取締役社長 田口 健次
設立 | 1989年 7月 |
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事業内容 |
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会社HP | http://www.zels.jp |
母の死があったからこそ
学生の頃は、起業したいとは思っていませんでした。
一流大学に入って、一流商社に就職しようと思い、
同じ考えの仲のいい友達5,6人と六大学を目指して勉強していました。
しかし、大学受験の手前のところで母親が死去。
友達は順調に一流大学へと進学しましたが、僕は働きながら大学へ通うという選択をすることになりました。
友達と違う選択をし、このまま落ちぶれてしまえば、母親のせいにしているようで嫌でした。
母親が亡くなり、この道を選択した。それで成功しているんだ。
母親に、そう報告できないといけないという気持ちになっていきました。
一流大学へ行った友達とその後も交流してましたが、
彼らが生涯稼ぐであろうお金をできるだけ早く稼いでやろうと考えるようになったのです。
大学卒業後、もともとファッションが好きだったので、アパレルの会社にデザイナーとして就職。
3年ほどサラリーマンを経験しました。
そして、好きとか嫌いとか、世の中のためとかではなく、
母親への思いと友達の生涯賃金をできるだけ早く稼ぐという目標を原動力に、タイミングをみて起業しました。
初めは、サラリーマン時代に付き合いのあったアパレルの業者さんにお願いをして、
少しずつ商品を借りてワンボックスカーで販売する、行商のようなことからスタートしました。
達成できる目標を掲げる
起業を考えるならば、柔軟に動けて、軌道修正できる体質を持ちながら、具体的に実現可能な目標を持つといいと思います。
よく社員にする話があります。
一本の木があり、上に大きな実が成っていて、みんなそれを食べに行こうと登っています。
ほとんどの人が、上の目標である実を見ずに、木を見て登っています。
そのため、距離がつかめず、一生懸命過ぎて疲れたり、のんびり過ぎて辿りつけなかったりするのです。
登っている間にも細い枝があり、小さい実が成っていて、それにつられて距離が増えたり、
枝が折れて下に落ちたりということだってあります。
だから、どんなに低い木でも、とにかく一度登りきって、目標を達成した達成感を味わってほしいと思います。
そしてまた次の木に登り、その木をどんどん高くしていくことが大きな成功となるのだと思います。
次の木に登るときには、体力があるか、思いがあるか、事業として成り立っているかを見極めてから登ります。
自分としては今、三本目くらいの木に登っているつもりです。
まだまだもっと高い木を目指しているので、成功していると言われても、そういう感覚はありませんね。
トータルコーディネートからTシャツ一本に
アパレルをやるなら、いつかは自分のブランドを。
誰もがこう考えると思いますし、私の場合は一応その目標を達成することが出来ました。
そんなある時、たまたま蕎麦屋に行ったんです。
蕎麦以外の、丼物や定食が並んでいました。
それを見たとき、自然と、蕎麦の味は期待できないだろうなと感じたんです。
自分が今やっていることは、この蕎麦屋と同じなのではないか。
シャツも、パンツも、ニットもトータル的にやってきて、ある程度は評価してもらえている。
しかし、一個一個で見ると、飛び抜けているものはない。
これではまずいと感じ、次は何かに特化しようと思ったのです。
アパレルで、一番季節が長くて売り続けられるものと考えると、Tシャツでした。
Tシャツだけに特化するなら、今までのいろんなノウハウをTシャツ一本に注ぎ込めるので、絶対勝てると思ったのです。
Tシャツを使って企業の広告を
まずは仕掛けとして、雑誌に広告を出そうと思い、いくつかの雑誌社に話をしました。
しかしながら、広告費は数百万。
それでもTシャツへの思い入れがあったので、広告を出しました。
それなのに、広告が載ったのは雑誌の後ろの方のページ。
自分たちはこのTシャツを世に出すため、決して安くないお金を払っているのに後ろの方。
一方、世間で話題の人たちは、お金を払わずに前の方のページに載っている。
それが雑誌だと言われればそれまでなのかもしれないですが、私は不公平だと感じたんですね。
このことがきっかけで、メディアを作ろうと思いました。
自分でメディアを持てば、自分たちも含めそういう人たちが、安く広告を出せるようになる。
そこで、Tシャツを使って企業の広告をしようと思いつきました。
売り場が広告になり、着てもらえれば、街中に広告が広まる。
テレビの視聴率や雑誌の発行部数など、
これまで広告の価値として不動の指針だった「数」に代わり、一人のお客様にできるだけ「長く」、
企業のイメージやロゴを見続けてもらえることに価値を見出したのです。
第一弾として、ユニクロさんに話をし、Tシャツを使っての企業広告がスタートしました。
初めは賛同しなかった日本企業からも、マイクロソフト社の名前が企画書に載ったことをきっかけに、
次々と手を挙げていただけるようになりました。
プロフェッショナル集団と企業を結ぶプロダクション
現在、Tシャツ広告に参加しているクライアントは860社あります。
そこで次に、この860社を活かせる事業を考えました。
私は、インフラの重要性がよく分かったので、去年から「人のインフラ」として、MDPというプロダクションを始めました。
MDPは、様々な業界で活躍されているプロの方々や、専門知識を持っている人たちのプロダクションです。
現在、160名くらいの方が在籍しています。
このプロフェッショナル集団と、860社の企業をジョイントさせることで、様々な形のビジネスが実現できるようになります。
例えば、企業とシェフを繋いだり、スポーツメーカーとスポーツ選手を繋いだり。
今ではいろいろなプロダクションから、レンタルでMDPにリースして欲しいという人も入って来るようになりました。
MDPからダイレクトに企業にアプローチできるため、
他のプロダクションでは埋もれてしまっていた人にも活躍の場を提供することができています。
次のビジネスと求める人材
「広告」という業界に関わる中で、中小企業にとって敷居が高すぎることがずっと気がかりでした。
テレビCMも雑誌も、スポンサーがいなければ成り立たず、スポンサー費が払えない中小企業にとっては程遠いものです。
今後の動きとしては、その仕組みを変えるような事業を展開していく予定です。
公式発表前のことなので詳しくは秘密ですが、この取り組みが成功すれば、メディアはスポンサー費を下げることができます。
営業が苦労してスポンサーを探しているメディア側にとっても何万社という選択肢が出てきますし、
中小企業も大手メディアを利用して企業PRをすることができるようになります。
一般的に、営業がそれほど苦労していない企業は儲かっているものです。
企業は、営業がいなくても利益を採れるようなビジネスを考えるべきだと思います。
私たちは今、そういうビジネスを考えています。
今期は、新卒生を3名を採用しました。
言われたことだけをそつなくこなす人材ではなく、一つのことに対して執着心を持って動ける人材かどうかを見ています。
このような方であれば、今後もどんどん採用していきたいですね。