代表取締役社長 松本 剛徹
設立 | 2010年12月 |
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事業内容 |
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会社HP | http://real-net11.com/ |
会社員として感じていた小さな不満
学生時代はマスコミ系の仕事をしたいと考えており、
就職活動ではテレビ局や広告会社を志望していました。
しかし、予想以上に就職活動が難航し、50社以上受験した結果、
内定を得たのは1社だけでした。
結果、卒業後は内定を得た大手メーカーに営業職で入社しました。
入社して半年は千葉県・幕張で研修を受けるのですが、
自宅のある横浜からは電車で片道2時間以上かかり、
毎朝満員電車で通勤することが苦痛に感じるようになりました。
また、入社直後にエンジニアが不足しているという理由で、
突然システムエンジニアに配置転換となったのです。
もともとアナログ人間だった私は昔からそうしたIT関係には疎く、
エンジニアに転換することになったときは、絶望さえ感じたくらいです。
さらに、自分の上司や社長がもらっている給料を聞いたとき、
あまりの低さに衝撃を覚えました。
会社のため、家族のためと20年、30年働いても、
「一部上場企業でありながらそれしかもらえないのか」と愕然としました。
年齢に関係なく会社に貢献した分だけ評価をされ、見合った給料をもらいたい。
そう考えた私は、最初の会社に2年ほど勤めた後、
ポータルサイトなどを運営する会社に転職しました。
小さな「不満」の積み重ねが起業の引き金に
転職先の企業は完全実力主義であり、20代の役員も在籍していました。
そこでは、モバイルマーケティングを担当しました。
マーケティングでは、システムやパソコンの知識よりも、
消費行動や市場動向などの人間の考えや行動に基づいた、
売る仕組みを考えることが求められました。
私はマーケティングという仕事にどんどん惹き込まれていきました。
起業を考えだしたのは、社会貢献をしたいという想いや、
社会での矛盾を解消していきたいといった建設的な考え由来ではなく、
稼ぎたい、人生を普通のままでは終わらせたくないという思いからでした。
会社員生活の中で感じ始めた小さな「不満」の積み重ねが原動力となり、
自分の力を試すためにも起業することを決意したのです。
しかし、会社を辞め、独立することは勇気の要ることです。
現状に多少の不満がある程度では、何とかこらえて会社に残る人も多いでしょう。
その当時の私は自分の現状に『ものすごく』不満を感じており、
自分の力でどうにかしていきたいと考えていました。
そして、独立して最初に気付いたのは、会社の看板という存在は非常に大きく、
今までは自分が有名企業の「社員」だからこそ、取引ができた、ということでした。
独立後は自分ひとりでの営業から企画、制作までをこなしていかなければならず、
信頼も実績もない起業当初は、本当に苦労しました。
生活苦の中でたどり着いたビジネスプラン
起業当初のビジネスプランは、開業やリフォームなどを考える飲食店オーナーと、
内装業者をマッチングさせるための見積もりサイトの運営でした。
しかし、そのマッチングビジネスではなかなか芽が出ず、
昼間は本業の仕事をし、夜間は日雇いのアルバイトをして
何とか生計を立てていました。
八方塞がりの状況が続き、起業塾で出会った恩師に頼み込んで、
恩師のオフィスのスペースを間借りしながら、なんとかビジネスを続けられました。
また、その中で色々なアドバイスを受けながら、
スマートフォンでのマーケティング事業を始めました。
スマートフォンを使ったマーケティングビジネスは、前職のころから構想を練っており、
当時はまだスマートフォンの普及率も低かったことから、参入障壁も低く、
このタイミングで始めれば勝機はあると考えていました。
恩師のアドバイスの中で印象的だったのは
「営業力」と「マーケティング力」がなければ起業は成功しない、ということです。
このふたつは「売る力」として、売上に直結するものなので、
ここをとことん追求することが会社の運命を分けます。
だからこそ、大手企業ではできないような「強み」を持っていこうと考え、
それをアピールしていくことが非常に大切になります。
私自身も「強み」を見つけ、それを磨いていくことに注力しました。
成功する秘訣は、「真似る」こと
現在、当社には営業マンがおりません。
現在のクライアントは
定期的に開催しているWEBマーケティングセミナーからの反響がほとんどです。
当社のマーケティングは、「DM(ダイレクトマーケティング)」という手法です。
一般的な広告は、商品の特徴を伝えたり、
インパクトを与えたりといった効果をもたらします。
一方、DMの場合、その広告によって
集客効果やレスポンスを獲得することを狙いとしています。
そのため、クリエイティブな広告よりも今売れている商品やレスポンスの高い広告を
徹底的に分析し、合理的かつ科学的な広告を出稿する必要があります。
世の中には、何らかの理由により売れているものがたくさんあります。
そのひとつひとつを分析し、アイデアを参考とすることが、成功への近道といえるでしょう。
学校では、カンニングはタブーとされていますが、
ビジネスの世界では過去の成功事例を真似て、自分に取り入れていくことが基本です。
DMは、広告によって売れることがすべてです。
その広告が自分のオリジナリティを出すことではなく、
広告によって結果を出すことが最善となります。。
オリジナリティにとらわれ、不確かなコピーライティングをしたがために、
結果が出ないということは当たり前です。
今後の展望
3年後、5年後のビジョンについては、まったくといっていいほど意識していません。
なぜなら、3年前の自分が今のように起業をした状態を
まったく予測できなかったからです。
今の事業も、タイミングが一致したから軌道に乗せられたのであり、
5年後に通用するかどうかは不透明です。
中長期的な未来を予測して動いていくことは非常に難しいことです。
しかしながら、今までのノウハウを生かしたうえでの新規事業については考えており、
今後は通販事業に進出したいと考えています。
自社で商品を確保し、在庫管理や販売といった業務も運営していくつもりです。
私の知り合いにも、通販事業に進出している経営者が多く、
当社もそういった方々の教えを受けながら始めていこうと考えています。
当社が目標としている3年後に売上50億円の達成も、
この通販事業の成功が鍵を握っています。
通販ビジネスでは、一人の社員で何億円という規模の売上を達成することが可能です。
そのため、当社も社員数を絞り、少数精鋭で成果をあげていこうと思います。
その分、社員に給料という形で還元し、社員の満足度も向上させられます。
満足度の高い仕事環境を通じて、より高い質のサービスを提供できたらと考えています。
簡単なことではありませんが、非常にやりがいのある世界だと思っています。
起業家に欠かせない3つの要素
社会貢献や自分らしい仕事をしたいといった、
大きなビジョンを持った上で起業をする方はたくさんいらっしゃいます。
しかし、会社を経営していくうえでのモチベーションは、
そこまで大々的なものでなくてもいいと考えています。
いい車に乗りたい、お金を稼ぎたい、といった本能的な欲求こそが、
ビジネスを持続させる足がかりになるのではないかと思います。
その欲求を実現させるために動き続けることで、
やがて自分のビジネスが社会貢献であったり、
オリジナリティといった大きな目標へとつながっていくのです。
何もないところから起業しようと思ったとき、
自分が普段から感じていることを土台にして起業を始め、
徐々にステップアップしていくことこそが、 成功への鍵になります。
また、会社員時代に営業としてよい成績を収めていたり、
何か特殊な技術を持っていたり、何か人と違う特徴を持っているからといって、
起業が必ずしも成功するとは限りません。
「個人事業主」ではなく、人を雇って「社長」となるためには、
何かひとつの才能に秀でているだけでは、太刀打ちできないのです。
起業家として大切な要素は、
変化に対応できる力、ヒト・モノ・カネ・情報のマネジメントをする力、
それに加えて、商品やサービスを常によくしていこうという向上心の3つが挙げられます。
この3つの要素は、どれもが相反するものであり、
すべての要素を持つことは非常に困難と言えます。
しかし、この3つは努力次第でいくらでも磨いていくことができます。
自分に足りないものは何なのかを顧みて、
その足りない要素を向上させようとする意志と
場面によって3つの要素を使い分けるような人が、
起業家として大きな成功を収めているのです。