取締役 松宮優紀子

取締役 松宮優紀子

取締役 松宮優紀子

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社
設立 2007年2月13日
事業内容
    • インターネットを利用した広告配信代理業、情報提供サービス業
    • インターネット関連のシステム開発
    • インターネット関連のセミナーおよびイベント事業
    • 出版業
会社HP https://agilemedia.jp/

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社を創業した経緯を教えてください。

アジャイルメディア・ネットワークの設立は、2007年です。
2000年代は、日本でブログが登場し、個人が世の中にたいして情報発信する手段が持てるようになった時代です。

「ブロガー」と呼ばれる人たちが登場し、全くの一般人・個人でありながら、発言力や影響力を持つようになりました。当時はまだSNS黎明期で、様々な新しい試みが企業単位・個人単位でチャレンジされていく中、いまでいうところの「ステルスマーケティング」に近いことを依頼する・依頼されるようなことも散見されるようになりました。当時はそのような言葉は存在していませんでした。

これに危機感を覚え、「個人が発言力を持つことができる」のはとても画期的なことであり、個人が発信する情報の価値を守りたい・もっと伝えていきたい・広めていきたいという思いを同じくし、集まったのがアジャイルメディア・ネットワークの創業メンバーです。
この素晴らしい時代の流れをいかに正しく・上手に活用できるかの知見を貯め、いち早く発信・提言・提案して行くというところに軸足を置き、業界でも独特のポジションを築きながら、事業を展開してまいりました。

松宮 優紀子様が経営する中で、これまでで最も苦労した出来事を教えてください。

サービスやブランドのファンで、他人に推奨してくれる・貴重な意見を提供してくれる・ブランドを擁護してくれるような一般の方を「アンバサダー」と定義し、その方を企業のマーケティングパートナーとする「アンバサダープログラム」を事業の柱としています。

SNSを活用し一般の方を対象とすることは、それ自体非常にユニークであり、自社ファンを大切にしたいと考えている企業にとっては本質的です。一方で、マーケティング施策上、職業インフルエンサーによって提供される成果と比較されてしまうことが多く、アンバサダーの「価値証明」は、長年の課題です。

アンバサダーの想いを数値化する、購買への影響力を数値化して当てはめてみる等様々な取り組みを行っていますが、完全なる答えにはまだたどり着けておらず、試行錯誤の日々です。アンバサダーの皆さんは、SNS上でポジティブな空気を作る評判形成だけでなく、友人紹介などによる新規顧客獲得、企業へ意見をフィードバックすることによる知見提供など、様々な側面で価値を提供できる存在であると考えています。
「価値証明」については、当社だけでなく、ファンの皆さんや企業・ブランドのご担当者様のお力もお借りして、ぜひ実現したいと考えています。

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社の強み・特長を教えてください。

創業背景にもあるとおり、15年以上もの間「純粋なファン・個人の発信力」を大切にして、ブログから始まった各種SNSに柔軟に対応してきた実績は大きな強みだと考えています。海外で注目されていた「アンバサダーマーケティング」という考え方を日本に紹介する書籍を出版したり、そのセミナーを行うなどの啓蒙活動にも力を入れてきました。

また、当社の独自ツール、アンバサダープラットフォームはファンの発見・組織化から効果計測までを一気通貫して行えるもので、「自社にはどんなファンがいるのか?」「どのくらいアクティブなのか?」「どんなアクションをしてくれているのか?」等を可視化し、ファン活性化のためのコミュニケーション戦略立案や、コミュニティPDCAに大いに活用できるようになっています。

さらに、担当者によるファンコミュニティ運営のコンサルティング力も大きな強みです。当社の営業担当は、ファンの皆様のブランド愛に真摯に向き合い、戦略や企画を自ら考える「アカウントエグゼクティブ」として動きます。ファンコミュニティツールを提供している会社で、ここまで寄り添い・並走できる会社はないと自負しています。

松宮 優紀子様が経営する中で、意識していること・心掛けていることを教えてください。

事業においては、【ファンは、ターゲットではなく、パートナー】という点です。
企業から見れば「ターゲット」と称される消費者も、ひとりの人であり、それはもしかしたら自分かもしれない。そう思うと、どんなコミュニケーションであるべきかの視点・視野が一段広がっていくように感じませんか?

ターゲット、という考え方は前近代的であり、マス思考がまだ抜け切れていない印象があります。ターゲット扱いするのが間違い、ということではなく、使いどころの問題ですね。

ただ、SNSアカウント運用ひとつとっても、運用担当者の人格、素直な気持ちを前面に出しているアカウントが多くのファンを集めている時代です、消費者・エンドユーザーも「企業の上から目線」は敏感に感じ取って距離を置くし、自分に向き合ってくれていると感じる企業には親しみを持ちます。難しい表現ですが、企業も「人らしさ」や「気持ち」をファンにしっかりと伝えていく、そのためには相手をターゲットとみるのではなく、パートナーとして扱う。このことを大切にしていきたいと考えています。

松宮 優紀子様が社会や業界に対して、または自社サービスの消費者に対して、伝えたい想いや発信したいことを教えてください。

世の中のすべての企業が、アンバサダーマーケティングを取り入れるべきだと本気で考えています。
これはあくまで比喩になりますが、その日が来たら、アジャイルメディア・ネットワークは役割を終えるのかもしれません。

私の前職は広告代理店で、約14年間、広告の企画・プロデュースを行っておりました。「マス」的アプローチが通用しなくなり広告手法がどんどん細分化・複雑化していく中で、新しさ・流行り・便利さばかりが注目され、大切で普遍的なもの・本質的なものが忘れられていないか、という想いがどこかにありました。

そんな時に出会ったのが「ファンマーケティング」「アンバサダーマーケティング」で、その視点があったか!、と衝撃を受けた記憶があります。
個人が情報を発信できる時代であること、情報爆発によりその取捨選択が困難になってきていること、人口減少により新規顧客獲得が困難になっていること、消費者が企業を見る目がどんどん厳しくなっていること、そして、消費者も企業に「人らしさ」をどこかで求めていること。これは特定の企業だけにあてはまることではありませんよね。
この状況下で、自社ファンと向き合い、マーケティングパートナーとして一緒にブランドを盛り上げていく「ファンマーケティング」をやらない理由があるでしょうか?

どんな商品やサービスにも、必ずファンはいます。いいものを作っていたら、絶対にその想いはファンに伝わっています。日本の企業のみなさんには、もっと自社サービスや商品に自信をもって、アンバサダーマーケティング・ファンマーケティングを取り入れていただきたいと思っています。

松宮 優紀子様の今後のビジョンを教えてください。

「ファン」の定義をさらに広げて、事業を展開していきたいと考えています。
これまでアジャイルメディア・ネットワークは、マーケティング手法として「アンバサダー・ファン」に着目してきましたが、企業理念である「世界中の好きを加速する」に照らしてみると、ファンの定義はもっと広く考えられるのではないかと感じています。

「推し活」「推し消費」という言葉が誕生して数年たちますが、企業の商品に対してだけでなく、アーティストやアイドル、観光地など、様々な「好き」の対象にも領域を広げることで、世界中の好きを加速するだけでなく、アジャイルメディア・ネットワークの成長も加速させたいと考えています。

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