代表取締役 佐藤 大樹

代表取締役 佐藤 大樹

設立 2012年12月13日
事業内容
    • インターネット広告関連サービス提供事業
    • ソフトウェア受託開発事業
会社HP http://www.spacyz.jp/

中学生の頃からコンピューターひとすじ

私が初めてコンピュータに接したのは中学生の頃。
中学生ながらコンピューターゲームを作っている友人がいて、
それを見て面白そうだと思い、自分のコンピューターを買おうと決めたのです。
毎月のお小遣いやお年玉を貯めて、高校生の時に20万くらいのコンピューターを購入、
それから独学でプログラミングを始めました。
もともと何かを作るのが好きな性格だったので、プログラミングに関しても
作り上げていく工程が、単純に面白かったのを覚えています。

大学時代は、ゲーム会社でプログラムを書くアルバイトをして、
趣味の世界とは違う、「納期」や「責任」を伴うプログラマーとしての経験を積みました。
そして大学卒業後は、新卒で株式会社ドワンゴに入社。
自由な社風の中で、新人でも責任ある仕事を任せられ、多くのことを学びました。
ドワンゴはとても良い会社でしたが、組織が大きい分、設計の人は設計だけ、
テストの人はひたすらテストというように、どうしても分業での作業になりがちで、
私としては少し物足りなくなってきました。
そこで、もっと幅広い業務に携わることができる環境へと移ることにしたのです。

小規模ベンチャーへ転職し、起業意識が芽生える

社員数11名ほどのベンチャーだったウノウ株式会社に転職したのは、
上流から下流まで、幅広い工程に携われると思ったからです。
実際にウノウでは、自分でサーバーを購入し、コードを書き、運用まで手がけたので、
一気通貫で見渡せるエンジニアリング力が身につきました。
また、100人200人体制で1つのプロジェクトに取り組むドワンゴと違って、
ウノウのチーム構成は2~3人。
仕事はハードでしたが、その分、多くのことを学び、責任感も養われたのです。

前職では、ひたすらプログラムを書く、いわば職人のような毎日でした。
ウノウでは、全体を一貫して見る立場になり、それが起業や経営を意識するきっかけになりました。
さらに自分が作ったシステムを、多くの人に使ってほしいという思いも強くなり、
起業を決意するに至ったのです。

ウノウに入社した時、私の中には起業に関しての具体的な考えはありませんでしたが、
自信がつくにつれて起業志向が高まり、「もうできるだろう」と感じたタイミングで起業をしました。

自社サービスの開発をスタート

スペイシーズの立ち上げに際しては、エンジニアが伸び伸びと仕事ができる、
エンジニアを中心の会社を作ろうと決めました。
これは、とても良い会社だったドワンゴとウノウでの経験を踏まえてのことでもあります。
そのために取り組んだのは、エンジニアが開発しやすい環境づくり。
例えば、机上スペースを多くとる、椅子は良いものを使う、パソコンを自分で選べるなど、
単純なようで、実は大事な部分に気を配りました。

起業当初は、自分たちが作りたいものを、こじんまりと手がけていくつもりで、
エンジニアの採用は、大学時代からの友人が中心。
仕事は、前職からのつながりで、受託案件を手がけていました。
しかし徐々に人が増えるに従って、自分たちのオリジナルのものを作り、
自分たちだけで売りたいと思うようになってきたのです。

そして社員が6人ほどになった時に、自社サービスに注力していこうと決めました。
自社サービスは、クライアントに言われたものをつくる受託案件とは違います。
市場が何を必要としているのか、それに対して何を作るべきなのかなどを、
自分たちで考えなければいけません。
当然ながら仕事は、マーケティングを意識したやり方に変わっていきました。

エンジニアとして楽しみながら事業展開

現在のメイン事業は、広告システムをWeb上で管理するサービスです。
広告のシステムは、少ないサーバーで大量のトラフィックをさばく、
ダウンは絶対に許されない、データマイニングの知識も必要・・・と、
Webに使われる要素が、たくさん詰まっています。
お客様に安定的なサービスを提供するには、高い技術力を求められる、
そこにエンジニアとしての醍醐味と面白さを感じます。

広告ターゲットの性別、趣味などを分析した上で、
適正な広告を、的確なタイミングで出すためのディレクションをするところにも、
技術的な面白さがあります。

当社の事業は、広告主寄りのシステムを手がける(株)スペイシーズ、
媒体寄りシステムの(株)アドクラウド、データ管理プラットフォームを扱う(株)オウルデータの
3社で展開をしています。
目的を分けることで、効率よく事業を伸ばしていくために分社化したのがスペイシーズとアドクラウド、
オウルデータに関しては、広告だけではなくマーケティングにもデータ利用を拡大する狙いがあります。
今後は、広告主と媒体をつないだり、データを活かして広告配信をするなど、
グループシナジーを出していきたいと考えています。

会社の軸は、ずっと変わらず「エンジニア中心」

経営者として気を付けているのは、個人と組織のバランスです。
エンジニアには、「自分のやりたいようにやりたい」という人が多いのですが、
その思いを活かしながら、組織の中で円滑に作業を進めるのは、意外と難しいものです。
当社では、最低限のルールを作り、それに則ってやっていきましょうと言ってます。
例えば納期に関しては、しっかりと管理をした上で、どうしても延びてしまう場合には、
その理由を明確にすることにしています。
これは「計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Act)」の流れで仕事をする、
いわゆる「PDCA」の回し方を整えているのです。

ただし、設立当初に掲げた「エンジニア中心の会社」という理念は、今後も変わりません。
エンジニアが常に技術力を磨き、お客様から支持される会社であり続けたいと思っています。
実際に当社のエンジニアは、皆でセミナーに参加したり、社内で勉強会を開くなど、
エンジニアとして成長するために、日々努力を重ねています。
また、新しい技術の導入も、積極的に行っています。

学生へのメッセージ

まずは自分は将来、何をしたいのか、何を優先するのかという価値観や軸を見極めることが大切です。
ただし自分が好きなものがあったとしても、それを仕事に活かすのは簡単ではありません。
ましてや給料が高くて、労働時間が短くて、自分が好きなもの、これらを全て満たすのは無理。
そこで考えるべきことは、自分はどれに比重をおくかなのです。

もちろん好きなことを仕事にして、お金になれば一番ハッピーです。
しかし例えば、音楽が好きだといっても、音楽で生活していくのは難しいのが現実。
そうであれば、仕事ではなくても、自分の好きなことに関わっていけばいいのです。
仕事をしつつ、休日に音楽に触れる生活でも、自分なりに見極めた価値観の中で、
しっかりと生きているということになります。

それともうひとつ大事なのが、自分の成長のために投資をすること。
私の場合、大学時代のバイト代の半分くらいは、プログラミングの技術書に使っていましたが、
その投資が今につながっています。
与えられるものではなく自分から求める姿勢、その欲求にはお金を惜しまない気概、
若いうちは特に大事なことだと思います。