代表取締役 山下 智弘

代表取締役 山下 智弘

設立 2010年4月
事業内容
    • 住宅デザイン・リノベーション
会社HP http://www.renoveru.jp/

ラグビーの道を諦めて

私の大学時代は、ラグビーに明け暮れた4年間でした。
学業のことはほとんど頭になかったですね。
大学からも離れオーストラリアに渡って現地のクラブでプレーしていた時期もありました。

卒業後も社会人ラグビーのクラブでラグビーを続けるつもりだったため、
就職活動時は、どんな企業に入るかということは、あまり深く考えておらず、
上位リーグでラグビーをやっている会社に入りました。

ところが入社して活動し始めてすぐに、
社会人のレベルの差に愕然とすることになりました。
これはもう無理だ、レギュラーにはなれないということが分かって、
ラグビー選手の道はすっぱり諦めてしまいました。

建築業界で抱いた疑問

クラブを辞めてからはゼネコンに勤める先輩の誘いを受け、
建設現場で日当のアルバイトをしていました。
そして、この先輩に薦められてその会社の面接を受け、
たまたま入社できたことが、建設業界に入るきっかけになります。

入社当時はマンション企画部に配属され、
建設地用の土地を買い上げる仕事をしていました。
複雑な思いをたくさんした仕事場でしたね。
なかでも、自分が交渉して思い出深い土地を譲っていただいたお婆さんが、
完成したマンションを見て涙を流して悲しんでいる様子は、
懸命に成し遂げたプロジェクトの充実感ではなく、ただただ後悔だけが残り、
今でも私の心に重く残っています。

この経験があってから、仕事に疑問を抱くようになり、
そして「今の日本の住環境を、人を悲しませないような形に変えたい!」
という思いのもと、さまざまな方法を模索するようになったのです。
まだ使える建物ならばそれを活かすことができるのではないか、
という考えるようになり、
いまのビジネスモデルである「リノベーション事業」の構想づくりが始まりました。

方向性が定まってからは、小さなデザイン事務所に転職し、
勉強を3年ほどしてから、28歳で初めて起業しました。
店舗や住宅のデザイン事務所として出発し、数年続けていたのですが、
よりリノベーションに焦点を当てたビジネスをということで、
2010年に設立したのがこの会社になります。

リノベーションって何?

以前のデザイン事務所では、
人の心に刺さるように「とがった」サービスを提供していました。
しかし、とがっている分だけ、その考えに刺さる人の数は必然的に少なくなるわけです。
それでは「日本の住環境を変えたい」という、私の当初からの目的は叶えられません。
そこで弊社の立ち上げ時からの方針として、
「とんがらせる部分をたくさん作る」ことを強く意識しています。
リノベーションという、まだ日本に馴染みの薄い世界のプラットフォームとして、
より多くの人に見てもらえるサービスにしていくつもりです。

「リノベーション」と「リフォーム」の違いは何かとよく訊かれるのですが、
「リフォーム」は建物の経年劣化した部分を取り換え、
綺麗な元の状態に戻すという行為だとすれば、
「リノベーション」は建物の構造のみを残し、すべてを取り払い一から部屋を造ります。
給排水管などの表面からは見えないインフラ部分も新しくして、
機能を刷新し、価値を上げていくという行為となります。

現在は新しい物件を次々建てられる時代でもなくなっていますし、
そんななかで中古物件+リノベーションで、
自分のライフスタイルにあった暮らしを支える弊社のようなビジネスは、
これからの時代もっと必要になってくるんじゃないでしょうか。

業界を盛り上げるために必要なことは?

リノベーションは以前に比べて世の中にも浸透してきましたが、
そうはいっても、業界自体がまだまだニッチな需要に留まっているわけです。
だからこの業界全体を盛り上げていくことは、
これからの自分の大きな仕事だと思っています。
現在、リノベーション住宅推進協議会という業界団体の理事も務めていて、
皆で一丸となってリノベーションを広めていっているところです。

今、協議会には全国の400社が加盟しています。
400というと結構あるようにも聞こえるかもしれませんが、
不動産会社の総数が5万件ともいわれているので、
まだまだ不動産業界のなかではパイが小さいです。

だから今は、この分野に対する認知度、信頼度を上げていくために、
協議会が主催して行っている事業者向けセミナーや、
お客様向けの説明会といったさまざまな催しも積極的に開いています。
現在、弊社は全国8か所にショールームを構えているので、
各地で弊社主催のイベントも毎週行っています。

新卒社員に教えたい「リノベる。バリュー」

新卒採用は2015年度から始めています。
ずっと始めたいと思っていたのですが、
今年やっとスタートラインに立てたというところですね。

リノベる。の経営理念は「ヒーローをたくさん作る」です。
そして、そのためにスタッフが持つべきマインドを
「リノベる。バリュー」という31項目にまとめました。
代表的なものは「明るいバカ」「感謝の気持ち」「謙虚さ」ですが、
これらは、お客様やパートナー企業の方々にヒーローになっていただくために、
それ以前に自分たちがヒーローのような活躍をしていくために、
大切にしていかなければならない、と思っています。

今年から、3か国に営業所をオープンし、海外展開も進めていくので、
海外で働きたいという方も将来活躍できる職場だと思います。
そして関連して、リノベーションの「職人」も作っていこうと考えています。
後継者不足に悩む建設業界を支える職人の成り手を育成するんです。
内装の工事は、特別な技術が必要なわけではないのですが、
「リノベるワーカー」のような肩書をブランディングして
基本的な仕事や弊社の考え方も身に着けてもらったうえで、
どんどん海外に出て仕事をしてもらいたいという計画でいます。

頑張らない、自分の好きなようにやる

よくフェイスブックで学生さんから進路の相談を受けることがあります。
私はそういう学生の皆さんに対して、
何より「仕事を好きになる」ことを心がけてほしい、と言いたいですね。
皆さん、何かにつけて「頑張る」という言葉を掲げたがるんですが、
頑張ることを目標にすることにはそもそも無理があります。
ダイエットを一瞬頑張っても、そのうちリバウンドしてしまいますよね。
それと同じで、気合を入れて一生頑張り続けるということは誰にもできません。

だから結局は、自分が好きなように、
好きなこと、得意なことを見つけて続けていくしかないと思うわけです。
特別好きなことがないという人でも、
自分にとっての「楽しさ」は仕事をするなかで発見していくことができます。
私自身、先輩の伝手でこの業界に入ったので、
自分が就職活動をして選んだ仕事ではないのですが、
昔から今までこの仕事が楽しいと思っていますし、好きだから続けていられるんです。
そういう心構えで進んでいけば、自然に結果もついてくるんじゃないかな、と思います。