取締役副社長 槇 千亜紀

取締役副社長 槇 千亜紀

設立 2002年7月
事業内容
    • 手書きで送れる携帯電話・スマートフォン向けダイレクトメールサービス「てモバ」の提供
    • パートタイム従業員対象Web勤務評価システムの提供
会社HP http://www.arcadia-ex.co.jp/index.html

起業の決断

20代までは起業するようなバックグラウンドはありませんでした。
ただ、一度やってみたいと思ったことを「自分なんかじゃ」とか
「この不景気では」などという考えで諦めて後悔したくなかったんです。
可能性がゼロではないならやってみたいと思いました。
やってだめなら他でもない自分のせいだから諦めもつきます。
でも、だめになるとは一度も考えたことがありません。どこか楽観的なところがあるんですね。 

当社の社長はシステム屋でどちらかというと簡単にイエスノーを決めない思慮深いタイプです。
だからこそ、すごく深く考えているだろうと思えました。
安易に大丈夫とか成功するとか楽観的なことは言いませんが、
思慮深いだけに決断力に説得力があります。
その場のノリで言っているのではないとわかるから、人生を投資してみても良いかと思えました。

社長も深く考えてはいますが、失敗することは考えていないと思います。
起業についてお互いに何度も議論を重ねたというわけではありませんが、
社長のことも自分のことも信じていました。

手書きで送れるダイレクトメールサービス「てモバ」の開発

IT用の広告と人の心をミックスするという方向性は最初から決まっていました。 

「ITはあくまでもツール。ツールのために人を動かすのではなく、人が動くためにツールがある」
というのは社長の信条です。
このサービスにマインドが加われば素晴らしいものができるという考えに共感できました。 

「てモバ」は、2009年に発表し、サービスを開始して4~5年です。 
当社は最初、受託業務やコールセンターのスーパーバイザー業務をしていましたが、
次第に自分たちのオリジナルのサービス・商品を作りたくなりました。 
また、そのオリジナルのサービスを最終的には海外に通用するものにしたかったんです。 

きっかけは、ある企業の依頼でメール配信の携帯販促物の一部分を開発したことでした。 
開発を進めていくうちに、自分たちならこうしたいと思うようになったんです。 
受託していたら言われたとおりに作るしかありませんからね。 
その後、自分たちが作りたいものを顧客目線で作ったのがこの「てモバ」です。 
他にはないと評価され、発売当時から使い続けてくれているユーザーもたくさん居ます。

心の入ったITサービス

月額料金も高くなく固定顧客が居て安定した利益を生んでいる「てモバ」が会社の主力です。 
代理店に営業を代行してもらうという形をとっています。 
広告代理店の販促ツールの一つとして組み込んでツールとして販売しています。 

メール配信もツイッターやフェイスブックといったSNSにシフトしていっていますが、
現段階ではアルカディアの方向性は違うと考えています。

「てモバ」が成熟したので別の形で新しいサービスを作り出したいと考えています。 
「てモバ」がせっかくアナログ感があるサービスなので、
SNSに頼らず何か新しいものを作れないかと試行錯誤しているところです。 
業界には女性の視点がなかなかありませんから、新しいアイデアを出していきたいと思っています。

どんなに追いかけても技術は進んでいきます。 
アプリを作ることもしますが、いつも原点に戻って、
アルカディアらしい人の心が入っているサービスを
提供し続けていこうというスタンスはこの先も変わりません。

「てモバ」は既に完成していますが、バージョンアップするなら
新たな形で付加価値をつけていきたいと考えています。 
自分たちで作った子供のようなものですから、育てていきたいですね。

新商品の開発

このたび新たに「パートタイム従業員用評価システム」を開発しました。 
リサーチしたところ類似の商品は無いようです。

ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドはほとんどがアルバイトで成り立っています。 
そうであるにも関わらず、プライドを持って楽しそうに仕事しています。 
職場がそうなれば、非正規社員をうまく活用でき、職場が活性化し、
生産性が上がり、企業の戦力の要となる人を育てることができるでしょう。 

ところが、通常アルバイトは時給などでランク分けされています。 
重要な会社の戦力にもかかわらず評価基準が明確でないことが多いんですね。 
人としてのコミュニケーションスキル、リーダーシップなど
能力の評価基準がおざなりになっているケースもままあります。 
それは、アルバイトを日々簡単に評価をしていけるツールがこれまでになかったからです。

毎日仕事が終わった時点で、アルバイトがスマホ、パソコン等から自分の評価をシステムに入力します。 
チェック項目もいくつかありますが、企業によって項目が変わるでしょう。 
この項目は必要に応じて追加・変更ももちろん可能です。 
また、勤務時間を入れる欄があり、タイムカードの役割も果たします。所要時間は1~2分です。

これに対してアルバイトのリーダーが部下・後輩のアルバイトを評価します。 
本人とリーダーの評価が会社としての評価となります。 
リーダーはアルバイトであっても責任ある仕事を任されることになります。 
リーダーがしっかり部下の面倒をみて互いに切磋琢磨していける仕組みが作られます。

「評価システム」の中身

会社では現場からの報告を、別のマネジメント画面で見ることができます。 
様々な数字をリアルタイムで見ることができるのです。 
従来、店長がこつこつ手作業でエクセルなどで手打ちしていたような作業を無くすことができます。 
期間設定も可能で、ある時期のある支店の平均値、各支店の成長率、
他の支店との評価なども閲覧することができます。 

優秀なアルバイトを評価することは本人のやりがいに繋がります。 
会社にとって人材は大切なものです。
これだけで人材の価値が決まるわけではありませんが、アルバイトを正しく評価することで、
現場に活気が出たり、助け合いの心が生まれたりすることが期待できます。 
それが最終的には顧客に還元されるでしょう。 

アルバイトの主力となるであろう若者もこういうシステムであれば面倒に感じないのではないでしょうか。
今後はゲーム性を持たせ、使っていて楽しめるような工夫も加えたいと考えています。 
まずはプロトタイプをリリースし、必要に応じて改善していく予定です。

「てモバ」とは違う形で、このサービスとシステムで人を繋げることができるという
自信とポリシーを持っています。
会社を支えるアルバイトが成長していくことを見極める指標となれば嬉しいです。

今後の展開

社長のエンジニアとしての視点、私の顧客視点に、若者の視点が必要だと感じています。 
何年も同じ仕事をしていると考えが凝り固まってきたり、冒険心が無くなってきますが、
若者の視点で冒険心や遊び心を商品開発に取り入れたいと思っています。 

あるレジャー施設を運営する企業とは、「人事評価システム」に
研修プログラムを組み合わせてようという話し合いがすでに始まっています。

企業研修はやって終わり、その後の継続性が不足している場合も多いようです。 
レベルキープ、レベルアップするために、更にその後を評価・研修できるシステムが
あればよいのではないか、そこにビジネスチャンスを見出しています。 
研修プログラムに加え、人材育成をモニタリングするツールになればと期待しています。

また、日本式のサービス、おもてなしの心、チームワークで働く習慣は
海外でも高く評価されています。ゆくゆくは海外企業の人材教育の担当者に展開していきたいですね。

会社としてはまだ発展途上で、今後方向転することもあるかもしれませんが、
変わらず根底にあるのは
「サービスとシステムで人を繋げたり気持ちを伝えたりする仕事をしていきたい」ということです。