代表取締役 鈴木慶太
設立 | 2009年9月 |
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事業内容 |
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会社HP | http://www.kaien-lab.com/ |
大企業に絞った就職活動
前職はNHKのアナウンサーでした。
そこから考えると、現在、会社を営んでいることは畑違いだと思われるかもしれません。
しかし、アナウンサーの方が、私の経歴の中でちょっと特殊なんですね。
元々経済学部出身ですし、むしろ経済や経営といった方が自分のフィールドだと考えています。
小さい頃も今も、経営者向きの性格ではないです。
何かを知る事、勉強することは好きでした。
進路を決める時期になり、母から言われたのは、あなたは人に興味がないから、
人の役に立つ弁護士や医者はやめなさいと。
父親はエンジニアで、大変なのは分かっていたので理系には行きたくない。といった
消去法で考えていったときに残ったのが、経済学部でした。
大学の授業のうち、特に面白かったのがマーケティング。
その教授のアシスタントがMBA取得者で、将来性が明確に見えていなかった当時の私にとって、
大学院にも行けて、給料もいいMBAという資格は、かなり魅力的に思えました。
そこで、業界や業種にとらわれず、
とりあえずMBAを取得させてくれそうな大企業に絞って就職活動を始めたのです。
息子の発達障害
ではなぜアナウンサーになったのか。
結論から言うと、就職活動がつまらなかったんですね。
いくつか内定をもらいましたが、何かが違うと感じていました。
そんな中、アナウンサーは面白そうだと思ったんです。
元々、器用貧乏というか、そつなく何でもこなせてしまうタイプでしたし、
何をやってもある程度できる自信がありました。
自分自身を模索している時期でもあったので、
今までの自分の志向と違うことをしてみようと思ったんです。
結果、アナウンサーは6年間続けました。
今考えると、NHKで身についた「マスに訴えかける際のツボ」のようなものが、
現在の仕事をする上ではプラスになっていると思います。
その後、MBA取得を本格的に考え始め、NHK退社と留学を決意。
さあいよいよ留学という時になって、息子の発達障害がわかりました。
もちろんショックでしたし、早く気付いてあげれなかった自分を責めたりもしました。
でも、この事がすぐにMBAでの勉強や起業の原動力に繋がったわけではないんです。
実は、英語が大の苦手である私にとって、MBAでの1年目はとてもハードなものでした。
2年目、このままだらだらと続けては意味がないと感じ、
何か自分の研究テーマを持とうと考えたんです。
その時に頭に浮かんだのが息子のこと。
発達障害とビジネスを結びつけるプロジェクトを自身の研究テーマにしました。
起業の経緯
研究を進めるうち、デンマークのスペシャリスタナという会社に行き当たりました。
発達障害者の個性を生かした雇用を生み出し、顧客はマイクロソフトなどの大手、
しかも1年目から黒字という会社です。
驚きましたし、研究を進める励みもになりました。
それで、雇用という視点から、発達障害者とビジネスの関係を見出していこうと決めたんです。
その研究が運良く、クラスやビジネスコンペティションで高評価を受けました。
実はこの時点でも、起業といった気持ちは全くありませんでした。
ただ、周りは「え?起業するんでしょ?」といった雰囲気だったので、
自分からというより、むしろ周りに後押しされての起業でしたね。
アメリカには起業家に敬意を払う文化がありますし、
起業の価値観がとても自由なんです。
日本のように、起業するならIT分野が一番とか、
何か新しい事をしなきゃ、などといった固定観念がありません。
ごぐごく普通のビジネスでも、お金をまわしていけることが一番の条件。
職業の一つとして、起業家という選択肢があるのもうなづけます。
その雰囲気に触れていたからこそ、自分にもできそうだと感じられたのだと思います。
2009年、31歳での起業でした。
全国展開への想い
MBAでのこのプロジェクトは10人程のグループで行っていたものでしたし、
先生方の協力もありました。
でも、日本に帰ってきて、本格的な起業ということになった時、手伝ってくれたのは数人でした。
起業するときは皆、成功のストーリーしか描かないものなので、
目の前の課題を見過ごしてしまいがちです。
でも何かあった時、自分が追いつめられた時、最後まで一緒に戦ってくれる人が必要なんですね。
そんな時に頭に浮かんだのが、以前から交友のあった戦略系コンサルタントでした。
今も、共同創業者として名前を連ねてもらっています。
1年目はあまり儲けは出せませんでしたが、今年2013年になって従業員数も増え、
少しずつプロジェクトが会社としての形になってきた事を実感しています。
MBA留学時、「3年たてば周りに知ってもらえる」という話を聴いたことがあったのですが、
本当にその通りになりつつあります。
優秀なスタッフさえ集まれば全国展開もできると考えていますし、
していかなければならないとも考えています。
会社としての核
当社の強みは、就業者のサポート方法や
教育法などの専門知識やノウハウ、つまりは無形財産です。
そういった意味で、他社に容易に真似されることもありませんので、
今現在は当社の独壇場に近いですね。
会社として成功するには、会社の核を持っている事が重要だと思います。
全てお受けしますではなく、これはやります、これはしませんの選り分けができる事。
自分たちが得意な事、出来る事の核をはっきり見せないと
サービスの質も落てしまいますし、進むべき方向もブレてしまいます。
「28(ニッパチ)の法則」とよく言いますが、
問題のうちの2を解決すれば残りの8は大体解決します。
だからその2が何なのか、核はどこなのか、を常に探すように心がけています。
求める人物像
当社のプログラムを全国に広めていくためにも、優秀な人材の確保は最優先課題です。
現在、子ども向けのサービスも立ち上げているのですが、
その事業部のリーダーは19歳の人間に任せています。
優秀で、当社の理念に共感できる人でありさえすれば、年齢は関係ないです。
ただし、全体で見ると現在は中途採用が中心です。
人事や組織マネジメントの経験がある人材が活躍しやすい業界だからです。
当社で働いていくには、経営感覚が必要です。
発達障害の方の就業支援というと、「それは悪いことだ」という人はいません。
ただ、立ち位置として福祉に近くなりすぎてしまうと、ビジネス色が薄くなります。
もちろん、福祉的な想いも大切ですが、
当社の事業をちゃんとビジネスとして捉えられる人でなければ、入社後に苦労すると思います。
当社のプロジェクトが福祉事業としてだけではなく、
ビジネスとして広まっていってこそ、社会的な意義が大きい。
そういった想いに共感していただける方と、一緒に会社を大きくしていきたいです。