代表者 海野修自
設立 | 2004年7月14日 |
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事業内容 |
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会社HP | http://www.syncthought.com/ |
DJからプログラマーへ
高校は大学の付属校で、
それなりのレベルの大学にエスカレーター式に進学できることもあり、
将来に対するビジョンをあまり持たずに大学に進学しました。
大学時代は学業はそこそこに、
アルバイトとクラブでのDJの往復のような暮らしをしていました。
当時、LogicAudioという作曲ソフトを動かしたいがために、
秋葉原に通って自作パソコンを作ったりするうち、
DJ仲間の先輩にVisualStudioという開発用のソフトウェアをもらったのがきっかけで、
プログラミングを始めることになります。
自分で技術系の参考書を購入して勉強するうち、
Javaに対して強く興味を持つようになりました。
DJですと毎週レコードを買うのですが、
エンジニアは本を買って勉強するというのが、
収集癖と向上心を同時に満たしてくれる共通点があったようです。
就職活動中は、プログラミングをより深く学べるところとして、
大手のシステムインテグレーターを志望しておりました。
しかし、システムインテグレーターはプログラミングを組むのではなく、
プロジェクト・マネージメントができる人材を求めているため、
まったく内定が取れませんでした。
そこで、当時毎月購入していたJavaWorldという雑誌の広告で見かけたIT企業のことを思い出し
面接を受けてみることにしました。
その企業は、日本中のJavaのトップエンジニアが集まるITコンサルティングを手掛けるベンチャー企業で、
新卒採用をしておりませんでした。
しかし、担当者に無理やり約束を取り付け、面接を受けさせてもらったところ、
なんと翌日に採用が決まり、新卒1期生として入社することとなったのです。
「ものづくり」で独立を決意
会社にとっても初めての新卒採用で教育制度が整っていなかったため、
まずは夏休みに1か月インターンシップとして会社に出入りしました。
学生のころからJavaに触れていたので、
少しは仕事ができるだろうと考えていたのですが、
実際はまったく歯が立たず、反省して猛烈に勉強を始めました。
そのかいあってか、入社するころには別人のようなスキルを蓄え、
先輩に「こんな新人みたことない」と言わしめるなど、
入社後には様々なプロジェクトに携わるようになります。
プロジェクトは3か月から半年ほどで入れ替わり、
いくつもの案件に関わるようになるうち、
自分の技術スキルに自信ができたこと、
会社の方向性が開発からITコンサルティングにシフトする中、
エンジニアとしての自分の目指すものと違ってきていることも感じていたため、
さらなる成長機会を求めて、独立することを決心しました。
当時、フリーのエンジニアでもサラリーマンの倍の年収を得ることが可能だったのと、
1円起業が可能になった年ということもあり、
特に不安も感じることもなく勢いで起業しました。
しかし、「ものづくり」をしたくて会社を立ち上げたのですが、
何を売ればいいのか、何をしたらいいか困ってしまい、
知り合いのつてや今で言うクラウドソーシングのようなサイト経由で受託開発をしながら、
1人SIerとして資金を貯める生活が始まりました。
新規事業の挫折と再起
受託開発を始めてから2年ほど経ち、周りに独立する人が増えだしました。
そこで、そうした人とタッグを組んで何か仕事ができないか考えました。
当時は「Web2.0」と呼ばれるブログのように誰もが情報を発信できるようなしくみが流行しだした時期で、
自分たちもその時流に乗ろうと、
ブログとアフィリエイトを組み合わせた「ADCan」というサービスを開始しました。
サービスの運営は、知人の会社とともにジョイント・ベンチャーのような形で開始し、
一方の会社が営業、弊社が技術を担当してサービスを提供するという形をとりました。
しかし、1年ほど運営した結果、売上はたったの5万円。
これでは続けられないとサービスを停止せざるを得ませんでした。
Web2.0のサービスはマネタイズが難しいこと、
ユーザー・広告主企業双方の集客が必要で、
利益の出る規模にするには営業・マーケティングを回すための大量の資金が必要だったことなど、
技術一辺倒でやってきた自分にとっては、ビジネスの難しさを知る苦い経験でした。
次に何をしようか思案していたとき、
受託開発を請け負っていた写真のECサイトに目を付けました。
サイト内の写真は全部で500万点ほどありましたので、
弊社が開発した検索エンジンを導入したところ、
写真の3年ほどで売上が10倍に伸びたという実績があったのです。
そこで、このノウハウを生かそうということで、
「サイト内検索」SyncSearchを始めました。
当時、サイト内検索は他社も手掛けていましたが、
他社より使いやすく、安く提供すれば売れるのではないかという感触があったからです。
サービス開始から6年目を迎え、現在では約200社がSyncSearchを導入しています。
BtoBの「Google」になる
きっかけが「ものづくりをしたい」という思いから起業をしているため、
今後も技術をベースとした企業として成長していきたいと考えています。
その技術を、日本を発信源として世界に展開できるようにしていくのが今後の目標です。
当社は今年で創業10年という節目を迎えますので、
会社の方向性や企業理念も今一度見直して第二創業するという意気込みで考えています。
今考えているのは、「BtoBのGoogleになる」ということです。
Googleは検索エンジンやメールサービス、クラウドサービスなど、
エンドユーザー向けのあらゆるサービスを展開していますが、
当社はそれをBtoBに置き換え、
企業のWebサイトを取り巻く様々なマーケティングツールを提供し、
ITの力で企業の競争力を強化していきたいと思っています。
サイト内検索はその一環であり、それ以外にも現在新しいサービスを企画しているところです。
現在企業の管理部門などが手作業でやっているような仕事を、
よりシステマティックに できるようなサービスを開発していきたいと思っています。
例えば、同じ企業のWebサイトでも、
日本向けは充実していても海外向けのものは手がかけられていないといった事例に対し、
自動で更新できるようなサービスを提供するなど、
既存のサービスをよりシステマティックにすることで、
企業の商品力や事業内容などがますます際立つよう支援していきたいと考えています。
採用の基準は「高いスキル」と「有言実行」であること
私は採用の際には、たとえ自分より年下であったとしても、
「ここだけは社長には負けない」
というものを持った人を選ぶようにしています。
現在当社では、200社以上のシステムの開発や保守運用、
自社のクラウドサービスの 運用などを4名の開発スタッフで行っていますので、
エンジニアに関しては高度なスキルを持つ人を採用したいと考えています。
現状、私自身も開発に携わることが多いですが、
今後、会社の規模が大きくなればどんどん社員に仕事を任せていきたいと思っています。
とはいえ、Facebookをはじめとする海外の名だたるIT企業でも、
最近は社長になっても プログラムの設計をしている人も多いです。
私自身も、まだまだクリエイターとしてやるべきことがあると思っていますので、
それを達成するまでは、なるべく開発の仕事に関わっていくつもりです。
また、「これをやりたい」というビジョンは持っていても、
そのビジョンを達成するために今していることが言えない人が非常に多い印象を持っています。
割ける時間が例えごくわずかだったとしても、
目標達成のために継続して何かしているということは、
すごく評価できることです。
比較的時間に余裕のある学生のうちに、
何か目標を定め、行動できるようになってほしいと思います。
若いうちなら、半年勉強して別人のようなスキルを備えることも可能です。
当社のようなベンチャー企業では、
社員に手とり足とり教育するような体制を取ることが難しいため、
自分で問題点を見つけ、自分で問題解決に向けて動けるような人がとても重宝されます。
そういう素質を持った人は、どこの企業でも活躍できることでしょう。
若いうちにできることは、若いうちに。
昔に比べ、リスクを恐れ保守的、草食化している学生が多いと言われていますが、
若いうちのリスクは、恐れることはありません。
やれること、やりたいことがあればどんどん挑戦すべきです。
私自身、24歳で起業をしましたが、
起業することに対してはリスクだと考えておらず、
自分の能力を伸ばすためのチャンスだと考えていました。
行動することに対して難しく考えすぎて何も行動できない人がたくさんいる中で、
行動できるならば、ほかの人よりも圧倒的な差をつけることができるでしょう。
特に、結婚して子供ができると時間的にも環境的にも保守的にならざるを得ません。
20代のうちに、いかに30代以降に活躍できるようなスキルをつけるか、
高い志を持てるかが重要です。
様々な経験や学習を通して、価値ある未来を自分の手で手に入れるよう頑張って欲しいです。
最近は、新しい経験や出来事に対し、
何の感情も抱かない受け身な人が増えていると感じてます。
毎日を同じように過ごし、ただ何となく時間だけが過ぎていくのは非常にもったいないことです。
新しいことや面白いことに常にアンテナを張り、
毎日を刺激的に過ごせるよう心がけることで、人生が変わっていくのです。
若いうちにしかできないことを、若いうちにやる。
私自身もまだまだ若いと思っていますので、
会社の仲間とともに常に挑戦していきたいと思っています。