代表取締役社長 熊本伊織

代表取締役社長 熊本伊織

設立 2013年
事業内容
    • 農業ビジネスコンサルティング、食農連携・食農ビジネスマッチング
    • 食品・農業ビジネス調査、マーケットリサーチ
    • 農業経営者・農業人材育成事業
    • 食品リサイクルコンサルティング
    • 農産物流通・販売事業
会社HP http://konnect-afl.jp

先輩と本が人生を変えた大学時代

ずっと音楽をやっていたんですよ。
だからプロのミュージシャンになって、
音楽で食べていけたらいいなと思っていましたね。
昼は音楽ショップで販売の仕事、夜は音楽教室の講師、そして夜中はバーで演奏する…
というまさに音楽漬けの生活を送っていましたよ。

そんな音楽だけしか頭になかった自分が変わったのが、
「先輩」と「本」の出会いによって。
ある時、ミュージシャン仲間だった先輩が大手企業に就職したんです。
うらやましいとかはまったくなくて、
正直ミュージシャンの夢を諦めたなぐらいに思っていました。
ところが、いざ先輩に会ってみると、仕事が楽しいのかとてもイキイキしてた。
これはとても意外で、サラリーマンもそんなに悪くないのかなと思いましたね。

そしてもう一つ大きな出会いは松下幸之助さんの「社員稼業」という本。
内容にすごい感銘を受けて企業のトップである社長という仕事に憧れを抱くように。
カーッと熱いものを感じてすぐにスーツを買いに行きましたよ…
まだ大学2年でしたけどね(笑)。

就職活動の基準としたのは、
大企業であることと、法人営業であること。
大企業は企業の仕組みを知るためと、
法人営業の方が個人営業よりいろいろな人に出会えると思ったから。
創業者に感化されたということが大きな理由ではありましたが、
事業が多岐に渡っていたことも松下電工を選んだ理由です。
面接時から「将来起業しますから」と宣言していたのですが、
なぜかそんな自分が新入社員120人の代表として
入社式では挨拶をすることになるなんて思いもしませんでしたよ。

営業から農業コンサルタントへ

営業の仕事ではきちんと成果も出しました。
3年目で社長賞を受賞したことを機に、
2年連続でトップセールスの成績でした。
でもいざ起業するとなると
経営の仕組みなど知らないことが多すぎて、躊躇していましたね。
やがて本などを読み進めていく内に、
経営コンサルティングというものを知り、
経営の勉強になると思ってコンサルティングに興味を持ったんです。

しかし、当時は結婚していましたし、
職場でそれなりの結果を残してもいましたので、
転職したいと言うと妻は反対でした。
私自身も慣れた仕事が変わるという不安は確かにありました。
それでも挑戦してみたい思いの方が強く、
妻を説得して転職することになりました。

転職先は代表が著名なコンサルタントとして知られている、
船井総研(株式会社船井総合研究所)。
先ほどの不安を払拭するために1、2年目はとにかくがむしゃらに働きました。
何を学んだかと言えば経営云々というより、
真剣に働くことの厳しさ、難しさ、楽しさの方が大きかったかもしれませんね。

農業に携わるようになったのはこの頃から。
農業・食品リサイクルビジネス支援チームに配属され、
中小企業向けに農業をすすめて、参入する企業を増やしていくことが仕事でした。
会社のネームバリューもあって、順調にその数を増やしていけたのですが、
なかにはどうしても資金不足、人材不足の面から新規参入が難しい企業もありました。
大手時代ではどれもそろっていたので、
何か新しいことをやるという時もそんな悩みを考えたこともなかったですから、
それだけ違うんだと思いましたね。

また、農家に訪問する度に農家の方の誠実さ、自然を敬う考え方などに共感を受け、
気付けば農業の世界の虜になっていました。
もっと農業に関わる人を増やしたいという思いから、起業を決意。
もちろん自らが就農する道もありましたが、
それよりももっと考え方を広めるには会社を創ることだと思ったんです。
まず自分の会社の社員に農業に対する理念を広めて、
社員が家で家族に農業のことを話す。
そうなれば自然と農業のことを考える人を増やせると思ったから
起業しようと考えたわけです。

農業を会社に!法人化と経営者育成

転職の際にも反対されたぐらいですから、起業の際にも奥さんには反対されました。
まして今回は奥さんだけでなく、家族にも反対されましたよ(笑)。
それでもずっと起業したいと思っていたし、
何かと苦境に立たされている農業の世界を変えたいという強い思いがあったから
揺るぎませんでしたね。
だから当社は思いというか、私の理念でできたような会社。
これまでのコンサルタントとしての経験、ノウハウが農業の世界のために活かせると思ったんです。

今でも農家の方々の誠実な姿を見ると、
誠心誠意を尽くして仕事をする大切さを思い知らせてくれます。
私たちの仕事はそんな農家の方々を守り、
より発展するように全力を尽くすこと。
企業に向けた農業生産事業開始支援はもちろん、
農業経営者を育成する農業経営塾の運営、
そして生産した農作物の販売、流通の支援まで、
農業と食に関する一連の問題悩みについて解決できるようにサポートするのが事業内容です。

特に今、力を入れて取り組んでいるのが、農家の法人化。
これまでは農業で生計を立てていくことは難しいとの理由から
若者の農業離れが問題とされてきました。
もちろんただ生産するだけの農家では厳しいことには変わりないでしょうから、
販売、出荷、加工まで行う農業法人にすることを推奨しています。

法人化するとなると、
農業の知識だけでなく、経営の知識も求められるようになります。
農業に従事する経営者を育成するために、
農業版MBAのようなものを作り、
コンサルティングやセミナーを行ったりしてきました。
セミナーの講師となるのは、同じ農業界で成功を納めたトップ経営者たち。
その取り組みは熊本県から始まり、いまや各都道府県に広がりをみせています。
似たような立場の人が体験談を交えて話すことで、
より心が突き動かされるんではないかなと思います。

利益がきちんと出せて、
会社として経営していければ当然雇用も生まれる。
そういったアグリビジネスで伸びている会社を集めて
学生向けに採用イベントを行ったりもするようになりました。
若い人たちには就職活動の選択肢の一つとして
「就農」の二文字も十分に視野に入れてもらいたいと思っています。

来たれ!成長意欲にあふれる若人よ!

農業と食に関する「こうなったらいいな」を実現させるお手伝いをしている当社では、
やることは非常に多岐に渡ります。
例えば卸売事業部は、農産物の販売も行うし、飲食店などにメニューを提案することまでやります。
メディア事業部では、農業経営者向けに情報提供をするサービスなども展開しています。
これで終わりということはなく、
理念を追求していくために、
これからもっと新しい部署、事業が増えてくるかもしれません。

今現在、社員が5名、パートナーコンサルタントが3名、アルバイトが4名で、計12名いるのですが、
事業内容と規模を考えると明らかに人材が不足しています。
「こんなことやりたい」「農業に革命を起こしたい」という、
熱い思いを持った学生にはぜひ来てもらいたいですね。
理想は会社の成長と社員の成長が比例するような会社です。
世にたくさんありますが、
会社を伸ばすために社員が伸びなくなるような会社ではダメだと思っています。

だから当社ではとにかく社員の成長性を尊重。
会社の理念をしっかり理解し、腹落ちした上で、
やりたいと思う事業やサービスがあればどんどん発言してもらいたい。
そして、そういったやる気のある社員を
全力でサポートするような雰囲気を大切にしていきたいですね。
実際に19歳のインターン生がリーダーの事業部もありますから、
どんな社風かは想像していただけると思います。

若者へメッセージ!一歩先を考えよう

これからの会社を作っていくのは間違いなく若い人たち。
だから、若い人たちには今日よりも明日、明日よりも明後日という風に
未来を見ていってもらいたい。
「今」だけを考えていては絶対に成長できません。
ちょっとずつでもいいから、先のことを考えるクセを
若いうちから身につけてもらいたいと思っています。

採用の面談でも、
「○○がやりたいんです」とアピールしてくる人はとても多い。
しかし残念なことに、「どうして?」とか「何のために?」と尋ねてみると、
詰まってしまう人が多いんです。
やりたいという気持ちはとてもいいことなんですが、
もうちょっと先の理由や展開まで考えられるようになると
もっと深くなるのになぁと思いますが。

職人の世界なんかでもよく聞く話ですが、
プロの人ほど「まだまだ」とか「もっとうまくなりたい」という貪欲さを持っています。
進化を続けるためには必要不可欠な気持ちだと思っていて、
「これでいいや」と思ってしまったらそこまででしょう。
成長を続ける人ほど、遙か高い所に目標を掲げて
そこに向かって走り続けているものなんですよね。

走る方向を間違えないためにも
目標を掲げておくということは非常に大事です。

常に成長し続ける会社であるためには、
常に成長を追い求める社員たちが集まっていることがとても大事。
まずはほんの少し先のことでいいですから、
未来を考えるクセにしましょう。
そして小さなことからでいいので目標を立てるクセをつける。
目標は必ずしも達成しなければいけないということでもないし、
必要に応じて変わってもいい。
目標を立てれば、やることが明確になって、
その方向に走りやすくなりますからね。
これを繰り返して、いつかきっと本当に大きなゴールに辿り着けるようになる…
そんなものではないでしょうか。