代表取締役 鈴木勝之
設立 | 2012年2月 |
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事業内容 | 時間制のレンタルオフィス『beez』の運営。起業家、エンジニア、個人経営者、士業など、多様なバックグラウンドを持った人々が気軽に利用できる空間。個人で仕事や勉強をしたり、仲間と一緒に勉強会などをしたり、人それぞれが目標を達成するために使い方をカスタマイズできる空間。時間制なので、5分単位で気楽に利用できます。 |
会社HP | http://www.venture.web150.com/interview/58.htm |
JR東日本勤務の後、起業
実際に起業を行う前は、私はJR東日本(以下、JRという)でエキナカ開発や
大規模商業開発などのプロジェクト管理のお仕事に携わっておりました。
私は建築学を学んでいたこともあって、学生の頃から独立志向がありました。
そのため、JRに入社した当時も、5年程度で会社を辞めるつもりで
自分自身の成長を貪欲に追求し、仕事に従事していました。
もともとJRに入社したのは、建築を軸にして世の中に空間を創造する場合、
設計事務所やゼネコンよりも、なるべく計画の上流工程で業務に
携わることがより自分自身がやりたいことを実現できると考えたからです。
その後、実務を進める中で、自分に不足していた経営の知識を
身につけるべく、経営大学院でMBAを取得しました。
経営大学院の在学中に、より経営者としての実力をつけるべく、
いくつかの選択肢の中から起業という選択肢を選び、
その結果、JRを約9年で退職することにしました。
現在の事業計画は起業の1年前に立てたものです。やりたいことをやるために、
リスクを取って組織のトップに立ち、経営を実践しています。
経営大学院での学び
私にとって、経営大学院で学んだことは、大企業にいても
起業した今となっても、重要な意味を持っています。
例えば、JRにおいては、建築学という「ものづくり」の側面と
経営的な知識の両方を有する人は少なく、
企画面における仮説検証のスピードに強みを持つことができました。
具体的には、案件の規模や客単価から得られる収入と初期投資の
組み合わせを数多く早く考えられ、社内を動かすために
見直しが生じた場合でも新規提案を素早く提案することができました。
もちろん起業に関しては、大学院でのビジネスプランの
延長から始まっているので、学びはフル活用しています。
特に、スタートアップではキャッシュが最も重要であり、会社設立時の資本金の考え方、
初期投資にいくらまでかけるのかなど、一つ一つの判断に活かされています。
ただ、細かい手続き方法や実務までは教えてもらうことがないので、
実務をしながら学んでいることの方が多いです。
JR東日本で身につけたこと
JRでは、主に商業開発を担当していました。
身につけたスキルの中で重要なのは、プロジェクトを推進する力です。
計画の企画段階から、実際に設計、工事までを完成させるところまでを
一貫して担当することで、キレイ事の机上の理論だけではなく泥臭いところも含め、
プロジェクトが実現することだけを考えて、あらゆる手を打つことに徹底していました。
そのため、業務にかかわる知識は多岐に広がり、前述した事業計画書の仮説作りから、
投資計画の判断、プロジェクトにかかわる多くのメンバーとの折衝や
タスク管理など、大企業ならではの社内交渉など・・・
最終的には百億単位のプロジェクトも管理していたので、ある程度はできると確信しています。
今の仕事も不動産開発の延長線上でもあるので、運営面以外はほぼ同じ実務の延長線上です。
投資判断の桁が何桁も小さいという違いもありますが・・・
利用するお客さまにどんなサービスを提供するのかを想像して、
そのために合理的な店舗を創造するという点では、JRでの仕事がまさに生きています。
店舗運営の工夫点など
現在の店を運営するにあたり、工夫のポイントは2つあります。
1つは、不動産へのこだわりです。
WEBなどで空室になっているビルを探し、実際に見て、
お客さまが利用したくなるかどうかを何度も不安になりながら考えました。
というのも、都内では空室のあるビルはまだまだ多いのですが、
予算内でbeezのサービスに完全にフィットする物件を
見つけ出すことが難しく、どの物件も一長一短があったからです。
もう1つは、販促についてで、SEO対策とイベントの実施に重点を置きました。
SEO対策といっても、お金もないので、
地道に「渋谷」と「電源」と「カフェ」でブログで書き続けただけですが・・・
また、イベントについても、月に10回程度は今でも開催しています。
イベントは販促費があまりかからない中で、自分たちではリーチ
できない顧客層に認知を拡大できるメリットもあります。
その結果、当初の事業計画では、サービスの利用会員数を1,000人程度を
想定していましたが、実際は約2,200人と目標を大きく上回る成果となっています。
これは駅前の好立地と販促が効果を奏したからだと捉えています。
今後の展望と学生へのメッセージ
今後は多店舗展開を推進していきます。
創業の想いとしても、日本国内だけの展開を考えているわけではありません。
企業理念でもある働き方を変えるためには、海外にいる優秀な人材との
ネットワークの構築も重要な要素だと考えています。
また、人材のネットワークが生まれれば、人材に悩んでいる
企業支援もでき、より日本経済の活性化にもつなげられます。
今後、より働き方が多様化されるので、これからの学生の方に対しては、
どの道を歩むかを自分でよく考えた上で決めて欲しいと思っています。
その理由は、世界的な視点で、働き方の選択肢が増えるメリットがある一方で、
過酷な能力の競争にさらされる可能性もあるからです。
そういう、個の能力がより重要視される社会へとシフトされた時のために、
ベンチャーの世界でチャレンジすることも、ベンチャー以外の企業で
腕を磨くことでも、どちらの選択肢も正解になり得ます。
より自分自身を成長させ、「自分の進むべき道は自分で選ぶ」という
意志をもって、一つ一つの選択肢を選んで欲しいと思います。