代表取締役社長 小林 琢磨

代表取締役社長 小林 琢磨

設立 2008年7月28日
事業内容
    • ソーシャルゲームのイラスト制作事業
    • 地元応援クラウドファンディング「FAAVO」の企画・運営
    • ソーシャルゲームの企画・開発・運営
会社HP http://www.searchfield.jp/

プロミュージシャンを諦めても…自分の思いを発信したい

中学時代からギターを弾いていて、バンド活動をしていました。
将来は音楽の世界で食べていきたいと思うほど、打ち込んでいました。
でも、大学3年生の時、自分にはそれだけの才能がないと思い、プロになることを断念。
音楽活動をする中で、すごく才能があるのにチャンスに恵まれず、
世に出られない人をたくさん見てきました。
そんな人たちを世に出すことで、自分自身も何かを発信したいという思いがあり、
学生の時からクリエイターの支援活動をしていました。

「自分の思いを社会に発信したい」これが、僕がずっと持ち続けている思いです。
それなら、経営者として発信者になればいいと考え、学生時代から起業に興味を持っていました。

でも、特殊なスキルを持っているわけではありませんから、
まずは営業スキルを身に付けよう、営業さえできれば何かしら会社を立ち上げられるだろうと考え、
株式会社USENという、営業の強い会社に入りました。

入社1年で営業成績の新記録を樹立

USENで3年間勉強したら辞めて起業しようと思っていたのですが、1年半で退職しました。
思っていたよりも早く、自分に自信を持つことができたからです。
1年目にして、営業成績でブロックのMVPを獲得。
6つある商材を1ヵ月で全て売るという、会社創業以来の新記録を樹立したのです。

僕には特別な才能はないので、とにかく人より働くことで結果を出しました。
飛び込み営業をしていると、喫茶店などで休憩する人が多いと思いますが、
僕は一切さぼることなく、人の3倍働きました。
そして、2008年7月に退職し、同年7月28日に創業。23歳の時でした。
コネもお金も実績も何もない、本当にゼロからのスタートでした。

当社の起業理念は社名の通りサーチフィールド、「活躍場所を見つける」です。
クリエイターを支援したい、活動の場所を広げていきたいという思いが込められています。

3つの事業

ソーシャルゲームのイラスト制作がメイン事業で、制作実績は日本一です。

また新たに「FAAVO」というクラウドファンディング事業を始めました。
これを通じ地方の人々にも活動のフィールドを広げてもらいたいと思っています。
地域と東京、人と人を繋げるフックとして、クラウドファンディングを選択しました。
流通総額はまだ大きくはありませんが、知名度は上がってきており、
47都道府県に展開するのが今年の課題です。
自分の地元には支援しようと思われる方も多く、達成率は70%以上で多くの協力を得ています。

FAAVOにはパートナー制度を設けています。
企業等から申し込みによりライセンス契約をし、当社は月々の契約料をいただきます。
既に京都の企業と第一号のライセンス契約を締結しました。
また、FAAVOから新しいビジネスも生まれると期待しています。
コワーキングスペース、Uターン・Iターンなど、様々なビジネスを展開できるでしょう。
FAAVOに来れば地域との繋がりがあるから
イベントなど何でもできるという集合体(メディア)になることを目指しています。

第3の事業は、ソーシャルゲーム開発です。
当社はソーシャルゲームのイラスト制作のプロで、たくさんのアプリを見てきました。
多少の経験値があり、原価でイラストを制作できるため、勝算はあると考えたのです。
アプリ開発は短期的に稼ぐ事業です。
1年程度の準備で月に1000万円またはそれ以上も稼げるビジネスは多くありません。
挑戦できる立場にあるならやってみようと思いました。

社員が長く働ける会社を

変化が前提のため、あえて長期的なビジョンは設けていませんが、
10年、20年と続く、社員が長く働ける会社にしたいと思っています。

そのためには給料を上げ、給料を上げるためには売上を上げねばなりません。
役職を与え、社員を増やす必要もあり、そのためには部署を増やし、会社を成長させる必要があるのです。

時には終電まで仕事が必要なときもありますが、長くは続けられません。
新卒1~2年目はガツガツ働くことも必要だと思いますが、
30代40代になり結婚し子供ができたら難しくなるでしょう。
将来を見据え、今期は長く続く会社のための組織作りと、社員の環境管理に注力しています。

こういう考えができるようになったのは最近です。
失敗はたくさんしてきましたし、未だ成功したとは思っていませんが、
少しずつ成長できたとは感じています。
会社設立当初と比べステージが少しずつ上がってきたと感じています。

現在の社員数が23名で、来年1年で17名の採用を予定しており40名程度の組織となる予定です。
この組織で次のステージに進んでゆきます。
上場やバイアウトは目指しておらず、長く続く会社にしたい、
頑張ってくれた社員に少しでも還元したいという目標を掲げています。

人が増えることも嬉しい反面、社員が望む限り一生養っていきたい、働いてほしいので、
それを背負う責任やプレッシャーも感じています。

今後の事業展開

会社の展望は数年前と変わってきており、変化を恐れない会社であると言えます。
広告マンガの制作事業から始め、次に広告代理店のイラスト制作、
現在はソーシャルゲームのイラスト制作をしています。
イラスト制作という軸からはぶれていませんが、注力している分野は変わってきています。
今後も変わる可能性はありますし、制作実績日本一にはこだわらず、
新しいことにどんどん挑戦し、より多くのクリエイターに活動のフィールドを与えていきたいと思っています。

これまでは運が良かったと思っていますが、今後はこの運を続ける努力が必要で、
今がまさにそのタイミングだと認識しています。
メイン事業が軌道に乗った今、「FAAVO」やソーシャルゲーム事業を軌道に乗せるべく努力しています。

起業したい学生へ

当社は運が良かったですね。成功している会社はどこでもそうだと思います。
努力だけではうまくいくわけでもありません。

チャンスが来た時に波に乗れるかどうかも重要です。
タイミングに合わせて適切な努力をし、適切に対処できれば成長できるものです。

波を見つけるには、好奇心も必要です。
好奇心が無いと新しい事業の種は見つけられませんので、私自身も常にアンテナを張っています。

事業を立ち上げるには情熱も不可欠です。優秀でも情熱がなければうまくいきません。
心の底からやりたいものが見つけ、
自らの人生を賭けられると思えるものであれば成功する可能性があるでしょう。

更には、外に出ること、視野を広げるためいろんな人と話をして、
いろんな場所に行くことも大事です。常にアンテナを研ぎ澄ませていてください。

後は運とタイミングをうまく掴むことです。
機運が高まる、「盛り上がってる感」を肌で感じるタイミングが必ずあります。
クラウドファンディングも、今まさに注目されていますが、
始めるには今ではもう遅く、もっと前にスタート時点があり、そこで始めるべきなのです。
まさに火がついて盛り上がる最初の点きを見逃さないことですね。
消える可能性もありますが、ベンチャーやWEBサービスでは挑戦しないほうが、
よりリスクが高い場合もありますからね。

辛い思いもたくさんしましたよ。
立ち上げたサービスが何度も失敗したり、振り返ってみると辛いことの方が多かったですね。
それでも、真面目に一つ一つの問題と向き合って乗り越えてきました。

もう少し勉強してから起業したら、無駄な失敗が少なかったのではと思うこともあります。
金もコネもなく本当にたくさんの失敗を重ねてきました。
ただ、その結果、今があるのも事実です。28歳の社長はたくさんいますが、
28歳で5期の社歴と4億円の売上を上げる会社の社長はあまりいませんからね。

学生の頃は、28歳で起業しようと思っていましたが、
23歳の時に今起業しなければ28歳になっても言い訳して起業しないだろうと思い始めました。
反対もされましたが、考えても答えは無いのでやってみようと思いました。
起業のための勉強には起業が一番だと思ったからです。

起業を目指す学生にも、自己責任でできるなら挑戦した方が良いと言いたいです。
簡単に起業しろとは言えませんが、やらないと何も始まらないのは事実です。
ただし、思っている以上に辛いことが多いですよ。

ベンチャーキャピタルからは融資を受けていません。
最初の資本金は役員で出し合いました。
長所は会社を自分たちの好きなように運営できること、
弱点はできることが限られることでしょうか。
ベンチャーキャピタルのメリットは、資金よりもむしろ人脈だと思います。
私たちの場合は人脈をゼロから自分で作る必要がありました。

融資を受けることも悪いことではありませんが、
覚悟を決めるために自分でも出資することが大事だと思います。
100万円や200万円を借りるくらいなら頑張って稼げと言いたいですね。
私も起業当初は勤務日数360日で年収96万円でした。
長い時間働くことが良いことでは決してありませんが、それくらいの覚悟があるなら起業を勧めます。
そういう人なら、失敗してもまたやれると思いますよ。