代表取締役社長 春木 博
設立 | 2003年7月18日 |
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事業内容 |
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会社HP | http://www.commercelink.co.jp |
世の中に役に立つこと
会社を興すことについては、若い頃から関心を持っていました。
自分が育った環境が、両親を始め、親戚もほとんど自営業だったこともあり、
サラリーマンとして出世するとはどういうものか知りませんでしたし、あまり興味もありませんでした。
いずれ、自分で何かを始めることは当然の選択肢だったのだと思います。
1977年に大学院を修了し、新卒で富士通株式会社に入社しました。
当時、富士通は仕事がハードなことで有名だったくらいですから、
入社後は独立のことは忘れ、目の前の仕事に一生懸命でした。
当時のコンピュータは、新幹線のみどりの窓口の発券のように、
専門の係員が操作をするものであって、
エンドユーザが直接触れるものではありませんでした。
会社のコンピュータも大型コンピュータばかりで、
今のパソコンのように個人が日常的に接するものではありませんでした。
しかし、1990年代半ばに、「パソコン」や「インターネット」が普及し、
個人がコンピュータを直接操作し、世界の情報を知ることができ、
ホームページといった仕組みで自分から情報を広く発信できるようになりました。
これは大きな衝撃です。
当然、企業側もこの流れに注目し、
パソコンやインターネットを利用した新しい事業の開発に取り組み始めました。
ちょうどその頃、私は富士通のサービスビジネス部門の部長として、
新規事業立ち上げの旗振り役を担当することになりました。
グループ各社に新規事業を立案してもらい、優れたアイデアには予算面などで
開発の支援をする、というインキュベータのような仕事でした。
旗振り役の仕事を進めていくうちに、自分で新規事業を興したい気持ちが強くなり、
上司の許可を得て、インターネットを利用した新規ビジネスの開発をはじめました。
そのときに注目したのがEコマース(電子商取引)事業でした。
その後、1999年に富士通グループのインターネット事業をニフティ株式会社に統合することになり、
それを機にニフティへ出向しましたが、そこでも引き続きEコマースを担当し、
オンラインショッピングに関わる決済や物流、ショッピングモールなど、
様々なことに取り組んできました。
それらの取り組みの中で、「これこそ利用者の役に立つサービスに違いない」と確信したのが、
「商品検索サービス」というアイデアでした。
「商品検索サービス」とは、オンラインショッピングの商品を専門に検索するサービスで、
日本で最初のサービスでしたが、これこそ本格的に事業を興すべきテーマだと確信し、
積極的にサービス開発と利用促進を進めました。
しかし、当時のニフティは、自社会員向けにビジネスをおこなっていたので、
「より多くの人に使ってもらいたい」「世の中にもっとサービスを広めたい」
という自分の思いとは少し隔たりがありました。
この思いを実現するために2003年にニフティを退職し、
「商品検索のサービス」を引き継ぐ形で独立しました。
ただし、「商品検索サービス」は大がかりなコンピュータシステム資産で成り立っているため、
とても個人の資金で賄えるものではなく、
ニフティほか2つの会社から大きな出資をしていただけたおかげで、会社を設立することができました。
事業内容の核となる「商品検索」
当社の核となっている「商品検索サービス」は、
全国の多数のオンラインショップを横断して、欲しい商品を探すサービスです。
現時点では全国約1万のオンラインショップから収集した4,000万件の商品データベースを
検索するシステムでできています。
例えば、「ビジネスバッグ」を検索すると、
全国の多数のお店で販売されている「ビジネスバッグ」を一度にまとめて見比べることができます。
商品にコード番号がついている家電やパソコンのような工業製品なら、
当該コード番号で検索することができますが、
食品やファッション商品にはほとんど番号はついていません。
したがって、利用者が入力するキーワードを頼りに、
最適な検索結果を表示する必要があります。
実はこれにはかなり高度な検索技術と実務経験が必要です。
当初は、利用者が入力した「プ・リ・ン」というたった3文字で、
「プリンタ」でも「プリント柄」でもなく、
お菓子の「プリン」を的確に探し出すことが難しく、
とても苦労しましたが、現在では、かなり高精度で検索することができています。
高精度の検索を実現するためには、
元の商品データの正確性や商品の分類などをしっかりすること、
在庫切れの商品は表示しない、といったことも大切です。
4,000万件もの商品データを扱うわけですから、とても人力でできるものではありません。
当社は膨大な商品データの分類や在庫有無の判断などは、
自社開発したコンピュータシステムで行っています。
また、商品データは日々更新されなければなりません。
毎日4,000万件の商品データを収集し、
最新の状態に更新するのもコンピュータシステムで自動化しています。
これらのコンピュータシステムは国内随一の技術レベルと自負しています。
やや専門的な話になりますが、当社は、精度の高い商品検索サービスを実現するために、
全国に散在する商品のデータを自動収集する技術、
収集した商品データを正しく編集する技術、編集した商品データをサービスサイトに配信する技術を
10年以上にわたって開発し、発展させてきました。
利用者がパソコン、スマートフォン、タブレットといった多様なデバイスを通じて、
多様なシーンでインターネットを利用する現在、
それぞれのオンラインショップも、
多様な場面で自社商品がお客様の眼に触れることがますます重要になっています。
多様なシーンでお客様の眼に触れるには、その場に適切に自社商品写真を表示させなければなりません。
例えていうなら、受付に電話を置いて商談の電話がかかってくるのをまっているだけではなく、
営業マンがいろいろな会社を回り、自分のデータである「名刺」を配るのと同じです。
自社商品の名刺である「商品データ」を、様々な場所に登録しておけば、
注文を獲得するチャンスも増えるわけです。
このようにオンラインショップの商品データをお預かりし、適切に加工し、
様々な場所に登録するサービスを「データフィードサービス」といいますが、
当社はこの「データフィードサービス」でも国内のパイオニアであり、
もっとも多くの導入実績があります。
世の中にないもので新しい価値を提供したい
会社には色々なタイプがあると思いますが、
当社は、世の中にないもので新しい価値を提供する会社になりたいと考えています。
他社のコピービジネスはしません。
あくまでも、「こういうサービスがあったら便利じゃないか?」「役に立つんじゃないか?」
という観点でビジネス開発を行っています。
当然、日本で最初、パイオニアになるわけです。
日本初というのはなかなか儲かりません。
市場を開拓する以前に、市場を形成しなければならないからです。
市場が少し見え始めると他社が参入してくる、といったことがよくあります。
前述の「データフィード」もまさにその通りなのですが、
他社の真似をする側に立つより、真似されるくらいの方がずっとおもしろいと思っています。
また、流行りのビジネスモデル、一瞬だけ儲かるサービスについてもおこなう気はありません。
歴史というのは積み上げていくものだと思っています。
後世の人達が振り返った時に、「今のこのサービスはあの時コマースリンクが始めたんだ」
「このサービスは、コマースリンクのあの技術が基礎になっているんだ」という
歴史の一コマになりたいですし、そのような仕事を積み重ねていくつもりです。
まだ誰もやっていない歴史の一部分となるようなサービスをしていけるかどうか。
この部分に対してはこだわりをもって仕事をしていきたいと思っています。
成長意欲があり価値観を共有できる人
社員に求める人物像は、まず「成長意欲のある人」です。
そのためには、「謙虚さと素直さ」が大切です。
謙虚さとは、お客様、先輩、他人の話をしっかり聞けること、
良いと思ったことを素直に自分に取り込めること、
自分の誤りや未熟さを素直に訂正できることです。
本当の謙虚さは自信の表れです。自信のある人ほど周囲に謙虚に耳をかたむけるものです。
そして「価値観」を共有できる人です。
世界的に有名な米国のある経営者はこんなことを言っています。
人材を『優秀な人とそうでない人』、『価値観の合う人と合わない人』という2軸で表すと、
・優秀で、価値観が合う人は、どんどん一緒に仕事をしよう。
・優秀とまでは言えないが、価値観が合う人は育てましょう。
・優秀でもなく、価値観も合わない人はクビにしなさい。
・優秀だが、価値観が合わない人は転職をすすめなさい。
一番難しいのは「優秀だが価値観が合わない人」です。
なぜかというと、その人自身の能力は素晴らしいのですが、
価値観が違う社員が会社をリードすれば、会社の進むべき方向性も都度の判断も迷走してしまいます。
現在、当社は大きく分けて「商品検索事業」と「データフィード事業」
という2つの事業をおこなっています。
全社員が2つのビジネスのどちらか、あるいは両方にかかわっています。
水泳の北島康介選手がかつてオリンピックで金メダルを取った裏には
「チーム北島」の存在があったと聞いたことがあります。
「チーム北島」は北島選手を支える専門家の集団で、
トレーニングや食事面から健康、メンタル面まで、
チーム一丸となって北島選手を頂点に押し上げた、という内容でした。
当社も、全員が一丸となって「商品検索事業」と「データフィード事業」を
トップに押し上げようという気持ちで取り組んでいます。
会社として一つのことを成し遂げるには、こういったチームワークが不可欠だと言えます。
そして、各チームを引っ張る人には、「リーダーシップ」や「マネジメント能力」が大事になります。
上司になるほど総合的な「人間力」みたいなものが大切になってくると思います。
仕事のやりがい=お客様の満足
最後に学生の皆さんに2つのことをお伝えしたいと思います。
1つは、「本来、仕事はたいへん面白いものだ」ということです。
給与が増えたとか、昇進出来たということも確かに嬉しいことですが、
日々仕事をしていてなによりも嬉しいことは「お客様に喜んでもらえること」です。
自分たちが一生懸命取り組んできたことを、お客様に喜んでいただいて、しかも成果につながる。
それこそが仕事の面白さであり、やりがいだと思います。
あるビジネス分野でトップの会社になる、トップを走るということは、
それだけ「お客様に選ばれ、喜ばれている」という証拠です。
自分たちが提供するサービスや商品で大勢の人に喜びを与えられる仕事は
とても素晴らしいことだと思います。
だから、その信頼を損なわないようもっと努力していかなければなりません。
そうやって、会社も人も成長していくものであり、
仕事は人間を真剣に成長させてくれるものだと私は思っています。
2つ目は、一生懸命勉強すること、結局これが基本です。
最近、海外の学生を面接することがありまして、やる気に満ちあふれていて、
「数学が好きでたまらないから、データの解析を是非やらせて下さい」
とアピールしてきた学生がいました。
在学中に一番力を入れたことは「サークル活動です」とか「アルバイトです」
とアピールする多くの日本の学生と大きな差を感じさせられました。
「こういう仕事をやりたい」とか「将来こういう会社をつくりたい」と思っても、
基礎教養や知識がなければ実現できません。
学生という時間を将来のことを考え準備する時間だと捉え、
今やるべきことに一生懸命に取り組んでもらいたいと思います。