長としてそこに入ったんですけど、
そこから2年間で一気に900社ぐらいに増えたんです。
それでNPO法人化もして、当時日本で一番有名なEC(ネット通販)の
業界団体までに成長しました。
この団体の事務局になったことで、
知識はもちろんそうだし、ネットショップで活躍している
様々な人との人脈もできて、リアルな成功・失敗談も聞けて
すごく仲良くなったりして、それが僕にとって大きな転機になり、
商人的な思考が身に付いていった。

そして2005年に現在の(株)ウォークスコミュニケーションズを
立ち上げました。
当時は自分の会社と事務局長との両方をやっていたのですが、
自分の仕事においてもEC関係の人がどんどん増えて、
いつの間にか仕事もECのものばかりになっていた。

僕に事務局をやらないかって誘ってくれた社長が、
当時その団体の理事長もやっていたんですけど、
その人の会社もECの仕事をやっていて、
お互いに小規模でやっていてもつまらないから、
一緒にEC専門の会社を作ってもう少し大きくやらないかと
誘ってくれたたんです。
それで僕も「じゃあ、やりましょう」って感じで。
それで作ったのが現在の(株)ウォークスコミュニケーションズです。

第二の転機、そして新たな運営スタイルの確立へ

ECサイトっていうのは単発でものを作るのと違って、
ずっと継続的にやっていくもの、育てていくものなんです。
やっていくうちに、どんどん企画もあがってくるし、
売り上げも上がるし、半永久的に育てていくモノ。
なので、どの仕事もずっと継続的に続け行くものになるんですね。
最初に作って終わりっていうのはまず上手くいかないです。
それがECの世界です。
ネット上とはいえ、やはり店舗なので、大事なことは運営なんです。
普通のお店と変わらないです。

その運営していく部分で、依頼側とうちの会社との資金面の
折り合いの中において、成果報酬っていうのは望ましいスタイルなんです。
まともに売上を上げようとすると、とにかくやらなきゃいけないことが
多過ぎて、厳密に見積りを出すとえらくお金がかかる。
それに対して、ECサイトの運営経験が少ない方には、
どこに投資をすべきか判断ができない。
なので、サイトの所有権自体を両者で半々にして、
リスクと決定権の両方を半分預かり、完全に共同でやろうと。
そのスタイルを確立したのが「ヘアケアスタイル」なんです。
これはEC運営のひとつのベストな運営形態で、すごく力も入れやすい。
その分、売る力が求められるから、その力のない会社には真似できない。
参入障壁も高い完全実力主義の世界で、
どっちかが一方的に得をするようなインチキもなくなる。

現在、ECという業界は、やり方によってはまだまだ上手くいく時代です。
僕はヘアケアスタイルと同じ形で、これからは自分のお店を増やしていこうと、
今そっちにシフトをチェンジしているところです。

そして、もう一つ、スポーツという業界に挑戦をしているんです。
テニス用品のお店をやるんですけど、このテニス部門はECの中では
群雄割拠というか、カテゴリーキラーがまだいないんですよね。

今後の目標としては、こういう形で10店舗のお店を持ちたいと思っています。
そして、その10店舗の平均月商を3000万円にしたいと考えています。
そうするとそれだけで年商36億円になるんですよね。
これが一番近い、大きな目標です。

もっとも重要なのは、成長力や人間性

以前、うちがもっと小さな会社だった頃は、
より1人で、スキルもあって、経営者視点を持てる人間を求めていたんです。
でも今これは完全にやめました。
以前は昔の自分みたいな人間を採っていたんですけど、
組織を作るためにはそれじゃダメだということになって。

スキルは当然必要なんですけど、最低限のスキルでもかまわないので、
とにかく成長力や吸収力、それから人間性。
これが最重要だと思うようになりました。

これは学生へのメッセージでもあるんですけど、
昔の僕もすごく自信を持っていたんですよ。
かなり自信を持って、学生ながら時代を先取ったようなところで
色々な事を体験したり、見てきたりして、学生としては
まぁまぁ特殊な経験を積んでいると思うんですけど、
それを以てしても、全然ダメでした。
なかには、順調に上手くいく人もいるでしょうけど、
基本的には、学生がどれだけ力を持ってわかった気になっていようと、
それは社会に出て、いきなり成功するような力ではないんですよね。

自分のやってきた事をアピールするっていうもの
もちろん大事ではあるんですけど、それより人間性とか、
成長力、吸収力やコミュニケーション能力とか、
そういう所をアピールしていった方が絶対良いと思います。
謙虚な方が伸びますし、自信過剰は良くないですね。

僕もまだ経営者としては若いし浅いので、
僕自身も勉強している段階なんですけど、
30代になって、小さな成功を経験しだすと、
はじめは自分が力をつけて、自分でやって、
という風に思っていたんですけど、
今は人を育てる方が楽しくなってきちゃって。
自分の事よりも、うちのスタッフが伸びる事の方が
何よりの喜びになってきて。
それが結局は会社全体が伸びるっていう事にもつながりますしね。

情熱がある人は起業したいなら、起業しちゃえばいいと思います。
あんまり会社には向いていないのかなっていう気もしますし、
多分そういう人はすぐに独立しちゃうんですよね。
ただ僕もそうだったんですけど、フリーランスで
仕事をするのって寂しいんですよね、ずっと1人でやっている状態だし。
だから、組織がものすごく楽しく感じちゃって、
この会社をつくった時も楽しかったです。

もともと独立していて、それなりに成功をおさめていても、
やっぱり1人じゃ無理だなって、みんなで一緒に
会社を盛り上げていきたいなっていう人間がうちの役員にも多いですね。

それと、ベンチャーで働く利点を挙げれば、
主力メンバーとして働けるということです。
大企業のような、研修制度といったものはないけれど、現場で学べるし、
実践的な能力と全体を見渡せる視野が身につく。
こういうのがベンチャーの良さだと思います。

座右の銘

「全ての事には良い面と悪い面がある」

すべてが良いとか悪いとかの二元論だけでは判断できないんです。
絶対的な悪とか、絶対的な正義ってないんですよ。
どんなものにも、どんな人にも、どんなビジネスにも、
考え方にも、あらゆるものに良い所もたくさんあって、
悪い所もたくさんある。それがこの世界の有り様だと思うんです。

良い所を見ようと思えば、絶対に良い所があるんです、どんなものでも。
これはいい、これは悪いって、そういう単純な問題じゃないと思うから。
良い面をみて、メリットをみて、デメリットをみて、
じゃあ今の自分には、それは必要なのかなっていうのを見ていくんです。

これは人間にも言えることなので、ダメな人間っていないんですよ。
逆にどれだけすごいと言われてる人でも、ダメな人でも、
必ずダメな所があるし、良い所もあるんです。
僕自信、コンプレックスもたくさんありますけど、
それが力になったり、モチベーションにもなってくるから。

経営者として

経営者に共通していえることって、
まずその人自身がものすごく個性的で変人であるということ。
例えば、社長というものは、あらゆるリスクに対して
責任を取らないといけない。
そういうのに耐えられる人って、やっぱりどこかおかしいっていうか、
サラリーマンとは全く違う部分があったりする。そういう意味で変人というか。

僕が今まで出会ってきた経営者達っていうのも、みんなすごく個性的で、
どっか変で、そういう人達ばかりでした。
ただ、真剣に何かを良くしようっていう気持ちをすごく持っていて、
上に立つ人間は、自分は個性的であったとしても、
理想とか理論はちゃんとしたものを持ってなきゃいけない。

自分が変人だからこそ、人を差別せず、人の良い所を生かせる能力。
そういう力がものすごく必要だと思うんです。
そういう人じゃないと、上に立っちゃいけないと思う。