代表取締役 板橋和彦

代表取締役 板橋和彦

設立 1984年9月28日
事業内容
    • ビジネスパソコン用パッケージソフト開発
    • アプリケーション開発および販売営
会社HP http://www.hexard.co.jp/index.html

起業するなら20代のうちに

時は1970年代。
いわゆる第一次ベンチャーブームと言われる時代。
教師になりたくて大学へ進学した私は、時代の流れに乗る形で起業しました。

当時はパーソナルコンピューターがおもちゃから、
計算や文章作成に使う道具へと変わる境目。
仲間達と「何やろうかね?」と話し合う中。目を付けたのはまさしく、
パーソナルコンピューターでした。

大学院でデータベースのことを学んでいる仲間と相談し、
今で言うとMicrosoft office のアクセスの初期段階のようなデータベースソフトを作り、
他の会社に持ち込んでみました。

すると、なんと商品化されることに!
当時はソフトウェアが少なく、開発会社は数えるほどしか無かったので、
トントン拍子で成功することができました。
そして大学在学中に起業。会社を設立したのはソフトが完成した後でした。

もしも起業するのならば、20代・30代の若いうちに起業することをおススメします。
現在の私であれば。
お金も、人脈も、経験もあるので学生時代に比べたら起業し易いでしょう。
(とはいえ、そんなに甘いものでもありませんが)

ただ、現在の私の年代で起業した場合。
もしも倒産してしまうと、後の人生全てを棒に振ってしまうことになりかねません。

でも、若いうちに起業すれば?
もしも失敗して借金作っても頑張って働いて返済すればいい。

何より、いくらでもチャレンジできるのです。
ですので、私は若いうちに起業すべきだと思います。

倒産の危機を経て気付いたこと

素晴らしいスタートダッシュを決めることができましたが。
実は会社を立ち上げて九期目の時に、倒産の危機に瀕することがありました。

私以外の創業メンバーが辞め、社内に不安が漂う中、お客様から
『あの社員の仕事が中途半端じゃないか』
というクレームを受け、やむを得ず私がサポートに入りました。
およそ5か月という時間をかけ、何とか解決することができました。

が、ふと気付くと来月の仕事が無い。
現場の仕事に追われたことで会社の計画性を見失う。
それは、経営者としてあるまじき行為です。

結果、会社の苦しい状況はその後暫く続きました。
その間、社員達に給料を出してあげられない期間もありました。

そんな中、ある取引先の方から
『伝票印刷のソフトを作れないか?』
と言われ、パッケージソフトを開発したことが転機となり、
徐々に業績も上がってきました。
といっても、会社が立ち直るまでには5、6年要しました。

ようやく気付きました。
今までは、儲かっていればそれでいいとしか考えおらず、
経営について何もしらなかったからこうなったのだと。

そこから私は、ようやく経営について、会社について考えるようになりました。

一人の社員が何役もこなせる組織に

組織について考えるようになったのは倒産の危機を脱しかけた頃からです。
人手が足りないなら増やす。
作業は分担して効率化。
会社をどう作るか?
なんて、考えてもいませんでした。

ある社員の話をします。
新卒で採用した理系の社員です。
そのまま開発部に入れると、開発しかできなくなるかもしれない。
そう考え、最初は営業の仕事を任せました。
そこで世の中のこと、ビジネスについて、電話対応、会社訪問のマナーなど。
色々なことを経験させて、去年開発部に移しました。

この社員は今年で四年目ですが、
今では電話対応は勿論、他の社員のサポートから商談まで。
一人で何役でもこなせるまでに成長しました。

営業部、開発部と仕切りを作るのは、何百、何千と社員を抱える大企業がやることです。
私達のように少人数規模の組織の場合、むしろ組織は曖昧にすべきなのです。

役割分担はしても、与えられた役割の中に閉じこもらない。
部署と部署との仕切りを低くすることで、
ある部署が忙しければ、他の部署の人間が手伝えるように。
誰かに何かがあった時でも、社員全員がサポートしていけるように。

そんな組織作りを目指しました。

個性豊かな社員達を見て思ったこと

実はリーマンショックの前後で私個人が落ち込んでいた時がありました。
立ち直るきっかけを与えてくれたのは、社員達でした。

創業期に入社した社員。
中途で入社した30代の社員。
新卒で入社した社員。

みんな、バリエーションに富んだ面白い人材です。
そんな社員達を見た時に
『彼らになら会社を任せていける!』
そう思いました。

そこから、私は徐々に世代交代を考えるようになりました。
今後10年をその時と考えています。

新しい、そして面白い人材を採用していき。
同時に彼らには私達の考えを伝承していきます。

会社の育休は全て有給だ、とか。
会社には人事評価制度が無い、とか。
ここでの仕事はソフトを作ることではなくソフトを動かすこと、とか。

これらは明確に制度化しているわけではありません。
つまりは、ヘキサードの考え方であり、やり方であり、文化です。

人材と共に、私達の『文化』も含めた世代交代をしていくことで、
これからのヘキサードを作っていければと思います。

今までよりも、これからを

とある社員の話です。
資格をたくさん持っていたこの社員に対し、面接の際に私は
『ウチは資格の有無を全く評価しないよ』と伝えました。

何年が経ったある日。この社員は私に、
『あの時に社長の言ったことの意味がよく分かりました』と言いました。

実は、入社当初、周りの人間の会話が全く理解出来なかったのです。
一年くらい経って、ようやく理解できるようになったそうです。

今まで何をしてきたか。
入社した時に何を知っているか。
正直、これは重要ではありません。

入社後に何を学んで何を吸収したのか?
こちらの方がとても重要です。

そういう意味での好奇心の強い方は、弊社にとって非常に魅力的な人材です。
業務として物事を学ぶ、のではなく。
分からなくても、新しいことを全て吸収したい!
そう思えるポジティブな方と一緒に働ければ、と考えています。

学生の皆さんに伝えたい3つのこと

正直、学生の時に起業するのは無謀かもしれません。
それでも、皆さんの夢や目標を実現する最善の方法はやはり起業なのです。
ですので
『自分もいつかは独り立ちするんだな』
と考えながら就職活動に挑んでもらえればと思います。

起業を考えている方へのアドバイスとして。
どんなサービスも、全て『ものづくり』ありきで回っている。
これを覚えておいて下さい。
最近では起業するとなるとスマートフォンアプリやゲームなどが主流ですが、
それらも全て、ものつくりがあるからこそ全て成り立っているのです。

あとは、自己分析とかメンタル分析などに縛られないことです。
こういうのが流行っているようですが、私からしてみれば余計なお世話です。
人間は変わる生き物です。
変わらないでいるには人生は長すぎます。
もしかしたら、変わることに否定的な方もいらっしゃるかもしれませんが、
どうあっても変わっていくのですがら、変化を否定せずに、
良い方向に変わっていくように努力していきましょう。