村上浩輝

代表 村上浩輝

村上浩輝

創業・設立のきっかけを教えてください。また、村上浩輝様が現在のご決断をされるまでの経緯やきっかけを教えてください。

原点をたどると、小学生の頃にインターネットに触れた経験があります。
世の中にある便利なものは、自然に生まれたのではなく、誰かがつくっている。だったら自分も、使う側ではなく、つくる側に回りたいと思うようになりました。

高校時代には、友人が甲子園で活躍する姿を見て、自分も人生を全力で生き切りたいと感じました。大学ではダンスの舞台やイベントづくりに熱中し、仲間と一つのものをつくる面白さを知りました。就職後は不動産とITの両方に携わりましたが、東日本大震災を経験し、いつかではなく今動かなければならないと考え、2011年にツクルバを共同創業しました。
その後、受託中心の事業からカウカモを軸とするスタートアップへ転換し、2019年に上場しました。2025年には代表を後任へ託しましたが、これは物語を終えるための決断ではありません。自分がもう一度、本気で熱狂できるテーマと向き合い、次の挑戦へ進むための区切りです。

会社を経営する中で、これまでで最も苦労した出来事を教えてください。

最も厳しかったのは、上場直後にコロナ禍が直撃し、事業と組織の両方が大きく揺れた時期です。
上場はゴールではなく、むしろ社会に対する責任が一段重くなるスタートでした。そのタイミングで市場環境が急変し、組織にも混乱が生まれ、共同創業者との別れも経験しました。一人で経営を担う体制に変わり、事業の立て直しと黒字化に向けた改革を進めましたが、数字を整えるだけでは会社は前に進みません。社員、顧客、株主など、立場の異なる人たちに対して、何を守り、何を変えるのかを自分の言葉で説明し続ける必要がありました。

振り返れば、難しかったのは正解を見つけることよりも、簡単には答えの出ない状況で決断を止めないことでした。同時に、経営者として求められる姿を演じるうち、自分の言葉や情熱が薄れていたことにも気づきました。
会社の再建と自分自身の立て直しを、同時に迫られた時期だったと思います。

会社を経営する中で、意識していること・心掛けていることを教えてください。

経営で大切にしてきたのは、ビジネスモデルや制度だけでなく、それを動かす組織のカルチャーをつくることです。

仕組みが整っていても、働く人が会社の目的を自分事として捉えていなければ、組織は強くなりません。経営者が何を大切にし、何に時間を使い、どこまで本気で取り組んでいるのか。その姿勢は、想像以上に社内へ伝わります。
だからこそ、言葉を掲げるだけで終わらせず、自分が最も強く体現することを意識してきました。ただ、カルチャーは一度決めれば完成するものでもありません。人数や事業の段階が変われば、曖昧だった言葉を具体化し、判断の基準を更新する必要があります。

もう一つ心掛けているのは、WILL、CAN、MUSTの重なりを広げることです。
やりたいことだけでも、できることだけでも、社会から求められることだけでも続きません。この三つが交わる場所を探し、そこへ人と力を集めることが経営者の役割だと考えています。

村上浩輝様ご自身の強みや性格を教えてください。

私の強みは、目の前の環境に合わせるだけでなく、必要であれば前提そのものを変えられるところだと思います。
創業当初の受託事業は黒字でした。それでも、より多くの人が使うサービスをつくるという目的に届かないと判断し、会社の形をスタートアップへ切り替えました。うまくいっているものを手放すのは簡単ではありません。

しかし、過去の成功にしがみつくよりも、今の目的に合っているかを考える性格です。一方で、何でも一人で完結させたいタイプではありません。
大学時代に舞台づくりへ打ち込んだ頃から、個人で目立つことより、チームで大きなものをつくることに面白さを感じてきました。熱量は高い方ですが、勢いだけで進まないよう、心は熱く、判断は冷静に保つことも意識しています。

また、自分の成功体験を疑い、学び直すことを恐れません。自分の考えを変えないことより、目的に対して正しく変わり続ける方が大切だと思っています。

社会や業界に対して、またはステークホルダーの皆様に対して、伝えたい想いや発信したいことを教えてください。

会社は、短期的な数字だけで価値が決まる金融商品ではないと思っています。そこには、顧客の生活があり、社員の仕事があり、長い時間をかけて育ててきた文化があります。
もちろん、事業である以上、利益を出し続ける責任から逃げることはできません。ただし、四半期の成果だけを追い、会社が本来つくりたかった未来を見失えば、持続的な成長にはつながりません。

不動産についても同じです。住まいは高額で、人生を大きく左右するものですが、一度持ったら生涯変えてはいけないものではありません。仕事や家族、価値観が変われば、住まい方も変わっていい。中古住宅の流通をより滑らかにし、一人ひとりが自分らしい選択をしやすい社会をつくることには、まだ大きな可能性があります。

ステークホルダーの皆様とは、短期的な利害だけでなく、何を次の時代へ残すのかという長い目線を共有したいと考えています。

村上浩輝様の今後の展望について教えてください。

これからは、時間軸を長く持って次の挑戦を考えていきます。

代表を退いた直後は、周囲から一区切りついたように見られることもありました。しかし、私自身は、会社を立ち上げ、上場させたところで、自分の物語が完結したとは思っていません。
むしろ、経営者として結果を求められる中で置き去りにしてきた、自分は何に心から熱狂できるのかという問いに、改めて向き合う機会だと捉えています。

私のキャリアは、リーマンショックの影響を受けて最初の会社を離れたところから始まりました。その経験や、不動産業界で出会った先人たちの志は、自分の中に残っています。誰かから正式に託されたわけではありませんが、自分なりに受け取ったバトンだと思っています。
焦って新しい肩書や事業をつくるのではなく、長い時間をかけて社会へ大きな価値を残せるテーマを選びたい。そのうえで、もう一度、起業家として勝負します。

その他、掲載したい内容やPR等がございましたらご自由にご記入ください。

これまで、空間デザインやコワーキングスペースの運営から始まり、中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム「カウカモ」の立ち上げ、上場企業の経営まで、さまざまな経験を重ねてきました。

もちろん、順調なことばかりではありません。リーマンショックや事業転換、経営体制の変更、コロナ禍での組織の混乱、そして代表退任。苦しい局面もありましたが、その一つひとつが、次の判断を支える経験になっています。

自分が立ち上げに携わったカウカモも、いまでは物件探しからリノベーションの設計・施工までを一体で支える「カウカモ工務店」や、都心の邸宅を中心に物件探しから空間づくりまで伴走する「SUITE by cowcamo」へと領域を広げています。住まいを単に売買するのではなく、その人らしい暮らしをどう形にするか。立ち上げ当時に描いていた考え方が、新しいサービスとして発展していることをうれしく感じています。

私が一貫して関心を持っているのは、人が集まり、関係性が生まれ、そこから一人ではつくれない価値が立ち上がる瞬間です。まだ事業名や計画を大きく語る段階ではありませんが、これまで培ってきた不動産、テクノロジー、デザイン、組織づくりの経験を、次の社会的な価値につなげていきたいと思っています。

過去の肩書や実績だけに頼るのではなく、これから何を生み出すのか。その中身で、もう一度評価される存在を目指します。

《 株式会社ツクルバ ファウンダー 村上浩輝 》