代表 川之上学

代表 川之上学

設立 1957年2月(創業1930年)
事業内容
    • 毛髪化粧品・美容器具類・化粧品等の製造販売、輸出入業務
会社HP http://www.safety-co.jp/

歴史ある会社だからこそ改革を

昭和5年から続くこの会社に私が入ったのが、11年前。
それまでソフトウェア関係のベンチャー企業に勤めていたのですが、
以前から仕事でお付き合いのあった当時の社長に声をかけていただき、入社しました。
改革意識の強い社長で、私もベンチャーから移った経緯があったので、
その頃から自分なりに新しいアイディアを盛り込んで仕事していましたね。

社長には1年半前に就任しました。
歴史がある会社ですが、私としてはベンチャーと同じだと考えています。
厳しい時代ですし、ニーズに見合った改革を続けることは欠かせません。
これまでの蓄積の良い部分はそのまま守りながら、
さらに時代に見合ったものをお届けすることで、事業を盤石なものにしていきたいです。

創業以来の「スリーヘアーズマーク」

スリーヘアーズマーク

弊社の経営理念を表しているのが、
創業当時からの社章でもある「スリーヘアーズマーク」です。
名前の通り、3本の髪の毛をかたどったマークなのですが、
この3本はそれぞれ弊社、代理店、美容室を表しています。
美容業界を支える鼎であるこの3つが互いに協力し合って、
お客様のために力を尽くし、繁栄の輪を築きましょうというのが、
スリーヘアーズマークの意味するところです。

実はこの業界では、3本の髪のうち美容室を省いて、
我々メーカーが代理店だけを相手にしていても、
商売が成り立っていた時代がしばらくあったんです。
それが、次第に会社が増え、競争が激しくなるにしたがって
代理店も独自の付加価値を提供しなければ美容室と取引してもらえない、
メーカーも代理店がカバーできない部分を美容室と直接連携していかなければいけない、
そういう時代になりました。

こんなときに、改めてこのマークを見ると、
3本の髪は業界の根本を表しているんだなと強く思います。
そしてマークの掲げる理念に今一度立ち返ることこそが、
我々にとって非常に大事な改革なのだと実感します。

美容業界でのターゲット

弊社は美容室向けにプロユースの毛髪材を製造・販売しているわけですが、
そのお店の規模、例えばおひとりで経営されているところと、
全国に店舗を展開しているところとでは、ニーズが微妙に違います。

そのなかで、弊社がターゲットにしているのは経営者様が40代、
5人以上の規模で経営をされている美容室です。
おおまかに言って、独立した美容師の方がお店を始めて、
経営的に軌道に乗ってくるのが40代頃なんですね。
そしてそのくらいにまでお店を大きくされている経営者の方ならば、
これからのお店についても向上心を持って考えられていると思うんです。

美容業界の繁栄は美容室の繁栄にかかっています。
経営理念のとおり、弊社は美容業界全体が盛り上がることを目指していますし、
そこに貢献することこそが会社の存在意義でもあります。
だから、そのような美容室さんとはしっかりお付き合いさせていただこうと思っています。

プロの業界で、強みを作っていく

実は今後、一般のマーケットにも商品展開していく計画があります。
コンシューマー向けの商材を新たに作り、売っていくということになるのですが、
そのときには、我々が美容のプロの業界にいて、
美容室の方々と組んで商品開発を行っているということが強みになると思っています。
やはりお客様=プロッショナルですから、そのぶん質の高い開発ができるわけです。
特に5人から10人という規模の美容室ということになると、
そこをターゲットにしている会社は他にあまりないので、
その部分で徹底的に差別化していければと。

ただ、美容業界の商品では、自分たちの強みだと思っていたことが、
実際には強みにならないことがよくあるんですね。
そこで勘違いしてしまうと会社は負けます。
歴史がある我が社においてもそれはまったく同じことなんです。
だから、今のところは自分たちに強みはない、という気持ちでいた方がいいでしょうね。
むしろこれからの取り組みのなかで、
「強みを創っていく」立場にあるんだと考えています。

輸入事業でノウハウの吸収を目指す

現在は国内の美容室への代理店を通した販売が主要事業になっていますが、
それと同時に行っているのが海外への輸出販売です。
主な取引国は台湾、韓国、シンガポール、
サウジアラビア、クウェート、エジプト、トルコなど。
特に中東地域では弊社の育毛剤がブランド商品になっています。

今後は輸出だけでなく、ヨーロッパ製品の輸入し、
ブランディング目的で売り込んでいく予定です。
また、一般のコンシューマー向けにも販路を拡げていくつもりです。

ヨーロッパの企業はどの業種でもブランディングが上手いですよね。
日本よりはるか以前に少子高齢の成熟社会を迎えているので、
そのなかで収益を上げるためのブランディングのノウハウが、高度に集積しています。
実は輸入事業を始めるのは、海外の企業様と関係を持たせてもらうなかで、
そのようなノウハウを学んでいくためでもあるんです。
これから一般向け自社商品の戦略を練っていくなかで、
輸入事業で得るヒントは大きな武器になるはずです。

社会で大事なのは信頼関係

私はいわゆるベンチャー・スピリットとか、
アメリカ型の外資系企業の考え方がすごく好きなんです。
だから人材に関しても、自己の向上に飽くなき欲求を持っているような人、
自分で努力をし、能力をつけて実績を出した人には
学歴・社歴・性別関係なく評価をしたいと思っています。
私自身、そういう人と一緒に働きたいですね。

これから社会に出る学生の皆さんには、人との信頼関係は大事だよと伝えたいです。
どれだけ能力があろうと、結局仕事というのは人と人との関係でするものですからね。

信頼関係は簡単には作れないものだと思います。
表面的に生きてきた人は、人間性の薄さがすぐに分かるものです。
深い部分に一歩踏み込んでコミュニケーションできなければなかなか信頼はされません。
若いうちは、深い人間性というのもなかなか難しいところでしょうが、
そこは量で勝負することだと思いますね。
何度も相手方に出向いて、会う回数を重ねるなかで、
次第に認められていくのではないでしょうか。