代表取締役 斎藤 光仁

代表取締役 斎藤 光仁

設立 平成元年5月1日
事業内容
  • 業務請負事業
  • エンジニアに対する支援事業
会社HP http://mcea.jp/

やりたいことが見つからないまま卒業を迎えて

青森から上京し東京の大学に入学。
が、特にやりたいことがあるわけでもなく、
勉強やアルバイトをして何となく過ごす学生生活でした。

実は就職活動はほとんどしていません。
というのも、地元の企業と繋がりがある両親から、
卒業したら帰ってこい、就職先の心配はするなと言われていましたからです。

ですが、元々東京で仕事をしたいと考えていたので、卒業後も東京に残ることにしました。

その後仕事を探していたところ、友達に紹介されたのが、佐川急便でした。
履歴書を持って行ったその日に、『今日から頼む』と言われ採用されることに。
突然のことに驚きつつも、佐川急便で働き始めました。

当時は運転免許を持っていなかったので、
荷物の荷捌きや伝票整理をしていたのですが、
その時会社の方から社員にならないかと誘われました。
元々、アパートの更新費を稼ぐために仕事をしていただけだったので、一度は断ったのですが、
その方が知り合いの不動産屋さんに頼み、新しいアパートを探してくれて、
しかも費用まで負担してくれるということだったので、引越しすることになりました。

これがきっかけで、佐川急便の正社員になりました。

正社員として働き始めて

入社後、苦労したのは社内で「誰もしたことのない仕事」をさせてもらっていた時ですね。

ある時は24台のヘリコプターの運用法を考えたり、
またある時は配送料以外で収益を得る為にカーネーションを販売したりと色々です。

結果を出す事が出来たので、その後佐川流通センター長に就任することができました。
が、あまりにも多種多様な仕事をしていたので、子供の父兄会に行った妻が、
先生に私の仕事内容を上手く答えられなかった時もありました。

その後、佐川コンピューター・システム株式会社への転勤が決まり、職場が京都に変わりました。
情報投資を始めようとした際に、当時の会長が
『現場の人間で一番文句を言うやつは誰だ?』
と周りに聞いたところ、選ばれたのが私でした。

転勤後、総務部長を経て社長に就任しましたが、
大変だったのは私自身にコンピューターの知識が無いことでした。
勉強したものの対等に話すには乏しく、できたのは相手を信じることだけ。
この状況で、時には取締役会で予算を承認してもらわないといけないこともありました。

振り返ってみると苦労の絶えない日々でしたが、
佐川急便で勤めていた頃の経験全てが、今の私を支えているのだと思います。

退職後、ベンチャーの世界へ

ある年の暮れ、東京の家に帰ってきた時に息子から言われたこと。
『母さんもずっと東京で一人きりだし、そろそろ東京に帰ってきたら?』
これがきっかけで佐川急便を退職したのが55歳の時でした。
退職前に知り合いと二人で立ち上げたコシキ・バリューハブ株式会社に合流し、
システムのコンサルティングを始めました。
社員5人からのスタートでしたが、これまでの繋がりを活かし自由に働けました。

ある時、付き合いのあった方から、
今度関西の会社と合併するから暫く会社を見てもらいたいと頼まれました。
ひとまず二ヶ月間だけという約束で、
コンサルとして入ったのが首都圏コンピュータ技術者株式会社です。

入ったものの、合併に至るまでは色々なハードルがたくさんありました。
何より自分はこの会社のことを何も知らないし、会社は自分のことを何も知らない。
そんな不安があった中、社員の気概とやる気を感じ、
『合併でも何でもいいから頑張って会社を盛り立てよう!』
と思い、二年契約で引き受けることにしました。

そして、二年の契約を全うした後、さらに「上場したいから残ってほしい」と頼まれ、
当社の代表取締役に就任することになります。

隠し事をしない会社経営

社長。取締役。部長。肩書きは色々ありますが、
私の場合、そういった役職をあまり気にしませんでした。

私は会社の中で何も隠し事を、特に社員に対しては絶対にしません。
例えば、会社の経営状況を全社員に見せる。 
例えば、自分のスケジュールを隠さない。
例えば、役員等しか出席できない重要会議も、内容の議事録を公開する。
また、社員には自由に働いてもらいたいので、
『自分がOKだと思ったのなら、俺のことをどんどん使ってくれ』
と伝えています。

隠し事を一つ隠すと、もう一つ隠さなくてはならなくなります。
これが嫌だったので、どんなことでも包み隠さず公開するようにしました。

他の会社ではここまで情報を公開することはないかもしれません。
ですが、自分が働く会社がどんなものなのか?経営は順調なのか?
これらは社員達も知っておくべきことです。

不安を抱えた社員が仕事に励んでも会社は発展しません。
安心して働ける環境を作ることは、経営者にとって大切な仕事の一つです。

個人を大切にできる会社にしたい

ITという業界が今後、どうなっていくのか?
考えていくと、日本という国自体に不安を覚えます。
会社、それも大手の会社に就職することが果たして本当に安定に繋がるのか?
現在のこの国のことを考えると正直疑問に思えます。

例えば非正規雇用がまるで悪者の様に報道されることがありますが、
IT業界の中ではそうではない、と私は思います。
そもそも、非正規雇用の一体何が悪いのか?
彼らの中にはアルバイトをしながら夢を叶えたいという方も居る筈です。
それが悪いことだとは、到底思えません。

今後、会社や組織よりも個人が重要となります。
その中で、個人が事業主となり会社を作るというスタイルを定着させる必要があります。

当社では個人事業主という働き方を、より多くの方々に浸透させていきたいです。
新卒後、就職せずに個人でやっていきたいと考える方も増えています。
そんな方々を会社全体応援し、彼らの為の組織になっていければ、と思います。

学生の方、フリーランスで活動したいと考えている方へ

企業には経営理念や会社のビジョンというものがあります。
大抵の企業は社長が掲げられた指針のもと、社員が働くのが普通かもしれません。

ですが私の場合は違います。というより、私には理念やビジョンがありません。
何故なら、そういうのは経営者でなく、自社の社員が作り上げるものだからです。

将来、独立を目指す方に伝えたいことがあります。
会社の中では社員が中心で社員が主役です。
そして、全員で協力して作り上げるものが会社です。
彼らが働きやすい環境を整える事が経営者の役割の一つであることを覚えて下さい。

また今後、会社や組織に属することでなく自分で道を切り開いていく。
そのような独立志向を持った『個』が重要になってくる時代が訪れるでしょう。

今、個人事業主として起業を考えている方は、
その気持ちを大切にして、旺盛に頑張ってください。

失敗することもあるでしょうが、恐れずに。
何度失敗しても構いませんのでどんどんチャレンジしていきましょう!