代表取締役社長 川本聖子

代表取締役社長 川本聖子

設立 2005年11月1日
事業内容
    • メディアコンテンツ事業
会社HP http://pakureserve.co.jp/index.html

大企業からベンチャーへの転職で感じた「経営との距離感の違い」

かつては外資系企業でSEをしていました。
多忙な日々の中、仕事には熱心に向き合っていましたが、
何万人もの社員を抱える大組織であったがゆえ、
自分のやっていることが「誰の、何の役に立っているのか?」
ということは実感しにくかったです。

そんな中、創業間もないモバイルメディア運営ベンチャーに勤めていた友人から誘われ、
私も同じ会社へ転職することを決めました。

入社後は、大企業とベンチャー企業の違いに驚くことの連続。
例えば、社長と社員が同じフロアで働いて一緒にランチに出たり、
経営陣の事業に対する想いを直接聞ける機会が日常的にあるなど、
圧倒的な経営との距離感の近さを感じました。

また、大企業時代は、数十億円単位のプロジェクトが当たり前に動いていましたが、
ベンチャーでは極端に言えば、語られる金額の単位が数百円単位。
月額315円の着メロサイトに何人入ってもらえるか?」といった会話が交わされます。
そういった等身大の数字で表現できる地に足が着いた事業が、
自分の手のひらから生まれていく“リアル感”を味わえました。
私自身は、ベンチャーのほうが「働くことの楽しさ」がダイレクトに感じられました。

中間管理職に戻り、「社長がやりたい」想いが高まった

その後、会社は10社近い子会社を持つまでに順調に成長し、
私は子会社の一つで社長を勤めるチャンスを得ました。
社長業に奮闘していましたが、グループ企業全体の再編に伴って子会社を一斉に整理する事になり、
私は本社の経営企画室に戻りました。

本社に戻って自分が見られる範囲は広がったにも関わらず、
そのとき感じたのは、やはり「社長がやりたい」ということ。
トップとして経営に携わっていた身から、
大きな組織の中間管理職に戻り、正直心が踊らない自分がいました。

組織の大小に拘らずとも、やはり経営者でありたい。
そのような想いがどんどん強くなっていたところに、
以前からの知人で現在の会社の創業者である廣田から、
「社長をやってみないか?」と声をかけてもらいました。

このような経緯で2012年、パクレゼルヴの代表取締役社長に就任。
変化に対応できる熱心で向上意欲のあるスタッフが揃っていたため、
創業者でない私でも、スムーズに参画することができました。

楽しく働くことの大切さ

私の実家は学習塾を経営していました。
父親が事業を興し、成長させていく姿を幼い頃から見ているうちに、
ベンチャー経営者がどのようなものかを何となく感じとっていた気がします。
ただ、それ以上に大事なことを実家の学習塾経営を通じて学びました。
それは、「楽しく働くことの大切さ」です。

塾に来る子どもたちを見ていると、
「何のために勉強するのか?」ということを本人が理解できておらず、
まるで大人になりたがっていないように感じられることもありました。
でも彼ら、彼女らに一言
「勉強して先生になったら楽しいよ。私は今、楽しいよ。」と話すと、
「じゃあ頑張ろう!」と様子が変わるんです。
このような経験から、「大人が楽しく働くことこそが、子供に夢を与える」と知りました。

その後、ベンチャー企業と出会い、自分自身の成長を日々実感する中で、
私は成長こそが最大の喜びである事を知りました。
そして、私が思っていたことを実現する方法論が見つかったと思えました。

「自分の成長と会社の成長をシンクロして働ける人を増やす」
そんなベンチャー経営こそ、
私が昔から抱いていた「楽しく働く大人を増やす」という目標を実現できる最高の手段だったのです。

経営者として、目指す組織の姿

大企業では、思った以上に言われたことしかできませんでした。
規模が大き過ぎて、全体を把握することが困難だったからです。
当時身についた組織論や普遍的なマネジメント手法は今でも大いに役立っていますが、
大企業は、私には性に合いませんでした。

現職に着任して1年が経った今、
「社員の一人一人が成長を実感し、楽しむことができる組織を作りたい」と考えています。
未来のある若い社員にとって、最も大きな報酬は目の前の金銭的報酬ではなく、
むしろ、その報酬を得られるようになった自分の成長。
社員一人ひとりが成長し、その成長を実感できる会社にしたいです。

当社では「人材の質=サービスの質、人材の質=企業の質」
と考えているため、社員教育には常に力を入れていますし、その姿勢を社員に伝えています。

また、私がファシリテーターとなって、
定期的に会社の状況を社員に伝える機会も設けています。
数字もできる限り「見える化」することで、社員には当事者意識を持ってもらいます。
当社は本当にオープンな社風。
各個人の給与以外は、ほぼ隠さず公開できていると思います。

現在の事業と今後のビジョン

現在、事業のメインはモバイルに特化した「メディアコンテンツ事業」。
具体的には「女性向け恋愛ゲーム」と「男性向け不良ゲーム」の2軸に注力しています。
どちらも日本独自の文化なので、今後、海外マーケットにも進出できる余地は大いにあると考えています。

海外展開以外にも、モバイルメディアコンテンツ事業は日々のハードウェアの進化に伴う環境変化が激しい事業。
例えば、今後普及するインターネットテレビや、カーナビのインターネット接続などで、
求められるコンテンツは変化、多様化していきます。

変化し続ける環境において、大切なのは「まずトライしてみる」という姿勢。
そのため、この業界では、根拠のない自信や楽天的な性格も大事です。
時代の変化を楽しみながら先手を打てるスタッフ、
貪欲に思考できるスタッフを増やしていきたいです。

チャンスを掴める場所を見つけることが、夢への第一歩

若い皆さんのために、チャンスを掴むための方法をアドバイスするとしたら、
よく海外で言われる「スポンサー(チャンスをくれる人)」と「メンター(アドバイスをくれる人)」を
見つけることが重要だと思います。

同期の仲間ももちろん大切ですが、自分とは違うレイヤーにいる人で、
自分にチャンスをくれるような人、有益なアドバイスをくれる人を見つけてみてください。

そういう意味で、ベンチャー企業に勤めるのはプラスになるはずです。
横の規模が小さい分、縦のつながりが深いのが、ベンチャー企業の特徴だからです。

私自身、社員数わずか数十人でスタートしたベンチャー企業で、
経営者に近いところで仕事ができたことは大きかったです。
小さな組織だったからこそ、私にもチャンスが巡って来て、経営者になることができました。
その「たまたま」のチャンスを掴み、我武者羅に、様々な人にアドバイスをもらいながら何とかやって来た結果、
ここまで続けてこれました。
ですから、皆さんにも、チャンスを掴める場所を頑張って見つけてほしいと思います。