代表取締役 田子 英城


代表取締役 田子 英城

設立 2001年12月10日
事業内容
  • 「Cafe & Dining SUN」「浜焼酒場 磯野くん」
    「居炉居炉」「鮮魚浜焼 田子商店」
    をはじめとする、地域密着型飲食店15店舗の経営
  • 人材教育事業
  • 不動産事業
会社HP http://recruit.rot-group.com/index.html

起業のきっかけ

母子家庭で育ったこともあり、稼ぎ頭の母親の姿を見ていて自然と
「将来は自分で稼いでやろう」という意欲を持っていました。
中学校のころからその思いが強く、高校生になってすぐアルバイトを始めました。
最初はコンビニ。そしてファッションショー企画運営の会社、車屋、もちろん飲食店も。
アルバイトの経験で感じたことは2つあります。
まず、働く中で経営者の姿を間近に見ることができ、憧れが膨らんだこと。
そして、自分は他人に使われることが好きでないと分かったこと。
このアルバイトの経験から大学に入る前に自分の将来はある程度見えていました。

基本的に早く社会経験を積みたいと思っていたのと、そもそも大学には親を安心させたいという意味も含めて
学士取得のために行ったという感じなので、大学時代は、勉強や遊びよりもアルバイトが生活の中心でした。
企業資金としてのキャッシュも必要でしたしね。
そんな学生時代に今の専務と出会い、夢への実現度がいっそう増しました。

1店舗目、苦労の立ち上げ

最初は地元で、自分たちの感覚でいう「イケてるお店」をつくりたいと思ってはじめました。
なかなか都内のようなお店が地元にはなかったので、じゃあ、ないなら自分たちで作ってしまおうという感じですね。
その頃はマーケティングなどまったくもって意識していませんでしたね。
当時流行っていた洋風居酒屋という業態を真似て1店舗目を立ち上げました。

駅に近く、よい物件を偶然押さえたものの、最初は苦労の連続でした。
鍵を受け取り、さあこれから、と意気込んではみたものの、
何をすればよいのか分からず、自分の計画性の無さを痛感しました。
完全にゼロからのスタートでした。
専務と2人で出資金を出し、2か月ほどかけて、その時の仲間にも手伝ってもらって居抜き物件を完全改装しました。
自分たちの店を自分たちで作る感覚は非常にワクワクしましたね。
そうやって出来上がったのがCafé&Dining SUNです。
立ち上げこそ苦労したものの、1店舗目は好スタートを切れました。
「490円均一、ワンコインで飲める店」
「ほどよくおしゃれな雰囲気」
「どこにも負けない接客、サービス力」
今振り返ると、この3つのコンセプトを徹底したことが成功の秘訣だと思います。

経営者としての自覚

まず自分も経験がないので、最初の半年間は分からないことだらけ。
本当に手探り状態でした。
自分はマネジメントに専念するため現場には入っていないのですが、
現場で働くスタッフにも相当の苦労があったと思います。

僕自身は経営を理解するためにビジネス書を沢山読みましたね。
特に印象に残っているのはデール・カーネギーの『人を動かす』という本です。
また、学生時代に運用を任されていた経験、アルバイトでの経験も貴重な財産でした。

マネジメント面で苦労したのは、社長業とは何だ?という部分です。
まず最初は社長としてやることがない(笑)。
店舗展開後に回せるだけのお金が入ってはじめて、社長の役目が発生するんです。
ですからその頃はアポが一つ入っただけで物凄く嬉しかったですね。
また、友達同士でビジネスをするのも難しいんです。
やはり人間として分かり合っている仲なので、絶対的な尊敬というものが存在せず、指摘もしづらい。
だがそういう部分を補い合えるくらいみんなやる気がありました。
最初の仲間には相当恵まれたといってもいいと思います。

組織内でのマインド共有

ロットという会社が組織化する中で「埼玉ナンバーワンをめざす!」という企業目標を掲げました。
社員や、アルバイトへの伝わりやすさ、分かりやすさを重視して役員の間で決めたものです。
組織がさらに拡大していくことを想定すると極力シンプルにしなければ伝わらないですからね。

「埼玉の居酒屋で、ナショナルチェーンとは違うやり方をやっている。しかも多業態」
僕らはこの部分でナンバーワンを取りたいと考えています。

企業理念も細かく定めています。
実は僕自身、起業当時は企業理念なんていらないんじゃないかと思っていました。
しかし組織が大きくなると、全員で同じゴールを目指すことが重要になってきます。
店舗数が増えるにつれ、その重要性を強く感じるようになりました。
創業当時はある程度スタッフ同士のコミュニケーションも密に取れ、
自分の考えをしっかり伝えることができていました。
しかし、人数が増えるにつれ、自分の判断基準、何をもってうちの会社で成長していくのかなどを伝えるために
やはり「理念」が必要だと実感したんです。
そこで現場の声や経営顧問のアドバイスを参考に、ひとつひとつしっかり定めていきました。

飲食店という場を通してめざすもの

今後は単に飲食店の経営だけではなく、人の教育にも力を入れていきたいと考えています。
人を育てていく場が単に飲食店である、ということです。
人材育成に関して、飲食業は非常にバランスの取れたフィールドだと僕は思っていて、
飲食店での現場経験に社内での講義などの座学を交えて「人を成長させる企業」を目指しています。

普通に飲食店を経営する会社に入っても、
自分がそこで経営者になれるチャンスはなかなか無いと思っているのですが、
経営者目線で、飲食店を見るとまた違った面白さがあります。
この感覚を、僕は皆に味わってもらいたいし、ビジネスというものを体験してもらいたいと考えています。
ビジネスにはリスクがつきものですが、だからといって避けるのではなく、
ビジネスの楽しさにも目を向けてもらいたいです。

ロットで働くことによって、飲食店というフィールドではもちろん、
様々な場面で通用するような人間力を付けてもらいたいと考えています。
「ロットにいたのなら間違いない」と言われれば本望ですね。

学生へのメッセージ

大切なのは「行動する勇気」。
出会いだったり、周りの環境で人は大きく変わります。
まずはそこに身を置くことが大事です。
自分の成長につながらないなと思ったところにいつまでもしがみついていてもしょうがない。
なかなか自分の行動を決断するのは難しいと思いますが、
学生さんには自分に合った環境、自分のやりたいことをしっかり持って欲しいですね。

面白そうだな、と思ったらいつでも自分でアクションを起こすことができます。
たとえば僕の大学時代、経営のゼミ内で物凄いビジネスプランを持つ仲間は大勢いました。
でも現在、その中で独立したのは僕だけです。
何かとノリだけでいけるタイプだったので、そういう意味で一歩踏み出す勇気があったのではと思います。
遠慮せず、自分の気持ちに忠実であってほしい。
余計なことは考えず、それで失敗しても受け入れることが大切です。

僕自身、今までの成功はやはり出会いによる部分が大きいと感じています。
どこでどういう人と会話して、どういう時間を共にして、どう感じるか。
学生時代は多感で刺激を受けやすい時期です。
ぜひ自分で多くのアクションを起こし、いろいろな機会を作り出してほしいと思います。