代表取締役 白井優次
設立 | 2005年12月8日 |
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事業内容 |
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会社HP | http://www.kreis.co.jp/ |
人生のベースである音楽での起業
両親が共働きで、小さい頃に近所の家に預けられる機会が多かったのですが、
預けられた家でピアノに触れたのが、音楽を始めたきっかけです。
以後、ずっと習い事としてピアノを続け、大学は音大に進学しました。
大学に講師として来ていたオペラ歌手の方に、自分の伴奏を
とても気に入っていただき、先生の勧めで指揮を習い始めることとなります。
卒業後も、作曲の基礎となる和声や、指揮法を勉強し、
プロの指揮者になることを夢見て、2年間学びました。
しかし自分の才能に限界を感じ、プロの指揮者への夢を断念。
その後、知人の紹介でホームページ制作会社の立ち上げに関わることとなりました。
取締役として会社の立ち上げに関わる中で、自分でも起業をしたいという気持ちが
だんだん強くなっていきました。
もともと、子どもの頃から学級委員などを率先してやっていたせいか、
雇われる側よりも、自分で何か始めるというほうに魅力を感じていました。
それならばと、自分の人生のベースになっていた音楽で起業することを決意しました。
起業当時、冠婚葬祭やパーティなど、細切れで発生する音楽のニーズと、
音楽家たちをマッチングさせる事業を展開する企業はそこまで多くありませんでした。
そこで、現在の音楽家派遣事業を始めました。
かたちのないものだからこそ、正当な評価を
わたし自身が音楽家を目指していたこともあり、事業を展開するにあたり、
音楽家たちの立場は常に意識しています。
プロの音楽家たちをスタッフとして集めている以上、彼らの能力をきちんと評価し、
適正な価格で受注するというのが、当社の経営理念です。
音楽は実態のないもののため、正当な評価を得ることがなかなか難しく、
ほかの音楽事務所の中には、音楽家たちを物のように扱い、
まったく正当な対価を与えていないところも存在します。
いくら価格が安いからといって、演奏に手を抜いてはいけませんし、
そもそも手抜きの音楽には価値がありません。
観客たちの時間をいただき、演奏するのですから、一定の質が求められるのは当然ですし、
その対価も適正なものをいただいて当然だと考えています。
そうした姿勢が評価されているのか、スタッフに関しては、
わたし自らがスカウトするというよりは、彼らから問い合わせがきたり、
ほかのスタッフから紹介を受けたりという場合がほとんどです。
今まで1500件以上の問い合わせがあり、
その中で現在は400名程度の音楽家たちがスタッフとして所属や登録しています。
所属するスタッフの年齢層は幅広く、音大性も数名います。
登録にあたり、事前に彼らの演奏を聴き、実力のある人を選定しているので、
実力があれば若い音楽家たちも積極的に起用しています。
過疎の進む村が、「音楽村」の舞台になる
現在進めている計画としては、町おこしの一環で群馬県の西部に位置する
南牧村という村を音楽村にするというものがあります。
南牧村は高齢者人口の割合が日本一で、限界自治体に指定されている村ですが、
11もの美しい滝があり、自然がたくさん残されています。
自然あふれる村でありながらも、まだ観光地化されていないため、
村の人々はわたしたちの取り組みにとても協力的です。
今は国策として、日本を観光立国にするための取り組みが盛んになっていますので、
観光庁の方にわたしたちの活動を紹介したところ、
町おこしに詳しい人を紹介してもらえるなど、人的なネットワークも整いつつある状態です。
目標としているのは、365日いつでも音楽イベントが開催されている村です。
具体的には、コンサート以外にも、有名なオペラ歌手を招き、
音楽家向けの講習会を開催したり、国際音楽コンクールを開催したりと、
様々な案が持ち上がっています。
自然あふれる場所でプロの演奏に浸ることができるのは、
おそらくこの南牧村だけでしょう。
都会の音楽ホールで聴くよりも、ずっと音楽の世界に浸ることができるので、
音楽家たちにとってはとても魅力的な構想です。
クラシックになじみのない人でも、気軽に来てもらい、
クラシックの魅力を認識してもらえるような
そんな場所にしていきたいというのがわたしの思いです。
音楽の力で人を救いたい
また、今後力を入れていきたいこととして、音楽療法の研究が挙げられます。
東日本大震災以降、新たに軸としている事業です。
震災が起きたとき、受注していた演奏がすべてキャンセルになり、
プロによる生演奏は、極論すると「世の中になくてもいいもの」だということに気付きました。
生きていくうえで、音楽はなくなっても影響はありませんし、
ましてやプロの演奏に対価を支払ってまで聴くという行為は、
こうした事態が起きたとき、二の次になってしまうという現実があります。
しかし、なくてもいいものだから、と甘んじるのではなく、
なくてはならないものへと変えていくための努力が必要であると考えました。
そこで行き着いたのが「音楽療法」でした。
震災発生後、大手企業で音楽療法に関するセミナーを開催したところ、とても喜ばれました。
社員のメンタルヘルス問題で悩む企業は多く、
うつ病などで休職・退職する社員は後を絶たないのが現状です。
そうした社員が増えることで、業務がひっ迫し、
ほかの社員へも影響が出るという悪循環に陥っているのです。
現在、音楽療法は科学的な裏付けが明確になされていませんが、
きちんと研究を重ねればそうした悩みを持つ企業のお役に立つことができます。
震災後、人の絆がとても重視され、日本全体を根本から変えていかなければならないなか、
社会貢献として音楽を役立てていきたいと考えています。
どうせ生きるなら、楽しくいこう
どんなお金持ちでも、どんな貧乏人でも、死は平等に訪れるものです。
わたしは、死ぬ瞬間に「生まれてきてよかった」と思いたいです。
それを考えたとき、やりたいことは絶対に貫くべきでしょう。
生活がありますので、もらえる給料の金額は当然大事だとは思いますが、
人生、すこしでもラクに生きていきたいですし、楽しいのが一番です。
どうせ働くなら、楽しく働けるところに行ってほしいと思います。
難しくひねって考える人が多いですが、私は逃げ道を作っても良いと思います。
たとえ失敗したとしても、自給自足やアルバイトでなんとでもなりますし、生きていけます。
真面目に考えすぎずに、自分の中で逃げ道はつくっていた方がいい。
私自身、就職活動をしなかったにも関わらず、
今は好きなことを仕事にして、毎日楽しく働いています。
せっかく生きているんですから、楽しく生きていきましょう!