代表取締役社長 田代 宗雄

株式会社ウェッジホールディングス 代表取締役社長 田代 宗雄

代表取締役社長 田代 宗雄

株式会社ウェッジホールディングス
設立 2001年10月
事業内容
  • 投資育成事業
  • ファイナンス事業
  • コンテンツ事業
  • 物販事業
  • 小売・ゲーム・出版 (国内事業部)
会社HP http://www.wedge-hd.com/

演劇に熱中し、海外へ目を向けた学生時代

大学に入学してすぐ演劇サークルに入部しました。
当時は、学生演劇でも客席100名の劇場が満席になるほど、
劇団が流行っていた時代だったのです。

ところが、入部3か月で仲間たちと独立して別サークルを立ち上げることに。
理由は、私自身が「常に新しいことに挑戦したい」、
現状に満足できないタイプだったことです。

大学3年のころには「今度は海外を知りたい!」という想いが沸き始め、
まず最初にヨーロッパに旅行をしました。
最初に思いついた国がイギリスだったのですが、
強烈なカルチャーショックを受けると言うよりは
「自分たちが見えている世界は狭い」と感じたことが、
その後の行動に繋がっていきました。

それは、日本だけの限られたルールや大学の仲間だけに収まっていたのでは
知りえない新しい発見であり、今までとは常識が変わる経験をすることでした。

日本に帰国後、4年生から1年間休学することを決めて、
東南アジアやアメリカに、バックパッカーで旅をしていました。
当然、就職活動も1年間しない状態でしたが、
私自身の就職活動の方向性も決めていない中で「これだ!」と選択することが、
私にはできませんでした。

それは、何かを選択するということは、何かを捨てることです。
正直、そのときは捨てることが怖かったですし、決定までには迷いも出ます。
何より「これがやりたい」がない状態で決めてしまうことが嫌だったんです。

会社選びの基準は「新しいことに挑戦できること」

帰国後、明確に目標が決まっていた訳ではありませんでした。
ですが自分がする仕事を考える上では、
自分が知らない世界に行ってみて初めて道が開けると
思えるようになっていました。

色々なめぐり合わせで道は開けていくのだから、
何も満点の就職に悩むのではなく、色々な企業を受けてみようと決めました。
企業回りをするなかで、大規模なサラリーマン的な会社には自分は興味がなく、むしろベンチャー企業の方が私に合っていると、意識するようにないりました。

結局、当時学生の自分ができることなど限られています。
「これが出来るから、それを仕事にしよう」と考えても限りがあります。
会社選びも、「新しいことに挑戦できそうな会社」を選んだ結果、
人材サービスのパソナに入社をしました。

当時のパソナは、まだ上場もしていませんでしたし、
まだあまり認知されていなかった人材派遣という新しい産業の中で、
新規事業に意欲的な一風変わった企業でした。

入社1年目は、既存の人材派遣ビジネスで営業を担当していたのですが、
入社から半年ぐらいたったころ
ITシステムを活用した新しい営業活動をできないかと思い、
当時はまだ珍しかったお客様向けのメールマガジンを通じた営業活動を
社内提案して自分で立ち上げていました。
それが転機になったのでしょう。
2年目からはITを使ったアウトソーシング事業立上げのため、
新設の子会社に異動となりました。

パソナと比べても、立ち上がったばかりの事業は、全くゼロからのスタートでした。
商売の形がはっきりと決まっていない中、自分でお客様を探して、
その要望を如何に実現し、企画設計して採算を考えて
ビジネスにしていくか考える仕事は非常に重要な経験になりました。
営業から初め、赤字部門の立て直し業務など様々経験した後、
新卒で入社して5年後には経営企画部のマネージャー職まで担当したのですが、
30歳を目前にまた「新しいことに挑戦したい」と思うようになりました。
当時まだベンチャーから上場した直後だったソフトウェア会社、
ワークスアプリケーションズに入社をしました。

ステージの異なるベンチャー企業を経験して

ワークスアプリケーションズで、営業として5年間働きましたが、
自分ではイケる!と思っていた営業としては、
他の営業のような売り方がなかなかできず、
1年半全く製品を売れなくて苦労しました。

初めて、受注したのが、実は1年前から取り組んだ新製品でだったのですが、
新製品だけに売り方は他の営業とは違ったやり方でできたと思います。
これ以降4か月で6件の契約を取ることに成功しました。
新製品立ち上げが成功し、「売れない営業」から一転して社内で賞をもらったりもしました。
人からみると波に乗る状態というのでしょうが、実際やってきた自分としては、
それまでの積み上げの成果がたまたま一時に形となったという方がしっくりくるんです。
ですから、自分なりの営業スタイルで製品が売れたことで、
自信にもなり会社内での立場を得ることにもなりました。
社会人になってから自然な流れで選択し、仕事の場を変えた結果、
私は同じベンチャーでも非上場の大手や、新会社のスタートアップ、
上場直後の成長企業など、ステージの違うベンチャー企業を経験できました。
企業の様々な面を経験でき今につながっていると思っています。

その後、大学時代に演劇サークルで一緒に活動していた友人から、
「東南アジアの投資グループのメンバーとして、証券会社を新規日本で立ち上げるので一緒にやらないか?」
と声をかけられたことで、友人を手伝いたくなり転職をしました。
今度はまた新規の立ち上げで、東京に社員はひとりもいません。
最初の仕事は東京事務所開設。当時は自分は営業だと思っており、
社長をすることになるなんて思ってもいませんでした。
ところが、不思議なもので、入社すると直後にウェッジホールディングスの買収が決定。
本来の仕事にとりかかる前に、
買収前の大赤字だった会社の経営立直しプランを考える手伝いをすることになったところ、
流れで「お前が役員をやってくれ!」と言われて、経営に加わることなりました。
いきなり経営者の立場となり悪戦苦闘はしましたが、
翌年になんとか経営改善にめどがついてきたころ、
当時の社長が辞めることになり、後を引き継いで社長に就任しました。

現状に満足せず、自分も変わっていく

何とか初年度で会社は黒字転換し、私が社長に就任してから4年で海外に拡大を進めた結果、
現在当社グループ全体の売上は2倍近くに伸び、その7割は海外事業、
東南アジアのタイ、シンガポールを中心とした企業グループになっています。
現在のビジネスの中心は、バイクの割賦販売を中心としたタイのファイナンス事業になっています。
東南アジアは、ある意味10年~15年前の日本であり、
経済成長のストーリをなぞっていますから、
今後広がっていくマーケットの中で、日本での経験を活かして
形にしていくことをテーマにしています。

一方、国内向けには、少子高齢化など時代に合わせたマーケットを対象に
事業をシフトさせています。
この数年は大きな変化が続き、社員の目からみても
数年前からはまったく違った会社の姿になってきたことかと思います。

またさらにこの半年ほど前、再び会社の経営体制も大きく変わったところです。
新たな経営陣を迎えることになり、
もともと私に転職を誘ってくれた友人である此下氏が当社の会長になりました。
会社の戦力も上がり、友人と一緒に仕事ができる機会が増えたことをうれしく思っています。
此下氏とは大学時代からの不思議な縁ですが、
実は今までに同じ組織内で仕事したことが一度もありませんでした。
新たな変化は大きな刺激にもなります。
これを機に、私自身もこれまでできていなかったことを振り返り、
次のステージに向けて変わっていく時期にあると思っています。

就職は多数の選択のうちのほんのひとつ

就職活動を懸命に頑張る皆さんに、アドバイスをするならば
「そんなに深刻になる話ではない」ということでしょうか。
皆さんは、当然企業で働いた経験が少ないでしょうから、
新卒で正社員としてひとつの職業を選ぶことは、今後の何年間、
もしかしたら一生を決めてしまうと思いがちです。
もちろん、新卒の就職は大きな選択ですし、その選択は多くの人にとって、
人生に大きな影響を与えるでしょう。

ただ、そこはひとつの始まりであって、その後どういう仕事の仕方をするか、
あるいはそこで得たもので次に何を選択するか、人生は就職から先も選択の連続です。
新卒の就職活動はそのうちのたったひとつに過ぎません。
今は就職した会社の都合で人生がほぼ決まっていくという時代ではないでしょう。
また、私がそうだったように結局本当のところは仕事を始めないとわからないものです。
皆さんは、その就職の機会に出会うまでいろんな選択をしてきて今の自分があるのですし、
選んだ仕事をすばらしい人生につなげるかは、
その後の本人のいくつもの選択によるところがほとんどだと思うのです。

私自身もたまたま何度か職場をかえ、新しい会社に入るという経験をしてきますが、
「なんとかいい転職をしなくては!」と意気込んだことありません。
いろんな幸運に恵まれもしましたが、たまたま得られた環境で自分で選んだものがあり、
それがあったから「次のステップのために必要」だと
感じるような機会がやってきたのだと感じてます。

たとえば、新卒で入社したパソナは、ベンチャー企業的な社風の中、
とても面白い仕事をさせてもらいました。
ただ新卒の1年目にそれまでの営業と異なった方法もあるんじゃないか、
ITを使った営業方法を自分で企画し実行していたことがきっかけで、
自然と別の事業に移ったり、転職したり、
当時の同期とは異なった仕事をする機会につながっています。

私のキャリアの全ては今から見ると結果論であり、後から見てつながったこと。
正直まだこれからどうなるかも自分ではわかりません。
そのときそのときで意欲を持てることに取り組み選択することで、機会が訪れ、
私自身の道が開けたと思っています。
実は急に経営者になった際にも、何とか社長業が務まってきたのはその前に仕事をしながら、
ビジネススクールに通っているころ得た知識が役に立っています。
いつかは経営をやってみたいと思って、自分なりに選んいたのですね。

就職活動はさまざまな企業を知り、そこで働く方の色々な話を聞いたりや、
面接を通じて自分を見直したりと、いろんな発見があることかと思います。
あまり深刻にならず、ぜひこのときを楽しんで、よい出会いを見つけてください。
皆さんが充実した就職活動を経験をした上で、この仕事をしてもいいかな、
と気楽に思える機会が訪れることを願っています。