代表取締役社長 室賀康

代表取締役社長 室賀康

設立 2009年1月8日
事業内容
    • ベリーベリースープ直営店・テストキッチンの運営
    • 冷凍スープ及びレトルトスープの開発・販売
    • 飲食店・レストラン向けスープメニュー開発支援
    • 手話オペレーションカフェ(サインカフェ)の開発・指導
会社HP http://www.soup-innovation.co.jp/

JAをやめ、好きなことができる職場へ

学生時代の私はとにかく安定志向が強い人間でした。
定年まで安心して働けて、比較的良い給料をもらって暮らしていける。
それに加えて仕事も過酷ではない、こんな条件だけで就職先を探していました。
結局地元長野県のJA共済連県本部で、保険システムを扱う部門に就職したのですが、
ここも大きな組織のなかの安定した仕事場ですよね。

実際の職場環境も、ほぼ毎日定時に帰ることができましたし給料面でも高待遇で、
安定が欲しい身からすればこれ以上の職場はありませんでした。
にもかかわらず、勤めはじめて程なくして気づいてしまったんです。
自分の職場選びが間違っていたんじゃないかということに。

つまり、一言でいって仕事がすべて受け身だったんですよね(笑)。
学生時代に学んできた情報工学(ソフトウェア開発分野)を
しっかりと活かせる職場ではあったものの
その仕事が決して直感的に好きな分野ではなかったんです。
働き始めてしばらく経ったときに、
自分は待遇面だけで安易に仕事を選んだけれど
自分のやりたい仕事という条件では全然考えていなかったなと反省しました。
とはいえ良い職場でしたし、
続けていれば気も変わるかもしれないと思ってしばらくは勤めていたのですが、
やはりこの仕事を60歳まで続けるのは厳しい
という気持ちが強くなって、3年後に別の仕事に移ることに決めました。

飲食業界での日々

では、自分が一番好きな仕事は何なんだろうなと考えたときに、
それがすぐにイメージできる分野が飲食業でした。
大学時代は外食のアルバイトに明け暮れていましたし、
それからずっと飲食業者的な思考回路が体に染みついていたのです。
プライベートでご飯を食べに行っても、
このピーク時に提供速度は何分だったなとか、このサラダの盛り付けは素晴らしいとか(笑)、
そういう部分にばかり目が向いていました。

そういう性分もあって、
飲食業界に移った当初から、ただホールやキッチンで働くのではなく、
将来自分で起業して店の経営者になることを目指していました。

店長/SV時代、勤務先のお店では結構泥臭い方法で業績を伸ばしていましたね。
本来は午後12時までの営業なのに、夜中の2時3時まで営業時間を強引に延長したり。
社員なのに自腹を切ってチラシを印刷してバラまいたり。
とにかく数字を作るために根性で働いていたんです。
そういう経営では会社の実力が育たないので、
現在、弊社の社員にはそのような仕事の仕方をしないように言っていますが。
そんな風にいくつかの企業で働かせてもらった後に、
いよいよ自分の会社を立ち上げたのが30歳の頃でした。

スープ業界について徹底勉強

「ベリーベリースープ」はスープ専門のファストフード店というコンセプトですが、
最初はもっと一般的な洋食レストランを開こうと思っていました。
しかし、それでは結局ありきたりになってしまうんですよね。
そういうお店を私が今更出したところで、
既存のお店の長年積み重ねられた知恵には追いつけないだろうと。
そんななかでいわば、業界の隙間を探していたのですが、
以前いた会社で同僚の女性が毎日持参していた
某スープチェーンのテイクアウトスープがヒントになって、
最終的にこういう方向の店を出そうと決断しました。

「スープでいこう」と決めてからは、
会社で働いて資金を貯めながら、スープについての研究と店の計画づくりに力を注ぎました。
私自身は調理師免許を持っていない料理素人です。
だから本屋で売っているスープに関する資料は全部買い占めて、
徹底的に勉強していきましたね。
レシピもあれこれ試行錯誤し、開店の段階で50メニューは貯まっていました。

他社に引けをとらない具だくさんスープ


開店当初お出ししていたのが、
50種類のレシピのうち
ビーフシチュー、酸辣湯、スンドゥブ、ミネストローネの4つだけだったのですが、
現在は16種類に増えています。
これは、当初実現できなかった作り置きできないようなタイプのスープも
提供できるノウハウが蓄積されてきたおかげです。

開店にあたっては、同業他社のこともすごく研究しました。
もともと数社しかない分野ではあるのですが、
そのなかで注目したのが、どのお店でも共通して「具だくさん」を謳っていることでした。
それを意識して、「具だくさん」では他社に引けをとらないようにしていこう、
ということが弊社の最初からのコンセプトでした。
スープの具材のゴロゴロ感は、弊社の強みにもなっています。
実際に、かなり大きな具材を入れているので、
お客様にはスプーンと一緒にフォークも併用して食べて頂いているんです。
他社は基本的にスプーンで提供しているので、この部分も珍しいところですね。

スープに特化した総合商社を目指す


現在の一番大きな目標は、
2038年の段階で国内2000店舗、世界で10000店舗の企業に成長していることです。
今から25年後のビジョンということで、
弊社ではこれを「クオーターセンチュリー計画」と名付けています。

もっと近くの目標でいうと、15店舗分の新規FC契約を年内に確保すること。
現在28店舗ですので、40店舗体制を年度末に向けて作っていくつもりです。
契約もここ最近順調に決まっているので、実現できるだろうと思います。
それからもちろん、海外への出店も考えています。 
現段階では保留しているのですが、いくつかの国から積極的なお話を頂いています。

今のところ、売上の大半はフランチャイズ店舗での利益なのですが、
構想としては今後物販商品にも力を入れたり、他社サービスのスープメニュー請負開発、
「スープ料理教室」「スープスペシャリスト検定」のような各種教育事業への参入、
海外スープの輸入業への参入、というようにさまざまな方向性を考えています。
ポイントは、とにかくスープにこだわること。
スープに関わることはすべて扱う、というくらいの、
「スープの総合商社」になりたいです。

定年まで働けるベンチャー企業に


弊社の入社試験は、
「5年後、10年後、20年後、30年後の自分の姿」
を書いてもらうという形式にしています。
向上心の強い人、責任感がある人を求めていますので、
将来像をはっきり考えているかどうかを確認したいんです。
弊社は社員の考えをすぐ事業に反映させますから、
その将来像は会社の方針にも直結します。
海外事業部を今しっかり進めていこうと決めたのも、
5年後には海外事業を仕切りたいという人が今年の新入社員で何人かいたからです。

このように、5年後や25年後といったビジョンを私が話し、
社員に対しても喚起するのは、
逆に言うと、それまで会社を存続させなければいけない、
という意識になってもらうためでもあります。
いい加減なその場しのぎの経営をしない、という意味を込めています。
ベンチャー企業ですので収支基盤がまだ弱いため急成長も当然に図りながら、
しかし社員には自分で築いた大好きな事業で定年まで働いてもらいたい。
全社員が定年退職を目標にするベンチャー企業は、少し珍しいかもしれません。

私は社長として、安心して年をとっても働ける会社にしていこう
という気持ちを皆で共有していきたいんです。
ベンチャー企業なのに安定というのもちぐはぐに聞こえるかもしれませんが、
自分自身が作った事業で定年まで安定して働く、というイメージが持てる人には、
ぜひ私たちと一緒に働いて欲しいです。