代表取締役社長 田中宏幸

代表取締役社長 田中宏幸

設立 2010年12月8日
事業内容
    • ゲーム開発
会社HP http://www.ilinx.co.jp

幼いころからの「好き」を仕事に

ファミコンが流行り始めた小学生の頃は、
家でずっとゲームをやっているような子供でした。

京都の片田舎で生まれ、自然にあふれた土地で育ったにもかかわらず、
本当にゲームが好きで、外には行かずゲーム三昧の日々でした。

中でも一番影響を受けたのは、ドラゴンクエストですね。

いつの頃からか、
遊ぶだけでなく、自分でゲームを創りたいと思うようになり、
中学性の時にパソコンを買ってもらったのを機に、プログラミングを始めました。

当時『ベーマガ』というパソコン雑誌があり、
その中の投稿プログラムを見様見真似で打ち込んでいたのですが、
だんだんとそれだけでは飽き足らず、
改造して新しい動きを追加したりするのが面白くなっていきました。

高校時代にはゼロからオリジナルのゲームを創れるようになっており、
友達に見せていました。

「創る→見せる→意見を貰う」という一連のサイクルが面白く、
この頃には将来はゲーム会社に就職しようと思っていました。

専門学校卒業後、小さなゲーム会社に入社し、
今日までずっとゲームに関わっていますが、
37歳の今も「ゲーム好き」に変わりありません。

「好き」を仕事にできているのは、
大変なこともありますが、
とても楽しいし、ありがたいことだと思っています。

大規模組織への違和感

会社を設立したのは2010年。

それ以前は、大手のゲーム会社に転職しプログラマーとして働いていました。

好きなゲームを仕事にできていることにやりがいを感じる一方で、
100人を超えるようなプロジェクトに携わることで、
一人一人の役割が小さくなり、
ゲームを創っているというより、部品を作っている様に感じられる事が増えました。

また、規模の大きいゲームは、1つの機能を創るのに時間が掛かるため、
例えば機能を組み合わせた時に面白くない事が判っても、
修正する期間が無いので変更できないといった事もあり、
ゲーム作りとして違和感を感じるようになりました。

そういった中で何年もゲーム作りを続けてきましたが、
段々とその違和感が膨らみ
また色々な人との出会いがあり、今の会社を設立することにしました。

社員数は現在、23人ほど。
少ない人数で、一人一人が「面白い仕事」に関われる会社を目指しています。

家庭用ゲーム機で感動を

会社設立の初期メンバーは、前職で共に案件に取り組んできた仲間達で、
その後、色々な人からの紹介で少しずつ人が増えていきました。

弊社の特徴は、
PS3、PS VITA3DSといった
家庭用ゲーム機を中心に作っていることです。

今はスマートフォンのゲームが盛んですが、
家庭用ゲーム機の様な「感動」や「爽快感」といった体験を得られる様なゲームを作るのは
環境やビジネスモデルといった問題から、非常に難しい状況です。
皆が感動できるようなゲームを作るためには、
未だ家庭用ゲーム機が最適です。

また、スタッフが全員家庭用ゲームやアーケードゲームの経験者という事もあります。
スマホの市場に対して興味がなくもありませんが、
寄り道をするよりも、自分たちが培ってきたものをさらに最適化していくことが、
一つの戦略だと思っています。

もうすぐ日本でもPS4が発売予定で、
それに関連したお話もいただいております。
これまで培ってきた家庭用ゲームの土台を活かして、
業界全体を盛り上げられたらいいですね。

アジャイル開発で全体共有を行えるチーム作り

面白いゲームをつくるためには、
チーム全員の『腹おち』が重要です。
つまり、進むべき方向をどれだけ深く理解し、納得しているかということです。

メンバーはそれぞれの専門分野を持っており、
チームは異なる技術を掛け合わせて作業を進めていきますが、
ただ単に言われたことをやるのではなく、
一人一人が互いの仕事を理解して、納得しながら進めていく方が、
より良い物が出来ます。

ソフトウェア開発手法の一つで、
アジャイル開発というものがあり、
弊社ではその中のスクラムという手法でゲームを制作しています。

スクラムの基本は状況の「可視化」です。
壁やホワイトボードに作業を書いた付箋を張り、
全員の進捗などが常に見えるようにしています。
また2週間に1回、現状のゲームを皆で見て意見やアイデアなどを出し合います。

これらにより、遅れや問題点、目標などを全員で共有化し、
ラグビーのようにスクラムをガッチリ組んで前に進む事が出来ます。

私も「スクラムマスター」という資格を持っており、
各自に命令を出すのではなく状況を整理して可視化出来るようにし、
皆が良い方向へ進めるようサポートしています。

ゲーム業界ではまだ珍しい手法ですが、
面白いゲームを効率よく、そして楽しく創れるように採用しました。
スクラム以外にもコードレビューといった様々なアジャイル開発手法も取り入れています。

Aに対して、A+Bまでできる人

採用については、これまで業界経験者が中心です。
誰かの紹介か、または体験入社をしてもらって、
お互いが「win-win」ならば成立。
広く門戸を広げているわけではなので、なかなか人が増えません。
新卒採用も同じで、インターンとして一度働いてもらってから、
お互いが「フィット」した場合にのみ内定となります。

社員23人のうち4人は新卒採用です。

私が新卒で採用したい人は、Aという内容に対して、A+Bが創れる人です。
そして、そのBこそが面白いゲームの原動力となります。
Bが創れるかどうかの差は、情熱をもっているかどうかだと思っています。

また、今のスキルよりも伸びしろを重要視しています。
なぜなら社会人になると1日7時間、プロの指導の元で、ゲーム作りを学んでいくからです。
学生の頃のスキルの差は、伸びしろ次第であっという間に埋まります。

こういった情熱や伸びしろなどは
履歴書や面接だけでは分かりません。
そのため採用には時間が掛かってしまいますが、
むしろ他の会社に落ちた人の中にそういった人がいる場合も多々あるので、
今後も時間を掛けて探していきたいと思っています。

ものづくりが楽しいと思える人に

弊社には、どちらかといえば、安定を求めるのでなく、
面白いものを作りたい、凄いものを作りたいという思いの人が多く在籍しています。

国籍含めて様々な人がいますが、
皆で仲良くスクラムを組めており
今のところ転職者もいません。

皆が全力を出せる環境を用意するのが社長の役割ですから、
今も、ランチミーティングなどを通じて、
現状何か問題を抱えていないか、
会社をどうしていきたいか、
常にヒアリングしています。

経営者と社員の距離が近いことが小さな会社のいいところかもしれません。

ものを創っていくのが楽しいと思っている人に来てほしいですね。