代表取締役 澤田 英
設立 | 1990年8月20日 |
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事業内容 |
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会社HP | http://www.chirashi.co.jp/index.html |
継続していく力
大学在学中、フィールドプラニングという会社の設立にかかわり、
学業の傍ら同社の実務を担当していました。
企業の基幹業務システムなどに用いられる大型コンピュータシステムが全盛の時代、
パソコンを利用したシステムの開発・導入に成功し、
数々のマーケティング手法を編み出す経験もさせてもらいました。
1988年、大手小売業の食品関連の部署に所属し、
マーケティングの一環としてチラシ分析の研究を開始。
特売の際は事前にチラシのゲラ刷りを見て、商品を確認したものです。
「いずれはごみ箱行きの“チラシ”がマーケティングの基本材料になるはず」――
こう思い立ち、1990年に「チラシレポート」を設立しました。
全国のスーパーなどのチラシを分析し、店頭での価格動向を調査しているチラシレポートは、
さまざまなメディアでも取り上げられ注目を集めてきましたが、
何か特別なことをしたというより、
「これなに?」「面白いことしよう」
と幼いころから持つ探求心を大人になっても持ち続け、行動に移していった、
ただそれだけのことだと思います。
全国のチラシを素早く分析
「チラシレポート」の作成は、週単位で行われます。
毎週月曜日に、全国約1,000人のモニターから届く約1万枚のチラシを、
特定の地区に分類し、食品スーパー、ホームセンター、
ドラッグストア、酒販ディスカウントの4業態に分類します。
チェーン数にして、約1,100チェーン、店舗数約3万店に及びます。
地区、業態別に分類されたチラシに、更に当社独自の方法で手を加えた後、
これらの情報をパソコンに入力し、地域、店舗、商品価格情報などをデータベース化します。
さらに、このデータを分析・加工したものが「チラシレポート」となり、
週末には、週次レポートが出来上がります。
レポートでは、その商品の最高・最低・平均価格や、各地区の販売価格をはじめ、
商品のチラシ掲載率も提示し、多角的なデータ分析を行っています。
食品スーパーチェーンのチラシタイトルやテーマを調査しデータ化した「チラシタイトル100」や、
法人向けの有料会員制サービス「チラシ図書館」を開設・運営しているほか、
メディアを通じて、チラシを見る上でのチェックポイントや流通・販売のあり方、
チラシの有効活用法などを提案しています。
自分の財布で買いたくなるものを作れ
会社設立から20年以上が経ち、約50人で始まったモニター数は
今や1000人以上に増えました。
従業員も増員し続け、現在派遣・パートを含めて約41人が働いています。
社員には、いつも「自分の財布で買いたくなるものをつくれ」と伝えていて、
どちらかと言えば、慎重派なタイプが多いですが、
提案された内容は、すぐに否定せず中身をしっかり見て、
実現するために何を改善すればいいかを話します。
いろいろと口うるさく言うので、「面倒くさい上司」だと思いますし、
すぐに“枝葉”が伸びないこともありますが
常に「何のために」「何をしているか」を考えてほしいですね。
求める人材は、意図しないフィールドに放り込まれたときに最善を尽くせる人。
苦手なことや初めて経験する場面でも、力を発揮しようとするかどうか、
そこにその人の質が出ます。
また、継続的に学ぶ姿勢があるかないかで、その後に差が出てくると思います。
仕事で人生をつぶすな
仕事に対する価値観はさまざまですが、
私は、仕事は人生の目的ではなく、生活の踏み台にすべきものと考えています。
朝から晩まで仕事をしたい・働きたいとのめりこみすぎるのではなく、
実入りの手段として割り切れと言いたいです。
「仕事で人生をつぶすな」と。
私自身、若いころは、仕事ばかりしていましたが、
上司に教えられたり、いろんな意見を聞いて「働き方」を学ぶ中で、
こうした考えにたどり着きました。
自分の考え方を見直したのは、上司に教えられた経験があったから。
いろんな意見を聞いて、学ぶなか、意図せず、この様なスタイルになってきたのです。
何のために仕事をするのか、それは自分自身でいられるためです。
どうやったらその場その場で面白く状況を変えていけるか考えることは、
「創意工夫」の基本です。
大工を目指すつもりはなくても、大工の仕事を任されたらやってみる、
覆面レスラーでデビューしてうまくいかなくなったら、
覆面をはがして新しいスタイルを模索してみる…
願わない環境に置かれたときに「切り替え」ができるかどうかが重要だと思います。
世の中の面倒くさいを解決したい
「世の中の面倒くさいを解決したい」。
そんな思いから、チラシレポートの事業は始まりましたが、
その基本は今も変わっていません。
便利になった分、多くの人は面倒くさいことをやりたがらなくなりましたが、
こんな時代にこそ「面倒くさい」を探す。
それこそが私たちの商売の特徴で、事業成功の理由と言えます。
チラシから出てくる表面的な部分を扱い続けて20年以上。
チラシが世の中にほとんどない時代に、企業の営業活動の手助けができればと始め、
チラシのプロになりました。
軸にあるのは「情熱」です。
「継続は力なり」という言葉がそれほど重視されなくなりましたが、
10年、20年と続けたからこそ言えることもあります。
今後は、これまで蓄積してきたデータをビッグデータとして活用し、
社会・経済の問題解決や、業務の付加価値向上を支援する
コンサルティング事業の展開を目指しています。
長年、会社を続けていると「やっておけばよかった」という振り返りもありますが、
深く、長くやってきたからこそ積み上げられたノウハウがあるのです。