代表取締役社長 鶴巻 謙介

代表取締役社長 鶴巻 謙介

設立 平成7年8月
事業内容
    • 国内出版事業
    • 海外出版事業
    • 書籍・雑誌の営業流通代行
    • 営業システム制作・販売
会社HP http://www.sanctuarybooks.jp

憧れの出版社へ!

私は昔から本が大好きです。そのため大学も、好きな作家にゆかりのある大学に進みましたし、
当然学生時代から出版社に就職したいと考えていました。
ただ、出版業界が狭き門だった為、どの様にしたら就職できるのかについて考え、
その方法の一つとして出版社でアルバイトをして、そのまま就職できたらなということも考えました。
しかし、地元の小さな出版社では、特にやりたいことが出来そうになかった為、
この方法での就職は諦めることになりましたね。
もちろん就職活動でも出版社を受けましたが、
残念ながらご縁が無く、憧れの出版社就職への道は閉ざされたように思えました。
そんなとき、丁度アルバイトをしていた本屋さんに出版社の方がいらして、私を誘ってくれたのです。
社員は5人しかいない小さな会社でしたが、すぐお世話になることに決めました。

いざ就職してみると、人数が少ないこともあり、営業マンとして西日本全域を担当することに!
ですが、会社が大手出版社の子会社であったことや、
書店でのアルバイト経験を活かすことが出来た事もあり、
初年度から順調に成果を上げることができました。
また、一度仕事を覚えてしまえば、基本的にはルーティンワークが中心だったため、
特に問題もなく2年間が過ぎていきました。
しかし、問題がないという所が、逆に私自身のモチベーションを下げてしまい、
退職の理由になってしまったのです。

運命を変えた出会いと、起業

就職から1年程経った頃でしょうか。
友達の友達という形で弊社の創業者である高橋歩と出会ったことが、
今の自分を作ったきっかけになります。
高橋は最初に出会った当時、バーのオーナーをしていました。
その時、自分たちで本を出版するつもりだという話を私に聞かせてくれたのです。
しかし当然、バーのスタッフだけではどの様に本を出版できるのかということもわかりませんから、
色々と話をするうちに私も手伝うことになりました。
先程述べた通り、西日本全部というかなりの広範囲が私の営業エリア。
各地で営業をする際に、ついでといった感じで高橋の本の紹介も行っていたのです。
ですが当時はあまり反響はありませんでした。

その出会いから1年ほどして出版社を退職した私は、本格的に高橋と働くことになります。
普段は書籍の営業をしていたのですが、
その時はまだバーの運営もしていましたので、私も週に1回ほどバーテンとして働いていましたね。
私が入社して1年半弱でその出版プロジェクトは解散してしまいましたが、
解散理由は高橋の結婚と無期限の新婚旅行によるものでしたので、気持ち良い解散でしたね。
そして解散の次の日、今のサンクチュアリ出版を起業することになるのです。

「本を読まない人のための出版社」

「本を読まない人のための出版社」…今でこそ、この言葉を掲げてはいますが、
起業当初はどの様な本を作ろうか、などという考えは持っていませんでした。
それは、自分自身が営業しか経験してこなかったため、
本の企画や製作がなかなか出来なかったという理由があったためです。
その為、基本的には高橋時代の流れを引き継いで行っていましたね。
しかし、少しずつではありましたが、
自分の中でどのような本を作ろうかということを考え始めるようになっていったのです。

私たちが学生だった頃、
私たちを指して「本を読まない世代」という言葉がよく使われていました。
様々な電子機器が出始めた時期ということも重なり、
読書が娯楽ではなくなっていったという背景がそこにはあります。
しかし、当時の本を見て、
私たちと同世代の20代の若者たちが読みたいと思うような本が少なかったということも事実でした。
そこで、まず自分たちが面白いと思える本を作ったらどうだろう、そう考えるようになったのです。

まず、うちの本読んでみなよ!

今の日本は、本を読まないでも生きていける世界です。
「この一冊が人生を変えた」と言える出会いは、
人それぞれに必ずあると思いますが、そもそもまず本を読まない人が多い。
「まずうちの本読んでみなよ」と、本を読まない人に言える出版社でありたいと考えていますね。

一個のジャンルにこだわっていては、本の世界への入り口としては不適切な為、
なるべく本の内容にこだわりは持たないようにしています。
ただし、「丁寧に本を作って丁寧に本を売る」という事を大切にして、私たちは出版をしています。
今現在、本は確実に売れなくなっています。
一見すると緩やかな下り坂であっても、現実はそうではありません。
売れなくなった分、出版社は本の冊数を増やして出版を行っており、
20年前に比べると、一点あたり約4分の1程しか売れなくなってしまっています。

しかし、冊数を増やした分、その作りはどうしても雑になってしまいます。
その様な本が、人生を変える一冊になど成り得るとは思えません。
そうしない為にも、本当に丁寧な本作りを心がけようと思えば、1ヶ月1冊作るので精一杯なんです。

日本中の本屋さんを元気にする。

今弊社は、年間12点しか出版していません。
しかし、今のクオリティを保ったまま、社員が力をつけていく事で冊数を増やせたらと考えています。
具体的には年間16点を目指したいですね。
出版業界全体で見た時、私たちの売り上げは小数点以下の規模でしかありません。
しかし、本の面白いところは、読み手には規模など関係ないという所。
大きい出版社であろうと、小さい出版社であろうと、
その人の「人生を変える一冊」を届けることが出来るのです。

そして今年度から、「本屋さんを儲かる商売にする」という目標を掲げて私たちは活動しています。
書店は25~30年以上頑張らなければ、初期投資額の回収が見込めないような、儲からない世界なのです。
そこを変えるために、私たちの本が売れた際の書店の利益率を上げることで、
まず本屋さんに元気になってもらうことを考えているのです。
書店やそこで働いているスタッフが本気で売ろうと思った本であれば、
必ずその本は売れると私は思っています。
スタッフが読んでもらいたいと思って行った工夫は、必ずお客様に響くものとなるのです。
その様な頑張りを見せる人たちが儲かる業界にしたいと考えていますね。
そうすれば、必ず出版業界は変わります。

人はやりたいことしかやりたくない!

基本的に自分がやりたいことは、
「一人でもできる人=プロフェッショナル」でないといけません。
プロが集まっているからこそ、組織は大きな成果を上げることができるんです。
「一人でできる」ということは、目標を立てることとは違います。
その目標を達成するために起こす具体的な行動を通して、
結果何を得たいのかということを常に考えてほしいのです。

会社に勤める、起業するということはゴールではなく、あくまでスタートでしかありません。
やりたいことを達成するための手段でしかない、ということに気付いていない人が多いのです。
私のゴールは、「心の底からガッツポーズをしたい」ということです。
心から喜べた時に思わず出てしまうガッツポーズを味わいたいのです。
それを味わうための手段として、私は出版社という道を選びました。
学生の皆さんは今、一番最後に見たい光景を思い描いてください。
人は基本的にわがままなので、やりたいことしかやりたくありません。
最終的に一生懸命できることはやはり、やりたいことなのです。

弊社で働いていただけるのであれば、私はどの様な人でも構わないと思っています。
どの様な形であれ、それは縁だと考えていますから、一緒に働きたいと思えばそれで構わないのです。
ただ、どの様なものであっても、やりたいことを思い描ける人物であってほしいと考えています。