代表取締役社長 兼 CEO 稲葉雄一
設立 | 2006年11月1日 |
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事業内容 |
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会社HP | http://branddialog.co.jp/ |
自分の仕事が斜陽産業になるという不安
サラリーマン時代は広告代理店に勤めており、
主に企業のプロモーションプランニングを担当していました。
グラフィックデザインやキャッチコピーなどと違い、
プロモーションについては、
いくら斬新で面白いものを考えたとしても、
企画者の名前が世に出回ることはほとんどなく、
プロモーションはフィールドでの販売促進として行うことがほとんどなので、
その企画自体も、終わってしまえば何の形にも残らない、
というさみしい面があります。
また、プロモーションは景気の変動を受けやすく、
景気が悪くなれば、企業はイベントなどの特定のエリアのみで実施する宣伝活動よりも、
全国へ一気に発信できるテレビCMなどの広告を選ぶ傾向にあります。
そのため、今後何年も
プロモーションプランニングを仕事としていくことに不安を感じており、
おそらくもう何年かすれば、
この仕事は斜陽産業のような扱いを受けるようになるだろう、
と考えるようになりました。
そんなとき、わたしはふたつの考えにたどり着きました。
ひとつは、何か企画を考えるとき、
必ずひとつは成功した、といえるような指標を持っておくこと。
そして、その成功を導き出すためのプロセスを考え、
考えたプロセスを踏んでいくこと。
何かひとつでも勝算があれば、企画は大失敗だということにはなりません。
1年間のうち、そうした企画を2、3本やり、
成功した部分に焦点をあてて社内にアピールしていけばいいのだと
考えるようになりました。
もうひとつは、まだ自分の評価が高いうちに会社を辞めれば、
独立したあとも、会社と良好な関係を築いていけるということ。
会社と良好な関係のままでいれば、仕事は継続します。
その仕事で得られた対価によって、
自分が抱えていた業務課題を解決できる方法を探していました。
インフラ整備こそが、本当に解決しなければならない問題だった
私が抱えていた課題とは、「webプロモーションのインフラ整備」です。
例えば、ネット上でキャンペーンを展開した際、
キャンペーンを企画して、実際にWebサイトに掲載するのにかかるコストよりも、
サーバーやネットワークのようなインフラに対するコストのほうが、
何千万、何億と圧倒的にかかります。
webサイトの新しい見せ方・技術がより発展していく中、
アクセス数が増え、それに伴ってインフラも強化していかなければならず、
膨大な金額を投資しているのです。
ここを何とか解決できないだろうか、と考えていました。
2011年には地上波デジタル放送が開始し、
放送と通信が融合する時代がやってくる、となったとき、
さらにコンテンツや人の流入が増え、
この課題はますます深刻化していくと気付いたのです。
企業が広告やキャンペーンを打ち出すとき、
もっとも費用がかかるのは、インフラです。
広告の基盤となるインフラを支えていかなければ、
キャンペーンそのものが成り立たなくなります。
しかし、広告主が数百万の予算で作れるwebサイトに対し、
インフラの保守費用として何千万も払うでしょうか。
きっと、どの広告主もそれを嫌がり、webを作りたがらなくなるはずです。
もし、このインフラの課題を解決することができたら、
webサイトの市場価値は大きく上がり、
業界全体の改革につながる、大きな進歩となると考えていました。
解決の糸口となる「グリッドコンピューティング」
解決の糸口となるような方法や理論を探していたとき出会ったのが、
「グリッドコンピューティング」でした。
グリッドコンピューティングとは、
ネットワークを介して複数のコンピュータを結び、
複数のコンピュータに並列処理を行わせることで、
高速に大量の情報処理を実行できる、
というシステムです。
その後、アメリカからクラウド(仮想化)の概念が生まれ、
Googleなどが独自のクラウドシステムを発表するようになると、
クラウドという概念も一般的になっていきました。
当社が開発してきたこと、
クラウドの技術の根底にある部分だったのです。
それまで、前職との関わりの中で仕事をする機会が多かったのですが、
このクラウドという考え方が広まってからは、
当社にも問い合わせが殺到したため、
業務をクラウドビジネスへとシフトしていきました。
実際に本格的なビジネスとして始動させるため、
最初は企業のグループウェア
(企業内のみ使用できる設備予約機能やスケジュール機能などのこと)に注目し、
当社でグループウェア機能を無償提供する代わりに、PCの能力を借りる、
というビジネスモデルで展開していました。
これが、中小企業のニーズに合致し、
さらにリーマンショックによる企業の大幅なコストダウンの時流に乗り、
当社にはさらに多くの引き合いが寄せられるようになりました。
たった1件のお客様のため、北海道から沖縄まで飛び回る
創業当時は誰も耳を貸してくれない状態だったので、
営業にはとても苦労しました。
広告マンだった頃は担当のクライアントが決まっていたので、
そのクライアントのもとを行き来し、
情報を仕入れて新しい仕事につなげていくというスタイルでした。
そのため、ベンチャー企業のように飛躍的に取引先を増やしていく方法が、
まったくわからなかったのです。
また、一般的には1人の利用に対し月額いくら、という課金システムを採用しますが、
それでは予算に縛られ、社員には利用権限を与えられるが、
アルバイトや派遣社員には利用させることができない、
という事態が起こるだろうと考え、
当社の場合は企業単位でいくら、という課金システムを採用しました。
全員が利用できるようなサービスにしていかなければ、
普及はしていかないだろうと考えたのです。
ところが、企業ごとの課金システムでは、当社側の採算が見えにくくなってしまいました。
クラウドが一般的になった時期には、
全国から問い合わせが殺到し、お客様に営業訪問すれば大半が獲得できる一方、
移動経費が想定以上に発生しました。
たった1件の獲得のために、飛行機を使って出張に行くなど、
当社の規模であれば、他社ではおそらく考えないはずです。
しかし、初期に導入実績を伸ばすことにこだわり、
たとえ北海道でも沖縄でも、
1社のお客様の為、全国各地に飛び回っていました。
それが功を奏し、順調に売り上げも伸びていきました。
その後、問い合わせがさらに増えてくると、
同じ福岡に行くのにも、1社だけではなく、
複数のお客様を効率的に訪問できるようになるなど、
当初に比べ、生産性が上がってきました。
大企業に負けない、中小企業の「武器」を支え続けたい
将来の展望として、
BtoBの領域におけるクラウド・SaaSベンダーの中で
国内No.1になるという目標があります。
国内で生まれたクラウドベンダーの中では、当社は老舗的立場にいます。
ここで成功事例を世の中に見せていきたいのです。
国内でトップになり、
世界に通じる存在になっていきたいと思います。
当社は特に中小企業の業務支援を目的としたクラウドサービスを提供しているため、
クラウド上で動くソフトウェアを集約し、連携させ、あらゆる業務を自動化させることにより、
大企業に負けないための「武器」を支えていきたいのです。
当社が求める人物像は、
「やる気」と「志」を持った人物です。
当社はほかのソフトウェアベンダーとはビジネスの流れが少し異なっているようです。
今までの経験値を生かして勝負するというよりは、
新しい市場を作る、という高い志を持った人を求めています。
当社では、女性スタッフも活躍しており、
意志の強さや志の高さでいえば、男性を上回るものを見せています。
未経験であっても、
「パッション」をもった人物を強く求めています。
5年先、10年先の自分をもつ、
というのは非現実的だと考えています。
なりたい姿を口にすることは簡単ですが、
実際にはそんなことを考えたところで、
毎日どう過ごしていいのか、イメージがつきにくいことでしょうし、
行動にも移せないと思います。
それよりも、半年後、1年後、自分がどうなっているのかを考えるべきです。
当社でも、半年後、1年後の社員の姿を共有し、
そこに向かって進んでいこうとしています。
ベンチャー企業には夢がある
考え方の違いはあるにせよ、
当社は志が高い人間ばかりです。
会社を利用してのし上がっていこうと考えるよりは、
会社を良くしていこうと考えたり、
会社で何をしたいのかを一緒に考えていけるような関係だと思います。
ただ、会社で一緒に働く仲間が、
もし当社でやれること以上のものを求めていたとしたなら、
当社を離れ、新しい領域にチャレンジしていってほしいと思っています。
自分の能力が、会社でできることを上回っていたら、
きっと日々の業務は実に単調的で、
非常につまらないものへとなってしまうことでしょう。
そのときには、より大きなフィールドへ飛び出し、
より大きな責任を抱えられるところへ行くようにアドバイスしています。
ともに働いた仲間の離脱は、非常に悔しく辛いことです。
そうしたことが起こる度、もっとああしておけばよかった、
と後悔することばかりです。
私の座右の銘として、
「人に認められる努力は当たり前、人に認められる我慢を身に付けろ」
という言葉があります。
結果が出るまでの困難を共にし、
その先の夢や目標を共有できることこそ、
ベンチャー企業の醍醐味です。
ベンチャー企業には、夢が詰まっているのです。