代表取締役 石井和雄

代表取締役 石井和雄

設立 1991年4月
事業内容
    • スタッフジャンパーの専門メーカー
    • 展示会・イベント・事務服・作業服などの様々な用途向けのユニフォームを生産販売
    • 中国の合弁工場で既製品及び別注品を生産
会社HP http://www.l-m.co.jp/

大企業のサラリーマンから家業への転身

理系の大学を卒業し、東レでサラリーマンとして勤めていました。

一方で、実家はユニフォーム関係の仕事をしており、そちらも順調に伸びつつありました。
私は三男で、父親は昔気質な寡黙な人間。
あまり多くを話すような人ではなかったのですが、私が30歳を手前にした時に、
「お前はこのままサラリーマンを続けていけるのか?」と話をしてくれたのです。

当時、私も優秀な人材がたくさんいる中で、昇進することへの限界を感じていました。
そのため、父からの話には強く共感をしました。

そして家業にはいるため、実家のある仙台に行きました。
サラリーマン時代の週休2日の生活から、休みなんて取れないような生活になりましたが、
とにかく「石の上にも3年」だと思い、頑張って続けました。
当時はパソコンの導入や新卒採用、研修制度など、
そこまで行っていなかったものを取り入れ、会社の変革を進めていきました。

会社が大きく成長したのは、たまたま手がけていた、大手企業様の景品用に使われるジャンパー。
家電メーカーさんが工事店さんに配布するようなものなどです。
これが面白いように当たり、東京にいって全国区に展開しようと思い、
東京に営業所を作りました。

そこで数年事業を拡大し、暖簾分けをしました。

「社長になりたい」と思ったことはなかった

大企業の社長が立派で、売り上げの規模によってランク付けされるイメージがありますが、
私は必ずともそうだとは思いません。
サラリーマンでも起業でも、非常に重要なポジションだと考えています。

正直に申し上げると、社長になりたいとは全く思っていませんでした。
私の性格はナンバー1よりナンバー2の方が合っていると、そうずっと思っています。
ところが、いいナンバー1に出会うことができず、
それであれば自分でやるしかないと思い、今に至ったわけです。

私は企画したり、リサーチしたり、あるいは助言したり手配するのは得意でした。
ただ、最終的な決定をしたり、人をまとめたりする力は別物です。
これは本当のトップになるべき人に備わっているべき力です。
これがはっきり言って、昔の私にはあまりなかった、そう思っています。
だから会社を興すのは非常に苦労しましたよ。
ただ、やむにやまれずその立場になっただけの話なんです。
そういったなかで、とにかく我武者羅にやってきた結果が今につながっていると思います。

ただ、もう一回人選をやり直せといわれたら正直つらいですね(笑)
七転び八起きの人生でした。

逆境からの発想の転換

業務用ユニフォーム業界の市場が縮小している中、
弊社が売り上げを伸ばしているのは、
ネットからの販売を早期から行ってきたからだと考えています。

2000年くらいの段階からネットを導入していましたが、
その頃は人材もいなく、お金もなく、
在庫も持たないようにしている状態で、やれることがありませんでした。
景気自体もよくなかったので、大口の発注も少なかったですしね。

ただ、ネットなら店舗はいらないので、ホームページビルダーを独学し、
ホームページを作り、そこでユニフォームを売りました。
その頃は人材も少なかったので、自ら朝早く起きてインターネットを独学する日々でした。

そこから3年位して、これでビジネスをやっていけるんじゃないかと思うようになりました。
外勤営業を辞めて、社内でのお客様対応に徹しました。
ほかの事はやめて、ネットだけに特化した結果が良かったのだと思います。

当時、苦しい時代を支えてくれた社員は大切にしてきましたし、
今でも会社を支えてくれています。

新卒説明会を開くに当たり、あまり褒められた内容ではないので
会社の沿革を話すのは躊躇しましたが、それも一つのヒストリーだと思い、話すようにしています。

次世代へのバトンタッチ

私は10年単位で物事を振り返りますが、今までの人生はあっという間でしたね。

20代は夢中で過ごし、30代、40代は失敗しながらもやり直しがきく時代でした。
今振り返っていると、40代までが大切だと、私は思っています。

50代60代でももちろんやり直しはききますが、第4コーナーに差し掛かったところで、
次への世代へのバトンタッチを意識する頃です。
私はいつまでも主人公ではないと思っていて、
当然、次の世代が芽生えてきますから、
その世代に色々なものを引き継いでいって、伸ばしていかないといけないですね。

経営感覚を持った人を育てて養っていかないと、
企業がダイナミズムを持って伸びることはないと私は思っています。

なので、次の世代へのバトンタッチということで、新卒採用には力を入れようと思っています。
そして、新卒を採用することで既存の社員が変わっていきます。
これが下からの突き上げです。

私自身、経営や啓蒙の本を必死になって読むようになりましたね。
そういった本は昔からありましたが、色々な人の経験が反映され、
今の時代にふさわしい経営の本になっています。
そういったものをまとめて経営計画書を作り、賛同してもらいました。

待ちに待ったIT化、自動化の時代

今こういう時代に生まれているのはすごく幸せなことだと感じています。
IT化が進んだこの時代は、産業革命に匹敵する、それ以上の進化の時代だと位置付けています。

私は30年くらい前にプログラムを組んだりしていましたが、
その世界に可能性を感じながらも多忙で封印していました。
今再びそういった分野に触れると、
すごく技術が進歩し、様々なことが簡略化されていて感動します。
以前からこういった時代の到来をワクワクして待っていました。

IT化、技術化が進むメリットとしては、まずは単純労働とかから解放してくれます。
そして、発想や企画の大部分を実現してくれます。

一昔前なら想像もできなかったことが出来る、こういう世の中がやっときたという感じです。

弊社の業務の多くは自動化しています。
その自動化をまとめ、どこで何をしているのかすぐにわかるシステムを作りました。
様々なシステムが一目でコントロールできる、そんな素晴らしい時代が来たな、という思いです。

そういった自動化があって、弊社は社員数は少数精鋭です。
同業者に比べたら1/2以下の社員数で効率よく業務をこなしています。

ライフワークバランスを実現させていく

ベンチャー企業では珍しいですが、私は残業は否定派なんです。

もちろん、私自身、一生懸命やるのは好きですし、
社員にも一生懸命働いて欲しいですが、仕事に縛られて人間性を失うのは悲しいと思っています。
「ワークライフバランス」を主張しているようでは成功しないという考え方もありますが、
本当はワークライフバランスを実現してほしいと思っています。

私は夢中で仕事してきた方ですが、
振り返ってみてもっといろんなチャンスや時間の使い方もあったと思い、非常に悔しいです。
なので、社員や若い人には時間を有効に使い、人間性を豊かにしてほしいと思っています。
幸せの価値観は人ぞれぞれ違いますが、幸せを掴むための仕事であると思います。
仕事しかやってこなかったとか、仕事で自己実現してきたなど、
その人がそれで幸せならいいですが、
それで家族とか周りの人も幸せになれるのか、ということが大切ですよね。

なので、社員の貴重な時間は確保していかないといけないと考えています。

そこで、機械にできることは機械に任せ、時間を確保したいと私は考えています。
反面、人間の仕事を奪われるという指摘もあります。

しかし、人間でしかできないような生産性の高いやり方を考えることや、
クリエイティブな仕事をしていくこと、それが重要だと私は考えております。