代表取締役社長 高岡 壮一郎

代表取締役社長 高岡 壮一郎

設立 2005年8月1日営業開始
事業内容
    • 富裕層会員事業「YUCASEE(ゆかし)」運営
    • メディア事業「海外投資新聞」「YUCASEE Media」等運営
    • 自分年金支援事業「いつかは ゆかし」運営
    • 海外投資コンサルティング事業
会社HP https://ayumitrust-holdings.co.jp/

地方から東京大学へ

私の生い立ちは特に変わったものではありません。
地方の公立小学校・中学校から公立の進学高校に通い、
12年間、剣道だけを続ける毎日でした。

当時は団塊ジュニア世代の受験戦争と呼ばれていた時代でもあり、
周りは皆、受験勉強に精を出していたのですが、
「長い将来のことを考えたら、18歳までは気力・体力を作る時期である」
と自分なりに位置付け、剣道に明け暮れる学生時代を過ごしていました。
剣道では「気・剣・体の一致」という教えがあり集中力が鍛えられます。

自分が成長できそうで刺激に溢れる東京に出てみたいと思い、
東京大学に入りました。

何か大きなことに挑戦したいという刺激的な仲間が大学にはいるかと思いきや、
東大生たちは「どの大企業に入れば退職金がいくら」
「どの官庁に入れば天下り先のランクがどうこう」とか言っていました。
「歴史に残る何かを成し遂げること」「仕事そのもの」ではなく、
「役職」や「お金」そのものが目的のように見える同級生の姿をみて、
違和感がありました。

その一方で、この社会の歴史の中で何かを成し遂げたいと思いながらも、
まだ何者でもない自分自身に対して悶々としながら、
哲学書や古典、社会科学の本、歴史書を読んでいました。

そんな大学1年生の時に出会った同級生が、後のアブラハムの創業メンバーです。
その頃は、経営者になろう、起業しようなどとは全く思っておらず、
むしろビジネスの世界にいくことも想像していませんでした。

三井物産に入社後、アブラハムを起業

就職活動がはじまりました。
「歴史に残る、世の中の役に立つ大きい仕事をしたい」
という想いがあったのですが、
具体的に世の中がどうなっているか分からなかったので、
とりあえず「日本で一番、社会に貢献できる会社とは、
社員一人あたりの売上高が日本一の会社である」と仮説をたて、
探してみると三井物産という会社が見つかりました。

自分が何の役に立つのか皆目不明でしたので、
「剣道だけは12年間やり続けた」と伝えたところを拾ってもらい、
三井物産に1999年に入社しました。
どんな仕事でもいいので、入社したら与えられた仕事を、
とにかく全力でするのみだ、と思っていました。

当時は起業する気は全く無く、入社3年目の時に、
三井物産の新卒採用パンフレットに私が先輩社員として登場し
「三井物産の伝統と実績がある大企業だからこそ、自分の力を拡大し、
社会により貢献できる!ぜひ三井物産に入社を!」と学生を勧誘したりしました。

そんな私が退社し起業するきっかけになったのは、総合商社の仕事を通じて、
社会の現実を良く俯瞰することができたからです。

私が入社1年目に三井物産で配属されたのは海外審査室というところ。
ミサイルからラーメンまでを扱う総合商社の
あらゆるビジネスの投資や事業計画の稟議書を審査する部署です。

海外案件の審査を担当していたので分かったのですが、
世界を見ると、企業の生き残りの条件は、「伝統や資金力、企業規模」よりも、
結局のところ「時代の変化に対応すること」が重要だと知ることができました。
先進国では、時代に合わない大企業が行き詰まり、
新しいベンチャー企業が世の中を先導していました。

これを日本で見ると、2005年から人口減少社会に直面し、
従来の人口増加・大企業を前提とした社会システムには大きな歪みが発生するはずで、
その問題を解決するのはベンチャー企業であるという歴史的必然性が理解できました。

そこで、総合商社の中でベンチャー企業に近い情報産業部門への異動を願い、
配属してもらえました。
いわゆるIT業界の中で、企業買収(M&A)やベンチャー投資、
米国企業と提携した新規事業立ち上げ等をさせてもらえました。

素晴らしい先輩や上司に鍛えて頂き、三井物産は本当に素晴らしいと思いました。
そんな三井物産は、そもそも明治初期に益田孝氏が社員18名で創ったド根性ベンチャーです。

鎖国社会からグローバル化した明治の日本、そこから始まる人口増加社会の中で、
「モノを扱う」20世紀型の総合商社である三井物産が生まれたのは、歴史的必然と言えます。

だったら、2005年からの人口減少社会に相応しい
「高付加価値な情報を扱う」21世紀型のコングロマリット・カンパニーが日本に生まれるのも、
歴史的な必然だろうと。そのタイミングに、運よく、自分は30代の端にいる。

三井・三菱の創業者のように、21世紀型の総合商社を自分が創業し、
社会的な役割を果たすことができたら、これは日本の歴史になるし、面白い。
大学時代から悶々と考えていた、
何かを成し遂げたいという気持ちの方向性が固まったのです。

そうして、「21世紀以降の日本を支える知恵の総合商社」というコンセプトで、
起業することに至りました。築30年のワンルームマンションの一室を借りて、
仲間とアブラハム・グループ・ホールディングスという会社を立ち上げました。
持っているものは、携帯電話とノートPC、歴史を創る気概だけでした。

成熟社会の日本でのビジネス

「アブラハム」という社名は、心理学者アブラハム・マズローにちなんでいます。

彼はその「欲望の5段階説」のなかで、社会が成熟していくに伴って、
人々は物品や食料といった基本的な生活条件を欲する段階から、
より高次の欲求、つまり、承認や自己実現を欲する段階へと移行すると説いています。

これまでの日本社会が上り坂の、物欲の強い社会だったと位置づけると、
既に「成熟期」に入っている日本では、それこそ自己実現のような、
いわゆる「高次の欲求」がコアなニーズになっていくだろうと考えられます。

お金以上の精神的価値を求めたいという成熟社会ならではの個人の気持ちを、
自分たちがエンパワーメントしていける会社になろうという思いを込めて
アブラハム・グループと名づけました。

社会に良い影響を与え、かつ個人も豊かにするような事業をしたい。
これが私の考えの根幹になっています。

ではどんな「個人」をターゲットにするべきか、そこで、まずは「富裕層」です。

日本はすでに産業・人口において下降線上にあります。
そのなかで、今の日本の強み・財産は個人の金融資産だけだと思うのです。

1500兆円に上る日本の個人資産が、現時点で世界に誇れる唯一の日本の財産であり、
そしてそのうち20%が、総人口の1%に過ぎない富裕層の手にあるというのが現状です。

その富裕層の資産が投資や消費に回って活性化すれば、日本社会全体が良くなるだろう。
そう考えて、富裕層をターゲットに事業を立ち上げました。

富裕層向けのオンライン金融ビジネス

まずは日本を良くしたい。日本の強みは何かと言えば、1,500兆円の個人金融資産。
個人金融資産の多くは、富裕層が持っている。
富裕層の一番のニーズは金融情報。そして、一番の成長分野はインターネット。

必然的に「インターネット×金融×富裕層」という領域でのビジネスを選択しました。

まずは、日本最大級の富裕層限定プラットフォーム「YUCASEE(ゆかし)」を作りました。
純金融資産1億円以上の方限定で入会していただくオンライン・クラブです。

次に、海外投資専門のアブラハム・プライベートバンクを立ち上げ、
投資助言実績は累計877.4億円(08年6月~13年9月)に達しました。

香港には証券会社を有しており、グローバルに展開しています。

今後も新たにアブラハムのウェルスマネジメント事業を立ち上げる予定で、
今まさに準備中です。

今後のビジョンとしては、アブラハム・グループ創業以来の事業領域をぶらさずに
ビジネスを展開していきます。
会社を上場させ、パブリックな存在になり、
社会的責任を果たせる体制になろうとしています。

最近、スタートアップやベンチャーと言えばスマホゲームのイメージなのですが、
その市場規模は0.2兆円。対して個人金融市場は1,500兆円あるわけですから、
その一番大きい市場をターゲットに、大きな挑戦を続け、
社会をより良くしていきたいと考えています。

求める人材:困難を乗り越えた経験がある人

人材面では、困難を乗り越えた経験がある人を求めています。

今年の新卒採用では、甲子園に出たとか、大学アメフトのリーダーとして猛者をまとめたとか、
東大の大学院で勉強頑張ったとか、高い壁を自力で乗り越えた経験がある人を採用しました。

というのも、成功体験を一度でも味わったことのある人だからこそ、チャレンジを楽しめるからです。

実は、私も敢えて困難な道にチャレンジしたいから、起業したようなところがあるんです。

就職氷河期に入社した大企業をわざわざ辞めて、
ワンルームマンションで男同士がぎゅうぎゅうになって朝の8時から真夜中の1時まで働く。
節約に節約を重ね、はじめてのお客さんからの売上10万円に嬉し泣きしつつ、
ゼロから初年度利益を1億円出して、小さな成功を味わう。
その実績でベンチャーキャピタル等から5億円調達し、次の目標に挑戦する。

リーマンショックに見舞われながらも、大手に属さない独立系の金融ベンチャーとして
異例の877.4億円の実績を達成し、多くのお客様に対して責任をもってサービスを継続し続ける。
規制に真摯に対応して、更に新しい事業を生み出す。
毎年毎年、高いステージの新しい仕事に挑戦し、生死を共にする仲間たちと目標をクリアしていく。

まだまだ至らないところが多いものの、こういうベンチャー経営を、
社員という仲間と共に9年間続けており、
少しでも多くの人の役に立ちたいと常にチャレンジを楽しんでいます。

学生へのメッセージ

ソーシャルメディアの普及によって、不正確な情報をネットですくっては、
評論家・批評家気どりになっている学生も散見されます。

他者をあれこれ論評するのは誰にでもできますが、それは自分自身のメリットにはなりません。
スマホの窓から見えるのは、世界のごく一部でしかありません。
自分の大切な時間を投入するのであれば、傍観者・外野側ではなくて挑戦する側に回り、
「自分が主役」となって、伸び伸びと活躍し、実体験を積み、
現実の社会の中で役に立つ人間になってもらいたいと思います。

あなたの挑戦が、世の中にとって本当に良いものであれば、
また継続さえしていれば、多くの人からのサポートや応援が得られるようになります。

私自身も、これまで会社を経営する中で、
何度も困難に遭遇してきましたが、真正面から向き合いました。
その度に強力な援軍が来るといいますか、手を差し伸べてくれる方々が現れ、
困難を乗り越えることができました。
援軍の皆さまに、自分を成長させて頂いた実感があります。
結局、事を為せるかどうかは、
リアルに生死を共にしてくれる仲間がどれだけいるか、だと思います。

困難を恐れることなく、何事かを為すために、
自分らしく、自らが主役になって、大きな挑戦を楽しんでください。