代表取締役 竹治 政枝

株式会社トータルプランニングオフィス 代表取締役 竹治 政枝

代表取締役 竹治 政枝

株式会社トータルプランニングオフィス
設立 1990年9月
事業内容
  • 商業施設、アミューズメント施設の企画、立案、制作、コンサルティング
  • ソフト及びシステムのトータルインテグレーション
  • 海外(テーマパーク・アトラクション)の日本へのコンサルティング
  • 演劇の企画、制作、公演
  • アニメーション、ウェブサイト、コマーシャル、出版物の企画、制作、販売
会社HP http://www.tpo-tokyo.co.jp

勉強の為にフリーに転身

新卒で制作系の会社に入社し、チラシやポスター、雑誌の記事などを
作るコピーライターやクリエイティブディレクターとしてキャリアをスタートさせました。
当時はVHSと呼ばれるビデオが世に出始めた頃で、お付き合いしていたクライアントから
商品のチラシや広告と合わせて映像やビデオプロモーションも並列してやってもらえないか
という依頼を頂くようになりました。

ただ、当時は大学や専門学校に行って学ぶ環境も少ない時代で今のように誰でもパソコンで
編集が出来るわけではなく、専門的に出来る人がTVの業界を除くとそういませんでした。
このように映像の仕事を受けるには、自分がやり方を覚えなければならず、映像依頼の声を
受けるうちに、わたし自身も「映像の仕事をするためにも勉強もしたい!」と思い始めました。

しかし、会社としては映像の仕事を応援してくれる環境ではなかったため、
なかなか勝手にはやりづらい。
また、映像の会社に転職したとしても今度は紙での仕事を受ける事が出来なくなるため、
そこでどちらもやれる立場となるため、フリーランスの道を決断しました。

その後、さらにセールスプロモーションの仕事は多様化し、イベントの企画も
依頼されるようになりました。
それには一度、イベント企画を行う会社に籍を置き、勉強させてもらい、
再度、フリーランスに戻りました。

このようにして紙から映像、さらにはイベントというプロモーションに必要なノウハウを
増やす事で、仕事の幅も増えていきました。

組織が必要だったから会社を作った

フリーランスの時代は2年ほど。映像が流行り始めの時代であったため、どこの企業からも
映像に取り組みたいという声が広がり、仕事も増えていきました。
そのうち、とても1人じゃこなせないほどのお話を頂くように。

ただ、せっかく仕事を依頼してくれたのに「出来ません」とお断りする事もしたくない、
一方で、自分がいただいた仕事を他人に振ることも求める制作物が仕上がりにくいので、
行いたくない、そこで私は、自分にいただいた仕事は信頼できるスタッフと
進められるように組織を創り始めます。

このように昔から会社を創りたいと思って起業した訳ではなく、
環境が私に組織を創らせるという形で始まりました。

その後、日本ではテーマパーク全盛期を迎え、テーマパークに関する仕事を頂くようになります。
実はその時の仕事で出会ったのが今の取締役。
彼はそれまでにもテーマパークの仕事をこなしていたため、ノウハウを持っておりました。
その仕事からすぐに組織に加わることはありませんでしたが、この出会いのおかげで後に合流。
これによって、さらに広い分野で仕事をこなせるようになりました。

ニーズごとに対応できる特殊なスタイル

あらゆるジャンルの仕事を会社としては引き受けていますが、弊社の社員はだいたい
2、3人で行っています。
その理由の一つはテーマパークの仕事、映像を作る仕事、イベントを開催する仕事と
全て同じスタッフで対応できないため。
第二に、内部にたくさん人員を抱えてしまったら、運営も大変になってしまうからです。

やはり、制作スタッフは得意とするものが異なるため、分野において担当が異なります。
それ故、プロデュースとディレクションという核のところだけ私達が担当し、あとの部分は
仕事内容に合わせてスタッフを集め、プロジェクトを進めるプロダクション制を用いております。
これは日本では珍しいと思いますが、アメリカではスタンダードなやり方であり、
弊社の特徴でもあります。

また、この特徴は、多くの制作会社さんでは代理店から仕事を受けて制作に
取り掛かる事が多いのですが、弊社は直接、クライアントと付き合うことが多いため、
スタッフを自社で集めて取りかかれるのです。

あらゆる人脈から生まれる新しい発想

新しい発想や取り組みは、私だけではなく、スタッフ達のあらゆる人脈の広がりの中で
自然と出来あがっていきました。

その一例が民話の伝統文化を最先端技術のCGアニメーションで作った際のエピソード。

「もうちょっと分野を広げて、舞台みたいなものにCGを持っていったらどうだろう?」

という発想が、我々にも、CGを制作したスタッフにも頭の中にあり、これらの思いが合致して
CG融合舞台が出来あがりました。

特にCGなど、クリエイティブな仕事をしている人達って“新しいもの好き”
“面白いもの好き”な人が多いというのもあるんでしょう。
いくら企画しても賛同を得られない場合もあれば、すんなり形になっていく場合もあります。
不思議なものですが、こんな特殊な企画は言ってもダメだろうと駄目もとで言ってみたら、
意外にも周りが「それ面白いね」とか「自分も考えてたよ」といった具合に形になってきました。

予期せぬカタチになっていった企画、過去に一度しかトライアル出来なかった企画も
両方とも存在しますが、その時に積み上げたノウハウは今の仕事に目には
見えない形で活きています。

高い日本の技術レベル

今、取り組んでいる企画の一つに中国のアニメーション会社との初となる
日中合同制作のCGアニメーション制作があります。
以前に民話を一緒にやったフランスなどと同様に大変ですが、その過程には
非常に面白い部分もあります。

日本と中国のCG技術のレベルはそれほど変わらないんですが、
何しろ感性がもともと違うため、彼らがそれまで認識したことがないような
絵が出て来たりします。
それを彼らに理解してもらう為に、日本文化の資料や情報を提供しながら
制作を行っています。

また、日本アニメのレベルは皆さんもご存知のように世界で非常に高いため、
今後はその差を埋めていくという作業が
必要かもしれませんが、ただ、以前仕事上でちょっとした繋がりから
大きくなって生まれたこのプロジェクト。
来年中国で映画を封切、再来年日本でオンエアとなりますが、これからも
中国出張をして、いち早く形に出来るよう励んでいきたいと思っています。

日本の伝統文化を残したい

以前、福島限定ですが144話の民話のCGアニメーションを作ったことがあります。
それ以来、伝統文化のような民話や昔話みたいなものは、核家族化や子供達が
おじいちゃんおばあちゃんから聞いていないという状況もあり、段々消えつつあるため、
未来に残していってあげるようなことが出来ないかな?という思いを持ち始めました。

民話には生きていくうえでの知恵だとか“友達と仲良くしよう”“家族を大切にしよう”とか
いろいろな教訓や生きていく術などが凄く詰まってるんですね。
そういった情緒的な部分を大事に未来に繋げていきたいと思うんです。
なぜなら、そのような教訓に触れる機会が少ないせいか、
殺伐とした事件が起こる世の中になっている気がします。

この民話のCG化は語り部さん達も高齢の方々が多く、
お話を採集するのも大変ですが、民話が創られた時代もバラバラであるため、
それぞれの作品に時代構成をしていかなければならないのが、非常に大変でした。

ただ、これだけIT化が進んでしまうと言葉だけでは子供達にイメージが
伝わりにくいと思うので、語り手さんと一緒に絵に残しておくことが
非常に大事なことだと思うため、
福島以外の民話もCG化して伝統文化を残したいと思っています。

「楽しくて面白いことが好き」が今の仕事に活きている

民話やテーマパークの企画をやってきて、子供たちと触れ合う機会が多くあります。
子供達は、柔軟で吸収する能力が凄く高くて、反応も大人みたいに気を遣ってくれません。

「ダメなものはダメ」とストレートに表現するため怖い部分もありますが、
制作者である我々にとっては非常に貴重な意見です。
私自身、何がダメだったのかは深く追及しないタイプですが、次の機会は
こうしてみようとか、新しい発想に活かそうとか、感覚的に捉える際、
非常に重要な情報源となっています。

またわたし自身が大阪出身なので、面白いことに接する機会も多く、昔から楽しいことが好きで、
友達同士でも家族でも自分が言って「おもろないよ、それ」「おもしろいやん」という
日々の習慣が今の発想にも結び付いています。
そのためか、今でももうちょっと面白くするにはどうすれば?と生活の中でも
考えてしまうほどです。

学生へメッセージ

求める人材はとにかく元気がある人ですね。
うちの仕事は定時で帰れる仕事でもありませんし、仕事の内容も毎回違うので、
別の事をやっているから出来ないとかではなく、コントロールしながら
ひとつひとつ面白がって柔軟に取り組んでくれる人じゃないと辛いと思います。

もちろん仕事を抱えすぎて潰れてしまうのも怖いのですが、
あれこれやりたい!知りたい!という元気や熱意さが絶対必要です。
平均より少し元気すぎるくらいのほうが弊社としては良いかもしれないですね。

今、日本も悪い時期で苦労されていると思いますが、やっぱり人間て±0というか、
苦労した分は絶対自分に戻ってくると思います。
特に、人間は経験すれば自信となって残りますから苦労しないで入社した人より
今は苦労するかも知れませんが、その苦労した経験が、この先に何かあった時に
乗り越えられるパワーとなったりりするんじゃないかと思います。

特に東北の学生さんにはかなり辛い経験だとは思うんですが、
逆にいい経験をしていると思って前向きに頑張ってもらいたいと思います。