代表取締役 原 真喜夫


代表取締役 原 真喜夫

設立 1987年4月(昭和62年)
事業内容
  • 電子出版による名作絵本・児童書の企画・制作・販売
  • 教材の企画・編集・デザイン
  • 雑誌・一般書籍の企画・編集・デザイン
会社HP http://www.skip-pb.com/index.html

小さい頃は社長になりたいとは思っていなかった

大学生の頃、テレビ取材・翻訳のアルバイトをしていました。
その関係で、3年生の2月から4年生の5月まで、AD兼通訳としてアフリカの取材に同行しました。
結果、全然就職活動ができないまま4年生に。
卒業後は漠然と、出版社などマスコミ関係の仕事に就きたいと思っていたのですが、
教授の知り合いがいた関係で、福武書店(現在のベネッセコーポレーション)に入社することになりました。

当時、福武書店は少しずつ業績を伸ばしていた頃で、新たにできた雑誌制作チームへの配属を希望しました。
しかし実際は、進研ゼミの開発チームに配属されることに。
自分なりに努力し、自信もついてきたのですが、
やはり大人向けのものをやりたいという思いは断ち切れず、26歳の時に退職しました。

そんな時、友人の紹介で、ある有名雑誌の元編集長とお会いする機会がありました。
その方から、
「せっかく子ども向けの世界で頑張ってきたのだから、そのアドバンテージを活かすべきだ」との指摘を受け、
考え方が変わりました。
ちょうどその頃、幼児教育に注目が当たる時期だったこともあり、
子ども向け商品専門の編集プロダクションとして独立しました。

このように、最初から社長になりたかったのではなく、
自分ができることを探していったら、結局、独立という選択になったということなのです。

企画をやらせていただくということ

我々の会社の一番の特徴は、子ども向け雑誌の制作に関して、企画からやらせていただくということです。

この企画をもってくれば絶対売れる!といったマーケティング的視点が大きくなりすぎると、
どこの編集プロダクションに出しても同じようなものが上がってきます。
しかし、それでは面白くない。
そして、相手は子ども。版元さんに企画を数案提出した際、
一番突拍子もない企画が「これ、面白いね!」と言われることもあります。
それに、自分でイチから立てた企画なら、誌面に育てていくときの熱の入り方も違ってきます。

大切なことは、これまでとは全く違う視点や、本当に自分がやりたい内容を意識すること。
また、企画のヒントは、街にもたくさん転がっています。
当社の社員には、観察力や企画力を養ってもらうため、街や人を見なさいと伝えています。
具体的には、街を歩いている親子の様子を見るだけで、子どもの年齢を当てられるようになってほしいですね。

絵本を電子書籍化する

2011年の夏頃から、電子書籍に注目するようになりました。

リーマンショック後から、30代前後の親世代が経済的にかなり厳しい状況にあり、
絵本を購入するのではなく、図書館で借りるようになりました。
そのため、
絵本がなかなか売れなくなり、初版の発行数が少なかったり、年度ごとに絶版になる本が増えてきました。
この状況を見て、どこかにブレイクスルーできるものはないものかと思ったのです。

電子出版の可能性を噂では聞いていましたが、最初はハードルが高いと思っていました。
それでも、絵本を電子出版できるようなビジュアルに強いシステムと出会ったことにより、参入を決定。
売れた分だけ配分するという形で協力してくれた作家さんもおり、事業をスタートすることが出来ました。

現在の電子書籍には、読み聞かせ音声機能を付けています。
それは、今の親たちが、子どもの子守りをしてくれるものを求めていることに気付いたから。
同時に、英語教材を扱った経験から、「英語版も作ったら面白いのではないか」という案も浮かび、
実際にその機能を搭載。
電子書籍だからできることと、これまでの経験がうまく合ったことにより、
バイリンガルな電子絵本が完成しました。

日本の絵本を世界へ

現在、電子書籍の絵本は、海外の作品が18、日本の作品が12の計30作品あります。
半年後までには、50作品を目指しています。

これまでは、皆さんが知っているような物語を電子書籍化してベースを作ってきました。
今後は、オリジナルの作品も作っていくつもりですが、
まずはそのためのセールスの方法を考えなければいけないと思っています。
また、現在は日本語と英語の2言語での展開ですが、他の言語でも通用すると考えています。
まさに、これからが面白い事業なのです。

日本の絵本作家さんのクオリティーは、世界最高レベルです。
そのクオリティーを世界に発信するためにも、まずは当社の電子書籍事業をさらに成長させる必要があります。
そして、いつか世界進出をしてビルを建てるくらいになりたい。
そのような想いを持っています。

面白がる能力

我々の会社では、「面白がる能力」がある人を求めています。

これからは、「問題を型通りに解く能力」は評価されない時代が来ます。
そんなことはコンピューターがやってくれたり、インターネットで検索すると答えが出てくるからです。

自分にしかできない、新しいアイディアをどれだけ出せるかが重要。
そのためには、自分が本当に面白いと思ったことに突っ込んでいける性格の方が得です。
人と話をするときも、面白がって意見を出し合った方がアイディアが広がります。
周りの刺激を吸収できるかどうかは、「面白がる能力」にかかっているのです。

学生のうちに未知の世界に触れる

私は、学生のうちに価値観がガラッと変わるような経験をしておいた方が、後々強いのではないかと思います。

私の場合は、学生時代にアフリカの取材に同行した際、
「日本って本当に何でもできる環境なんだな」と感じたことが、挑戦の原点と言えます。
何も特別なことではなく、日本から少し出てみたり、友達以外の社会に入ってみたり、異文化と交流してみたり。
そのような経験は、必ず自分の財産となります。

また最近は、就職活動で使うという理由から、facebookに本音を書けないというような話も聞きます。
せっかくチャンスがたくさん広がっている国にいるのだから、
他人の目を気にしないで、やりたいことをやっていいのではないでしょうか。
あまり人の顔色を伺うことをせず、「出る杭」になったほうがいいのではないかと思います。