代表取締役社長 冨田 賢
設立 | 2008年5月(2012年5月組織変更) |
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事業内容 |
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会社HP | http://www.tcconsulting.co.jp |
アメリカでの就職活動
大学4年生の6月に、ニューヨークのウォール街へ就職活動に行きました。
大学で金融論を勉強していたので、どうせなら金融の本場のニューヨークで仕事がしたかったのです。
国内での就職活動も視野にはありましたが、自分の能力はどこまで通用するのか試してみたい気持ちが強かったですね。
自分の父親も長期にアメリカ留学した後、アメリカでそのまま就職をしていましたので、その影響もあったのだと思います。
就職活動は無事に成功し、ウォール街で最も歴史のある投資銀行のブラウン・ブラザーズに就職が決まりました。
その後、国内のベンチャーキャピタルに転職し、その時の上司とスピンオフする形で、
京都でフューチャーベンチャーキャピタルという独立系のベンチャーキャピタルの創業に参画する事になりました。
ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業に投資して、上場してもらう事によって、キャピタルゲインを得るという事業です。
日本初となる投資事業有限責任組合を設立したり、
自治体のファンドとして地方で初となる石川県のベンチャーファンドを設立、運用するまでになりました。
私個人でも20数社に投資して、4社程上場させる事に成功しました。
フューチャーベンチャーキャピタルとしても、
設立から2年半で当時のNASDAQジャパン(現在は大証JASDAQ)に上場するに至りました。
これは当時の歴代スピード上場第8位という記録でした。
独立への道のり
上場後、キャピタルゲインを得られた事もあって、いったん退職して京都大学の大学院へと進学しました。
大学院ではベンチャーキャピタルやベンチャー育成政策について、さらに深く研究を進めました。
修了後には大阪市立大学の社会人向け大学院の専任講師となり、
ベンチャーファイナンス論やベンチャーキャピタル論、事業計画書作成指導、ワークショップなどを担当しました。
約3年勤める中、アメリカのペンシルバニア大学や上海の大学へ在外研究に行き、
海外でのベンチャー育成についての調査研究を行いました。
その後は、ブラウン・ブラザーズと関係があった住友信託銀行がベンチャーファンドへの投資の調査を進めるということで、
専門職の形で大学から移り、年金資金によるベンチャーファンドへの投資を担当しました。
その他、不動産の証券化商品への投資も統括しました。
元々私は学者が多い家系でしたので、家族や親戚の中には会社を経営する様な人はおらず、
自分でも社長になるとは全く考えていませんでした。
しかし、2008年5月に今の会社の前身であるティーコネクション・ホールディングスの事業承継という形で、
社長に就任する運びとなりました。
ティーコネクション・ホールディングスは経営が暗礁に乗り上げている会社を買収して
子会社化した十数社に経営改善を行う会社でしたが、うまくいかなかった案件も多く、
社長に就任した当初の1年間は撤収や売却を中心に行っていました。
そんな中、並行してコンサルティング事業を立ち上げていったのです。
リーマンショックと自分の役割
コンサルティング事業を推進していく中で、資金調達に力を入れていこうと思っていましたが、
リーマンショック以降は、業歴の長い中小企業を中心として、これまでの事業がうまくいかなくなり、
収支の改善や新たな営業先の新規開拓、新規事業の立ち上げをする必要に迫られた会社からの
コンサルティング依頼が急増していきました。
その需要が拡大するにつれて、本腰を入れてやっていこうと決意し、
会社Webや営業資料などを整備を行いました。その中でコンサルティング先企業を増やす為に実践したのが、
ビジネス交流会への参加でした。
1ヵ月の営業日の3分の2以上は交流会に毎日参加し、
5年間で名刺交換をした数は7000枚以上、メールマガジン会員数は4000人以上にも上っています。
さらに、月に数回、新規事業立ち上げや事業提携、新規開拓営業、基礎的な財務知識など、
様々なテーマで、経営セミナーを継続して開催しました。
そういった取り組みの甲斐もあり、お付き合いする企業の数が増えてきました。
そして、企業からは「売り上げを伸ばしたい」「新しい提携先を作って新規事業を立ち上げたい」という声が多く、
顧客や提携先の紹介を行うことに力を入れていきました。
結果、多くの企業様から喜びの声を頂き、5年間で120社以上のコンサルティング実績を作る事が出来ました。
現在も平均30社程の企業様からコンサルティングの依頼を受けています。
特に、ここ1~2年程の間には、上場している大手企業様からのコンサルティング依頼が増えてきました。
問い合わせの方法についても変化が見られ、
以前は自らが働きかける事で依頼を増やしていたのに対し、
最近ではセミナーや講演会に出席していただいた方々からの依頼に加え、
Webからのお問い合わせにより、コンサルティングを依頼していただける様になりました。
大手×ベンチャー
創業してから5年続く会社の数は、創業時の数の半分程度だと言われています。
そして、さらに5年続く会社の数は、その中から2割程度、つまり事業が10年続く会社の数は全体の創業数の中から1割程です。
その様な厳しい競争を勝ち抜く為、会社設立から6年目を迎える今年は「Re・ブランディング」を心がけています。
具体的には「お客様に喜ばれるサービスを提供し、
お客様を大切に、お客様に愛され続ける会社を目指す」というクレド(志・信条)を設定し、
メールマガジンのリニューアルや、紙媒体でのニュースレター作成等に取り組んでいます。
大きな使命としては、「真面目に一生懸命頑張っている社長を応援する」という事です。
これは、私がベンチャーキャピタルや大学教員をしていた時からの変わらないモットーです。
当社のコンサルティング依頼先企業の内、殆どが業歴の長い中小企業です。
日本の産業は、地域に根を張り、同族経営の中小企業によって支えられているのですが、
変化の波が激しい現代においては既存事業が伸び悩み、衰退してしまうケースも多く、
会社を維持することが難しくなってきているのです。
そこで、新しい営業先や新規事業の立ち上げが必要になってくるのですが、その点でお悩みの経営者の方が多いのです。
「事業提携により新規事業を立ち上げ、あなたの会社の売り上げをアップさせます」をキャッチフレーズに、
「日本で唯一の事業提携の専門家」を自負する当社が、
中小ベンチャー企業、大手企業のどちらともお付き合いがあるコネクションを生かし、
お互いの長所で短所を補い合うお手伝いをさせていただく事を存在意義とし、業務を推進しています。
経験からの気づき
5年間事業を継続してきた経験から、徐々に分かってきた事が幾つかあります。
まずは、継続する事の重要性です。
ビジネスは一足飛びにうまくいくという単純で短期的なものでは無く、
試行錯誤を積み重ねていくことにより成果が出るものだと考えています。
長く続ける事で色んなシチュエーションでの対応力がつき、社会からの信用力も増していきます。
当社が上場企業からのコンサルティング依頼が増えた事も、ひとえに信用力が増してきた結果と言えると思っています。
また、やっていきたいと思っている事、専門とする事と、求められている事が異なる事があり得るという事です。
私の場合で言えば、元々はファイナンス(金融・投資)の専門家でした。
しかし、仕事においてはビジネス・マッチングや新規開拓営業を求められる方が多くなってきたのです。
自分が頭でやろうと思っていた事を優先するよりも、お客様に喜ばれる事がサービスとして成り立ってきて、
事業を継続出来ているので、お客様からのご要望、つまり、需要に合わせるという事が大事ですね。
そして、やはり軽視してはならない事が、徹底した資金管理の重要さです。
資金管理が甘い経営者の会社はどうしても伸びません。
資金繰りで苦労するケースも出てきます。
私は、3つの銀行口座の使い分けと収支表の作成による”鉄壁”の資金管理法を生み出し、実践しています。
今後は、資金管理についてのセミナーや講演会も増やしていき、重要性をさらに強く呼びかけていきたいと思っています。
3つのメッセージ
経験から得た伝えたい教訓は3つあります。
1つ目は、起業する前に組織がしっかりとした会社で働いてみるという事です。
組織の中で働く事によって、組織とはどの様なものか、どう運営されているか、
組織の中での仕事の仕方を学ぶこともできますし、優良な人脈も作る事ができます。
また、組織が強固で、経営がうまくいっている会社の経営者の方々は、人材の採用と育成がとても上手です。
能動的に業務を行う様にやる気を引き出し、会社の理念に共感出来ているか。
これが盤石な組織が形成されている判断基準の一つとなると思います。そういったことも起業前に学べるといいですね。
2つ目に大事な事は、自分が人生で何をやりたいかよく考えるという事です。
私の場合で言えば、転職を数回繰り返してきましたので、一見するとやってきた事がバラバラではないかと思えるかもしれません。
しかし、業種や立場は違えど、行ってきた事は学生時代に問題意識として考え、論文に書いていた内容から変わっていません。
中小・ベンチャー企業を応援したい。新産業を創造し、日本の経済を活性化したい。
これらに関しては15年間一貫して継続してきた事が、当社が信用が得られている所以ではないかと思います。
3つ目は、世の中の変化に対して敏感になるという事です。
ビジネスとは、世の中の困り事を解決して対価を得る事です。
世の中の困り事は時代や社会の変化によって異なりますので、
今何が求められているか、これからは何が喜ばれるかという事に対して敏感である事が大事だと言えます。
ユーザーの嗜好性の変化、需給のギャップから、ビジネス・チャンスが生まれます。
経営コンサルティング会社の社長として、私自身もそのことを意識していこうと思っています。