代表取締役社長CEO 辻 庸介


代表取締役社長CEO 辻 庸介

設立 2012年5月
事業内容
  • インターネットサービス開発
  • インターネットを利用した金融サービス
会社HP http://corp.moneyforward.com/

ビジネスに興味を持ったのは人のつながりから

ビジネスに対して、興味を抱いたのは大学生のときでした。
サークルの先輩から誘われ、進学塾を起業したことがきっかけです。
当時は明確な目標などなく、
「進学塾を一緒にやらない?」と先輩たちから誘われてメンバーにいれてもらいました。
そのとき、私自身にビジネスがしたいという気持ちはなく
「面白そうだし、やってみるか」という姿勢でした。

まず、生徒を集めることから始めましたね。
ビラを制作して宣伝をし、色んな参考書を見てテキストを作ったりもしました。
そのときに感じたのは
「立ち上がったばかりの塾に、よく人が来てくれるなあ、絶対恩に報いないと!」という思いでした。
少人数で親身に授業を行う体制だとか、
クラスの人数を10人以下にして、わからないところはわかるまで教えます
というサービスの内容が売りになっていたのではないかと思います。

進学塾の運営をしたことで、ビジネスの面白さを味わいました。
そこで、ビジネスをやるならグローバルにできなければいけないだろうと思い、アメリカに留学しました。

世界で戦えるように、という意識

大学時代には、起業をしようという意識はほとんどありせんでした。
考えていたのはこれからの時代のビジネスマンは、グローバルに活動できないといけない。
そのため語学はビジネスに必須になると考え、勉強をするためにアメリカへ留学をしました。
ビジネスと英語の勉強というものは日本でもできるものです。
ですが、私は自分で自分がいかにサボり癖があるかをしっています。
ですので、自分をそうせざるを得ない状況に追い込んだんですね。
そうすると、どうにか生き残るしかない、という気持ちになって頑張ることができるんです。
また、実体験というのはとても大切なことだと考えていたことも、留学に踏み切ることのできた理由だと思います。

日本に帰ってきて就職活動をする際は、グローバルの力を鍛えてもらえる会社を目指しました。
就職活動はたくさんの企業の説明会に行きましたね。
「社会人が無料でいろいろな話を聞かせてくれて、なんて素敵な勉強の場だろう」と思っていました。
人と会うことが好きですし、知らない世界のことを垣間見えるような気がして刺激的でした。
そのおかげで、業界ごとの雰囲気を感じ取ることができました。
ほかの業界にはどういう人がいるのか、どうやって仕事をしているのか。
そこで学んだ知識は、今でも役立っています。

人とのつながりは財産

就職するにあたって明確だったのは、
サラリーマンではなくビジネスマンになりたかったということです。
ビジネスをつくり出せる人になりたいと考えていて、
そのためにはある程度今うまく回っているビジネスの仕組みを理解しておくことは必要だと感じました。
そうしてソニーに就職し、経理部に配属されました。
本当は企画に行きたかったのですが、理系で数字が強いだろうということで経理部になりました。
それでも、楽しかったんですね。
社会人になったことで、色々視野が広がって、勉強になることもたくさんありました。
経理部に所属したことにより、経理とか財務の知識が身についたのもよかったです。

その後、社内募集でマネックス証券に出向したのですが、
そのころは社員が50人もいない、まさにベンチャーの雰囲気でした。
何でもやらしてもらえて、それが本当に楽しかったですね。
なかでも会社にとって初めての新卒採用をすることになった時は、
その企画を担当をしたはいいものの、私は人事のことなど一切したことがありません。
そこで、ほかの会社で人事部に所属する友人に片っ端から話を聞きに行ったことです。
その企画が成功したことをきっかけに、実感したことがあります。
人とのつながりは、財産だということです。
もし、人とのつながりがなければ、企画は成功させることはできなかったと思います。

結果だけが評価ではないことを知る

私は社会人になってから、
アメリカのペンシルバニア大学Whartonビジネススクールに2年間留学しました。
学生時代と違い、社会人で留学をすると授業が面白いんです。
たとえば、どうやったら問題は解決するのか。どうすれば良くなるのか。
そういったことをケーススタディで考える。
留学前に抱えていた問題に、まさに生かせることばかりでしたね。
チームワーク、リーダーシップの取り方など、日本ではあまり学ばないようなことも学びました。
ビジネススクールでは、
チームを組んで課題に取り組むのですが、どうすればチームに貢献できるのかを考えていました。
私は帰国子女ではないので、英語がそこまで上手ではありません。
そこで、苦手を補えるようなことはないかと思ったのがきっかけです。
貢献しないと、チームにいる意味がなくなってしまいますからね。
必死に自分がチームに貢献できることはないだろうか、と探して行動に移すということをしていました。
常に「やってやるぞ」という気持ちは持っていました。
そうすると、頑張っている姿勢を評価されるようになってくる。
できないけれども、とにかくやってみる姿勢は大切だと思います。
ビジネススクールでは、チャレンジ精神が鍛えられました。

お金に関するウェブサービスを作りたい

お金って、人生ですごく大事な要素なのに、きちんと教えてもらう機会もなく、
そのせいで、心配や不安の原因になっていることが多いかと思います。
実際、子供を持たない理由や結婚しない/できない理由の上位に、「経済的な不安」がきます。
私たちが目指しているのは、まさにそこにスポットを当てたサービスなのです。
お金の現状管理ができて、将来どうなるのかもわかる。
そして、さまざまな人たちや専門家と、知識をシェアすることもでき、不安や心配が解消する。
仕事をしていると、日々忙しいのでお金のことを考えるというのは難しいですよね。
そういう人たちに利用してもらえるサービスはないだろうか。
そう考えて、お金に関連したウェブサービスをつくりたいと思い、マネーフォワードを立ち上げたんです。
私たちのところへ来ていただけたら、お金に対する不安や悩みがなくなる。
知識も色々と得ることができる。お金の情報や知識を中立の立場で発信するようなサービスを提供する。
ウェブという形態を選んだのは、もともとネットの世界が大好きだったからです。
ネットは良い点だけでなく、悪い点も勿論ありますが、
機会や発言が平等で、根本の思想としてフェアな点がウェブの好きなところです。
今までにユーザーサイドに立ったお金に関するサービスが、
ほとんどなかったことが起業のきっかけでもあります。

失敗は学びのチャンス

学生の皆さんに伝えたいのは、
悩んでる暇があれば、挑戦してみたほうがいいということです。
大学生のときに、起業や留学を「やってみた」ことがきっかけで、今の私があります。
どんなことでも、足を踏み入れないと本質は見えてこないのだと思います。
悩んでいたときに想像した景色よりも、
実際に足を踏み入れて自分の目で見た景色のほうが、得るものは多いと思うのです。
当然のことながら、挑戦には失敗が伴います。
しかし、失敗しても落ち込む必要はありません。
なぜなら、失敗して初めて学ぶことができますし、命までとられるわけではありません。
失敗を経験することは、前身であり、学びのチャンスなのです。
失敗と学びを繰り返していくことで、周囲からの評判も変わっていきます。
失敗しないように前進しないことを選ぶよりも、
失敗してから学んだほうが弱点がはっきりしているので、
成長が実感しやすいのではないでしょうか。

失敗を恐れることなく、チャレンジし続ける。
そして、ちょっとの失敗では挫けない。
そのチャレンジ精神が、成功への近道なのではないか、と私は考えています。