取締役社長 小宮山 大

株式会社MAXISホールディングス 取締役社長 小宮山 大

取締役社長 小宮山 大

株式会社MAXISホールディングス
設立 平成5年9月2日
事業内容
  • 教育事業
  • 新規事業開発
会社HP http://www.maxis.ne.jp/

「公教育より民間教育だ」と実感

学生時代は色々なアルバイトをしていて、その一つが明光義塾の講師でした。
私は人気講師でした。
授業はやらないし、宿題も出さないから。
アルバイト講師だから「仕事」という実感がなかったんですね。

その頃は学校の先生になること、いわゆる「公教育」を目指していました。
ところが、やはり学校教育には限界があって、マニュアル主義で閉鎖的。
職員室も暗い。「これは夢がない」と感じました。
一方、塾ではダメ講師だったけれど、生徒の人生を変えられると
感じることが何度かあったんです。
子どもたちの目が変わる瞬間を間近で見て、やはり民間教育だと思いました。

しかし明光義塾に就職する気はなく、専務から誘われても断っていました。

民間教育に希望を見出し、明光義塾に入社

そうやって就職は断っていたものの、
大学4年の時にはFC本部で行われた一週間の社員研修に参加しました。
その研修にはキャリアを積んだ方もいましたし、
とにかく皆モチベーションが高かったんです。
「就職するかどうか迷ってるんです。」なんて絶対に言えない雰囲気(笑)。
しかしその研修で、明光義塾の理念や考え方が初めて理解できました。
明光義塾の今の状況は、本来の理念とは違うのだ、と感じました。
そして、「この現状は自分で変えられる」とも思ったんです。
その時の私は、他の参加者に比べて冷めていましたし、明光義塾に対して
斜めに見ていた部分もあったので、
客観的に考えることができたのかもしれません。
しかし研修の後も、公教育か民間教育かという迷いが多少はありました。
しかし最終的には、当時の専務から言われた
「民間教育で、子どもたちをしっかり伸ばせ」という言葉で入社を決めました。

民間教育は閉鎖的でもなく、マニュアルもないのだから
自分がやりたい教育を伸び伸びとやりなさい。
専務のこの言葉が後押しをしてくれました。

当時、MAXISの社員は10数人で、新卒入社は私だけ。
周りは一流大学を出た人ばかりなのに、
私は経験も知識も能力もないから、バカにされましたよ。
悔しくて、絶対に見返してやろうと、がむしゃらに働きました。
本当に死ぬ気で。
実は入社した時に、3年で結果が出なかったら辞めると決めていました。
そのかわり、3年間はやり切ろうと。

教室の楽しさを子どもたちに、仕事の楽しさを社員たちに伝えたい!

3年が経ったら、全国で約1500ある教室の中で、
売り上げがトップになっていました。
その頃から、私の中で変化が出てきたんです。

自分の教室では、皆が楽しく勉強をしているのに、
他の教室では成績が上がらない、
つまらないという理由で明光義塾をやめていく子がいる。
本当はとても楽しい塾なのに、そんな子どもたちが
かわいそうで仕方なかったんですよ。
それで、他の教室も見るために以前から話のあった
エリアマネージャーになることを引き受けました。

入社4年目には、社長、専務に次いで事実上ナンバー3でしたが、
出世をしたいと思ったことは全くありません。むしろ嫌でしたね。
役職に就くために、この仕事をしているんじゃない、と。
しかし、楽しい塾なのにやめてしまう現状をなんとかしたくなったんです。
それと、社員たちに関しても同じ。
この仕事は楽しいし、やりがいがあるのに、それを感じないまま
辞めていく社員がいる。
だから、私と同じ考えの社員を、もっと作りたいと思いました。

自分が抱くビジョンを実現するために退職、そして起業へ

エリアマネージャーから部長になった頃には、
会社は右肩上がりの急成長で、売上げを伸ばしていました。
しかし会社のビジョンが明確ではなかったから、
社員のモチベーションが上がってこない。
それで、この先5年10年と会社が続くのか、不安になってきたんですね。
その頃の私は、どうやったら会社がまとまるのか、
理念がどれだけ大切なのかといったことをかなり勉強していました。
だから、私が考えている理想の会社を作ろうと思い、辞表を提出したんです。

もちろん引き止められました。社員も泣いてくれて…。
しかし私の決意が変わらなかったため、
最後に会長と面談をすることになりました。
私は絶対に辞めるつもりでしたが、
会長だって絶対に止めるだろうと覚悟して。

ところが面談冒頭の会長の一言が、「お前、会社を辞めちまえ」ですよ。
「あれ?」と思いました。なんで止めないの?って(笑)。
そして次の言葉が、「MAXISでお前の好きな会社をつくれ」
それで「分かりました」と了承したのが、
グループ会社MAXISアソシアを起業したきっかけです。

起業時は、パソコンを買うお金もなかったため、
「パソコン持ち込み可の人」という条件で4人を採用(笑)。
まずはデザインをやりました。
そしてもともと人材業界に携わりたかったので、
人材とデザインを融合するような仕事も始めたんです。
採用関連のツールやHP、設計、映像などで、
私もテレアポをやって、提案に出かけたりしましたが、
なかなか売上げを上げることは難しかったですね。

しかし1年半ほど頑張っている間に、今のアソシアの中核メンバーが
入ってきたりして、何とか業績も上がってきました。

人材業界というのは、厳しい業界です。
景気の波もあるし、スピード感もある。それに比べると
教育はスピードが遅い。
だからアソシアでの経験は、非常に勉強になりました。

理念経営をモットーに、社員のモチベーションアップを目指す

アソシアを立ち上げて2年ほど経った頃、
明光義塾の社長退任に伴って、古巣に戻りました。

私は理念を実現する経営をしたかったので、大胆な人事も行いました。
それで「小宮山にはついていけない」と
2割ほどの社員が辞めていきましたが、
それでも私は、とにかく理念を大切にしたかったんです。

現在は、楽しい教室経営が実現できています。
楽しい教室じゃないと生徒は絶対に増えませんし、
楽しいからこそ成績がアップするんです。
その点では、他社との差別化も図っています。
例えば、劇団四季にお願いして、生徒たちのために
オリジナルの「キャッツ」をやってもらったり、
その他にも、サッカー選手との関わりの中で夢を実現する姿を
近くで感じてもらえるよう、サッカーチームのスポンサーにもなりました。

社員に対しては、やりたいと考えていることをかなえてあげたいですね。
そのような会社を目指しています。
「こんなことでも大丈夫かな」ということを言ってほしい。
もっと創造しないとダメ。仕事はクリエイティブじゃないと。
だから、自分が好きなこと、子どもたちが喜ぶことを、
どんどんやっていけばいいんです。
そういう社員のモチベーションが大事だと思っています。

学生へのメッセージ

「良い会社」とは、なんだろうと考えてほしい。
規模や知名度などが、「良い会社」の尺度ではないと、私は思います。
そのような考え方で会社を選んだとすると、
将来、壁にぶち当たって、「あれ?」ということになる。

だからそんな表面的なものに惑わされることなく、
本当に自分が好きなことは何だろうと考えながら、
仕事を選んでほしいと思いますね。