代表取締役社長 倉岡 寛
設立 | 2013年10月 |
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事業内容 |
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会社HP | https://coubic.com/?hl=ja |
起業は1つの選択肢
大学は理系の大学に進学し、
4年生の頃に研究室に配属される形となりました。
そこでは、
いわゆるエンジニアリングな部分と、文系の部分を掛け合わせて、
新しい分野を開拓していくという研究をしていたのですが、
これが、たまらなく面白かった。
従来の工学系の制御理論にあるような、大きな情報量をポンとあたえて、
そこに当てはめていくというトップダウン的な手法ではなく、
一つ一つ要素構築し、それを相互作用させながらシステムを作っていくという、
どちらかというとボトムアップ的な手法や考え方について研究していました。
研究が好きだった僕は、研究をもっと深く掘り下げていくため、
博士課程に進もうと考えていました。
とは言いつつも、就職活動も進めてはいたんです。
当時は、グーグルが日本で初めて新卒採用を始める年でした。
その頃はグーグルって日本であまり知られなかったんですが、
僕は研究柄、グーグルの事はよく知っていたんです。
このとき僕が感じていたのは、
グーグルが”なりわい”としているインターネットそもそもが、
ボトムアップ的なシステムがあり、すごく面白そうだなということ。
こうしてグーグルの門をたたくことにしたのです。
しかし、ここで問題が一つ発生。
グーグルは新卒採用でソフトウェアエンジニアの募集をしていたのですが、
僕は、研究する上で必要なコーディングしかしたことがなく、
仕事としてのスキルをもっていたとは言えませんでした。
そのため、ダメ元でグーグルを受ける事にしました。
すると、僕の経歴見て、
エンジニアとしてではなくプロダクトマネージャーとして採用をしてくれたのです。
プロダクトマネージャーとは、簡単に言えば、
他の人と連携しながらサービスを作り上げていくという職種です。
グーグルで、周りを巻き込みながらプロジェクトを推進させていけた事は、
自分の中でとてもいい経験となりました。
起業は1つの選択肢
起業当初は、3人でスタートしました。
基本的には、以前から顔見知りだったり、
一緒に仕事をしたことがある人たちです。
最初の就職先であるグーグルにいたときから、起業はかしこまったものというより
割とカジュアルに、普通のものとして捉えられていたので、
今後あくまで選択肢の一つとして起業は考えていました。
もともと起業しようという気持ちはあまりなかったのですが、
そういった文化に触れて、自分も面白いアイディアや仲間がいれば是非やってみたいなと
思うようになりましたね。
そんな中、グーグルでの仕事もだいぶ落ち着き始めた頃に、
グリーがグローバル展開という形でアメリカに行くという話を聞いたんです。
会社にいながらも、先々のことを考える際に
「起業したいな」と考えていたのですが、
そこなら今までの経験も生かせ、新しい発見もあるのではと期待があり、
グリーに転職しました。
当時は、スマートフォンが伸び始めた時だったのですが、
日本ではスマートフォンが入ってくるよりも前に、
モバイルという強みが根強くあったというのも
飛び込む一つのきっかけではありましたね。
そこから、起業するきっかけになったターニングポイントは、
アメリカと日本の環境を見てきて、今なのではというタイミングを感じ始めたのと、
自分がやってみたいと思うことができたからでした。
それを仲間と始めていくことに対して、非常に魅力的に感じましたね。
ニーズに合わせ、サービスを変化させる
例えば、アメリカではO2O(=オーツーオー/Online to Offline)が増えてきていました。
その中で、日本で何か予約しようと思うとき、
その流れが非常に面倒臭いと感じていたんです。
アメリカではスムーズになってきているのに、
日本での生活で身の周りを見たときに、まだまだその部分がスムーズになっていないのではと。
なので、そこをアプローチできるんじゃないか、
というところからスタートしました。
私はサンフランシスコにいたのですが、
アメリカで流行っているベンチャーや出来事などは、まだまだ日本では見ることがない光景で、
日本でできることは多いのではと思うようになりました。
そのことについて、起業当初の3人の仲間と色々と話し始めていましたが、
最初から今ある姿を想定していたわけではなくて、
とりあえず問題としてあるのは予約などのシステムがスムーズになっていないことがわかったんです。
それならまずは、作ってしまおうということで、早速作り始めました。
色んな人に話をしていって、何かきっかけができたらいいなと。
すると「こうした方がいいのでは」など、様々な意見をいただきました。
それを続けていると、ある知人から
試乗会の予約に対して不便に感じているので「何とかならないか」という相談がきました。
自分たちのプロダクトがどういったものに当てはまるのか探していたので、それに飛びついてみました。
そこから大きく動き始めましたね。
誰でも使えるサービスに
スタートアップやプロダクトを作る際に、
自分たちの想定しているお客様は誰なのかという課題があり、
生の声を聞きながらプロダクト開発をしていくのは大変なのですが、
そういう意味では、はじめに既に課題を感じているユーザーを相手にしてサービスを開発できるのは
とても良い経験でした。
私たちが想定していなかった問題も、どんどん出てきましたね。
どちらかというとBtoCのようなところを想定して作っていましたが、
むしろこちらの方が広い領域なのではと感じ始めてBtoBへシフトしていきました。
また、色んなマーケットにいきたいと考えていたので、スモールビジネスに着目し始めました。
BtoBツールは世の中にたくさんあります。
ただ、どれも大企業対象で高額だったり、複雑すぎて使いにくいなど問題が少なからずあるんです。
これを簡単に使えるように安く提供できれば、
自分が当初感じた予約システムの問題を解決できるのではないかと思いました。
リリースして終わりではなく、リリースして初めてニーズがあるのかどうか見えてくる。
自分たちの思い込みで作ったりしていくことが多いと思うのですが、
やはり出してみないとわからない部分はあります。
まだまだ改善点はありますが、明らかにニーズもマーケットもあるということがわかりました。
実際に解決すべき問題、「登るべき山」があることが見えたので、
今はひたすらそれをやっているところです。
スピード感を持って進化する
予約や顧客管理システムは、もともとあったツールですが、
それをユーザーが簡単に使えるのがポイントだと思うんです。
PCを持っていなくても、スマートフォン一台で様々な管理までできます、
というようになることがこれからは重要だと思いますし、
そうなると面白いのではと思います。
管理ツールサービスの大半は、PCメインで作られていますが、
今ではスマートフォンしか持っていないという人たちもいますので、
そういう人たちも管理できることが新しいのではないでしょうか。
私たちがいつも意識しているのは、
使いやすさやわかりやすさをとことん追求していくという点です。
最近、スモールビジネスを対象にしたクラウドサービスは増えつつありますが、
それはマーケットがそこに存在しているためです。
そういう状況下では、
どんどん先へ先へスピードをもって進むことが、
非常に重要になってくると考えています。
グローバル展開は創業時から視野に
我々が解決しようとしている課題は、日本特有のものではないと考えています。
さらに、今後のビジネスを考えていく上でも、
日本だけにとじていてもどんどん厳しくなっていきます。
ビジネスとユーザーのやりとりをスムーズにしたい、
というのが根底にありますので、
今までシステムを使いたくても使えなかった人に提供することが、
社会的な要請としてあるんじゃないかと思っています。
その中で、我々は今、”ポップコーン”という、
サロンの予約システムのグローバル化を強めています
今は、日本語だけでなく英語、中国語、韓国語のインバウンド対応をしており、
“ポップコーン”だけで、予約から決済まで、
誰でも簡単に済ませる事が可能です。
海外から日本に来るインバウンドの市場は
今後2020年にむけて、加速度的に増加していきます。
プロダクト改善はマストですが、
マーケティングなどのコミュニケーション、
そしてユーザーからの問い合わせについてもできるだけ応えていって、
さらに改善を続けていくなど、
今はできることをすべてやっていこうと考えております。
今、目の前にあるものを極める
学生時代は、先のことをあまり考えておらず、
将来こうなりたいから、そのためにこうするということがありませんでした。
そのとき面白そうな人がいたり、面白そうなものがあれば飛び込んでいき、
それをがむしゃらにやっていれば、サポートしてくれる人が増え、視野が広がっていきます。
起業のメンバーは、自分にはできないことができる人たちを集めました。
1+1を3にしたり、4にできたりすることが重要だと思ったからです。
とりあえず目の前にあることをやっていって切り拓いていく、ということだと思います。
面白い問題を一緒に見つけたりできる仲間や先輩がいるのであれば、
それをあまり深く考えずに、まずはとことんやってみる。
一方で面白そうと思うことに対して、好きなようにやってきたわけですが、
常に自分のいるスタンスを俯瞰して見ることは大事なことだと思うんですね。
他の視点から見つめ直し、距離を置いて自分を見る。
それは物事を没頭してやってないと、ただの評論家になってしまいます。
その場、その場で面白いと思えることや、課題だと感じることに没頭していくと、
色んなものが後からついてくると思います。
何か始める前にこうなる・こうすると決めてしまわずに、臨機応変にやっていくことで、
結果的に目指していた道や、それ以上の方向へ進めていくのではないでしょうか。
求めている人物像
僕が社長になって日々感じることは、
“人”というものがとても大事であるということ。
サービスが思うように伸びないとか、
資金調達をどうやってしてこようかなど、
経営者としての悩みはいろいろありますが、
それよりもやはり人周りの悩みは日々絶えません。
僕は起業する前はグーグルやグリーという看板に守られてきた人間なので、
そこでの人間関係はなんとかなってきました。
ところがスタートアップとなるとそうも言ってられません。
人の動きが直接会社の生き死に関わってくるからです。
事業とは全く関係ないところで崩壊の危機になりうるような世界なんですね。
小さいからこそ、
社員同士の方向性はオープンにし合わないといけないと僕は思いますよ。
でもその分、純粋になにか新しいものをリリースしたときは、
本当メンバーみんなで喜びあいます。
それがスタートアップならではの醍醐味だと思うんです。
一緒に同じ方向に向かえ、
一緒に泣いて一緒に笑えるメンバーがきてくれれば
いつでも大歓迎ですよ!
学生へのメッセージ
僕からみなさんに言いたい事はただ一つで、
インターンシップを受けまくってみてください。ということ。
最近のインターンシップの傾向を見ていると、
できる事をさがして受ける人が多いなと感じるんです。
でも社会に出るとそうではない。
できる事以上のことをまかせられ、
それが楽しいと感じる事ができるのが社会人だと思うんです。
だからもっともっといろいろインターンシップを受けて欲しいし、学んで欲しい。
会社としてもそういった意欲がある人を求めていますからね。
「それよりもこのメンバーと働きたい」とか、
「この社長と働きたい」という想いを大事にして、
イケてる人たちがいるところにガンガン飛び込んでみてください。