代表取締役 デミルタシュ オスマン
設立 | 2011年1月5日 |
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事業内容 |
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会社HP | http://www.tahatrading.jp/ |
日本に来たのは、自分の会社をやりたいから。
―起業を頭に思い浮かべないままサラリーマン人生を過ごす人が大半の中で、社長はどうして起業をされたのでしょうか?
日本に来る前の流れは色々あったのですが、最終的に日本で住みたい理由・仕事したい理由というのは、
いずれ自分の仕事をやりたいと思ったからです。
挑戦したかったのです。トルコにいると、普通のサラリーマンになる感じだったので、
そうではなく、日本に来て何年か経験して、いいタイミングで起業しようと思っていました。
―どうして日本だったんですか?
たまたまですね。大学の制度や授業の9割が英語で、第2希望は自由に選べるという中で、
たまたま日本語を勉強しようと思っていました。
トルコ語と日本語は発音も似ており、交換留学できるチャンスもありましたし。
なにより1年目の成績がひどく(笑)、卒業までに「これやりました!」と言いたかったので、
とにかく日本語をちゃんと喋ろうと決意しました。
トルコで3年間勉強しながら日本人観光客にトルコの敷物を売るというバイトをしていたので、
日本人との関わり・コミュニケーション場があり、
交換留学で1年間早稲田大学いた時も、カルチャーショック的な事もなく楽しく過ごせました。
その後トルコに1度戻って大学を卒業してから、日本に戻り、2006年12月ゼンショーに就職しました。
今しかない!
―ゼンショーではどのようなお仕事を?
最初はマネージメントトレーニングプログラムみたいなことをさせられる予定だったのですが、
1年ほど研修した後経営本部に異動し、連結管理会計だとかグループ会社の面倒をみたり、アメリカの子会社を担当していました。
―経営本部では、2007年から4年位ですか?
4年弱ぐらいですね。
―そこで働いているうちに、起業という選択が?
起業するアイディアが本格化したのは2009年の4月位。
トルコにいる友人がきっかけで、ゼンショーにいた別のトルコ人と共同経営という形でスタートしました。
といっても、1年半くらい話し合いばかりでなかなか進まなかったのですが、
相手はすでに会社を辞め、私の退職を待っていた感じですね。
私もいいタイミングを待っていたんです。当時結婚をしていて、
なかなかそういうリスクを取るのは難しかったのもあって。
そんな中2011年6月にゼンショーから異動のオファーがあり、
具体的には言えませんが、ゼンショーに一生貢献するか、夢を捨てるかという内容でした。
―悪い話ではなかったんですね?
かなりいい話だったので迷っていましたし、家族や目上の人にも色々相談したんですけど、
まだ若かったですし、いつもタイミングタイミングって待っていたけれど、じゃあもう今がタイミングだろうと。
商品への強みと自信。
―ちなみに2011年6月って、おいくつの時ですか?
当時は30歳です。
―お若いですね。それで、夢の方を取ってゼンショーを辞められたと。
そうですね。結局会社辞めたのは8月末位で、今の会社は9月からスタートしたという感じですね。
―御社のビジネスモデルの脱毛シート、トルコではすごいシェアを占めているそうですね。日本とトルコでの市場はどうなのでしょうか?
そうですね。友人はそのメーカーのオーナーで、実はアイディアが出た時やりたかったことは、
バストを大きくするクリームだったんです。
トルコではそれがある程度流行っていて、その生産もその友人だったので。
悩みのないトルコ人でも売れるんだったら、日本ではバカ売れじゃないかって(笑)
でも、日本での脱毛シートの市場はかなり小さく、除毛剤全体250億円の内脱毛シートは10億円程度なんです。
日本は剃刀の国なので。
トルコでの剃刀と脱毛シートの市場は、日本の逆と思っていただければ。
そのうちワックス系が9割くらいになります。
慎重なリサーチとシュミレーション、そして現実。
―どうして日本の狭い市場でやってみようと思ったのでしょうか?
リサーチしてみると、除毛剤の市場は縮小している中で脱毛シートは横ばいしているのです。
その中で商品には自信があったので、そこをうまくやれば市場を活性化できると思いました。
また、本来やりたいことのプレマーケティングとして市場やルートを広げておけば、
次に持ってくる商品も持っていきやすいとも思いましたので。
また、商品の強み・自信もあり、脱毛シートでいえば競合会社も大手イギリス1社と、
日本大手企業1社位だったので。そういところでスタートしました。
―リサーチしてスタートして、シュミレーションと現実はどうでしたか?
当初の目的はそんなに高くなかったのですが、小売店さんの評価・反応は良く、
最初は中堅企業と取引できるようになりました。
その流れで大手卸会社と取引できるようになり、またその繋がりで、
違う分野の強いトップ会社とも取引できるようになり、3ヶ月で全国ルートができました。
失敗は成功のもとである。
―トントン拍子以上ですね。
そうなんです。ですが、3月から実際動きだすと想像と違って、苦労しました。
社会はそんなに甘くなかったんです。
最初の目標は越えたけれど、マーケットが広がった時に行けると思った高い目標には達しませんでした。
それでも1年間経験して、まだまだ小さいけれどブランドの知名度は上がってきていますし、
小売店にも評価されてきています。
1年目はすでに「あるもの」のデザインを変えて展開して、そこで反省点があり、
それを踏まえて今年3月からは日本限定商品を2品作りました。
ある程度市場も開拓できたということで、脱毛シートのプライベートブランドを2社に提供することができました。
―脱毛シート自体はそれほど高価ではないと思うのですが、御社にはどれだけの利益があるのですか?
そんなにありません。というのも、PRにかける予算があまりないので、
小売店や卸業者に高いマージンを設定をしている為です。
とりあえず商品を置いてもらい、知名度や市場を拡大し、
今後のプライベートブランドシェアの安定性・収益性をあげていけるようにするのが、
現段階での脱毛シートへの期待です。
そして未来へ…三つの鍵があれば、企業は成功する。
―脱毛シートで市場を広げ、プライベートブランドを展開して行くことが御社の今後の目的・理想ということですね?
そうですね、それはそれで。
会社のビジネス目的・理念は、”トルコと日本の架け橋”です。
トルコの製品を日本向けに企画段階から日本の消費者の特性に合わせて販売すること。
現在、トルコの伝統薬草をコンセプトとした新しいブランドの立ち上げ準備をしていまして、
それをメインでやっていきたいと思っています。
「自然派」という市場も広がってきていますので、
昔から使用されているトルコの特産品を使用している化粧品を、メインにしていきたいと考えています。
―では最後に、学生や起業をしたいと思っている人に対して、先輩としてアドバイスをお願いします。
色々経験してきて、起業するには3点あれば成功につながると思います。
1つは「信用できる商品・サービス」があること、
2つは「市場を把握して、顧客の理想を把握して、それをきちんと企画すること」、
そして3つ目は、やはり「努力」ですね。
この3点がきちんと揃えば成功につながります。