代表取締役社長 波間 俊一

代表取締役社長 波間 俊一

設立 平成15年10月
事業内容
    • 無機系セラミック塗料の販売
会社HP http://www.eco24.jp/

カナダで感じた新しい価値観

大学生のときは、学園紛争の時代で、まじめに勉強をした記憶はありません。
車が好きだったので、車を買うためにアルバイトをしたり、夏はよくキャンプをしました。
大学4年生だった1971年、ちょうど沖縄が日本に返還される前年だったこともあり、
当時の日本最南端であった与論島に出かけたこともありました。

大学卒業後はカナダへ行き過ごしました。
もちろんいずれは自分で稼ぐつもりでしたが、
当時は同じ学校の出身者が各職域や企業内で集まる「学閥」で就職が決まる傾向が強く、
駒澤大学だった私には選択肢が狭められていると感じていました。
無理して日本の会社に入るよりも自分で何かやったほうがいい、
そう思って海外に飛び出したんです。
当時は、大卒後に海外に出る人はあまり多くありませんでしたが、
今振り返ると思い切って行ってよかったと思います。
1年のうちに2カ月も休暇をとったり、永遠に続きそうな広くて長い道路があったり、
日本では想像もつかなかった価値観に触れて視野が広がりました。
日本では、家庭も顧みず働くような働き方が当たり前とされていましたので、
もっと人生を楽しむ視点を得られ、それは今も生きています。

さまざまなアイデアで新しいビジネスを展開

現在は、エコ・24の社長ですが、実はその前に4社ほど事業を立ち上げています。
1番最初は、建築関係の会社。
建築とは無縁でしたが、カナダで住宅の「ツーバイフォー工法(枠組壁工法)」を見て、
パネルのように組み立てていくその工法に魅了され、帰国して特許を申請しました。
日本独自の消防法や建築基準法などが立ちはだかり、
特許を取ったものの商売に結びつくことはありませんでしたが(笑)

その後、韓国で結核患者が多く、その原因の一つにレントゲンカメラが不足していると聞き、
レントゲンカメラの輸出に乗り出しました。
また、米航空宇宙局(NASA)が開発した日照調整フィルムの販売を手掛けたこともあります。
日照調整フィルムは、省エネ対策やガラス飛散防止など日差しを遮る窓ガラスシートのことで、
当時はまだ紫外線を反射させて可視光線を取り入れることが理解を得られず苦労しました。

4つ目のビジネスは、がんの免疫療法。
がん患者の白血球から抗体を取り出し、それを培養して強化したものを再び患者に戻す治療法で、
業界をリードしていた米エンドトロニクス社の日本支社代表に就任。
順調に歩み出した頃、米本社が会社更生法の適用を受け、そのあおりを受けてしまいました。

「環境に優しいコーティング技術」のエキスパートとして

その後、バスタブのリフィニッシング(再塗装)を手掛けていた知人と知り合い、
私もその営業に携わることになります。
もっと良い塗装膜をつくろうとする中で、京都の老舗漆問屋の協力もあって、
無機系のセラミックコーティング剤を開発します。
76ナノメートルという超微粒子のコーティング剤ができたのをきっかけに、株式会社エコ・24を立ち上げました。

エコ・24は、設立から今年で10年目。
「環境に優しいセラミックコーティング技術」のエキスパートとして、
建造物や船舶、車輌といったあらゆる物質にコーティングされるコーティング剤を販売し、
長期間の耐候性・耐久性の実現と環境負荷が少ない点の両方を持つ
優れた独自の技術をウリにしながら数多くの施工を手がけてきました。
主軸製品である「エコベスト(含浸固化剤)」は、
近年社会問題となっているアスベスト(石綿)を安全・迅速・低コストで
含浸固化する技術「CAS(キャス)工法」の開発とともに実現したもので、特許も取得しました。

石の上にも3年

安価で加工が容易な繊維状の鉱物であるアスベストは、
耐久性、絶縁性、耐腐食性、熱や酸、アルカリにも強い特徴があることから、
1970~90年代にかけて住宅建材や自動車、電気製品などあらゆるものに使われましたが、
空気中に浮遊し肺がんや悪性中皮腫の発症原因になることが分かり
2006年に原則使用禁止となりました。
そこで、私たちはアスベスト対策の根本的な解決方法として、
「アスベストを無害化すること」を実現したのです。

2006年には、初めて宮城県の鳴子町ヘルスセンター解体工事でアスベスト固化作業を実施。
同時に国立大学との産学協同による安全性を確立しました。
安全性だけでなく、工期も短縮できたことで評価を呼び、
その後はビジネスとして確立できるようになりました。

会社設立から数年の時間がかかりましたが、まさに「石の上にも3年」。
従来誰もやったことがないことを始めるのは、多くの苦労を強いられましたが、
環境サミットが日本で開催されたり、日本でも環境への意識が高まってきたことから、
これまで貫いてきたことが報われつつあります。
日本がそうなっていなければ、うだつのあがらないやつで終わっていたと思います。

目標は大きいほうがいい

ビジネスとして軌道に乗り、今は人を増やしていくタイミングでもあると思っています。
今後は、太陽光発電を長持ちさせるための事業や、福島の原発事故以来、
問題となっている汚染水の洗浄などにも役立てるような仕事ができればと思っています。
中国の環境問題の一つであるアスベストの課題にも注力し、
広い視野で事業展開していきたいですね。

目標は大きいほうがいい。
可能性のない目標でなく、少しでも可能性があることなら、どんどんやってみて、
自分にしかできないことをやって、社会貢献につながればと思います。
この広い宇宙界で人間が解決できることは2%しかないと思っています。
自然にさからってはできないのです。
その考えに基づいてできたのが「エコベスト」であり、この方針を貫いていきます。

新しい人を採用する際の採用基準は、実は何もありません。
お互いに話してお互いの持っているものを理解し合った上で、
マッチングしたら理想的なことができそうと感じたら採用します。
だからこそ、自分の信念をもって会社選びもしてほしい。
若い人は目標を高く持って、断られたら
「俺みたいのを断って損するよ」くらいの自信を持ってください。