代表取締役会長 山川 義介
設立 | 2005年7月1日 |
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事業内容 |
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会社HP | http://www.albert2005.co.jp/ |
入った会社で社長になることを目指して
私が就職をした時代というのは、「起業」なんて言葉は聞いたことがありませんでした。
就職したら定年までその会社に勤める、いわゆる終身雇用が常識だったのです。
ですから自分で会社を立ち上げることなど考えたことはありませんでした。
ただ、入った会社で社長になってやろうとは思っていました。
これは、一部上場企業で社長を務めていた父親の影響が大きかったですね。
父親は常々、サラリーマンになるからには社長にならなければ
意味がないと言っていました。
サラリーマンが社長になれないのは、出世競争のどこかで敗北をするということだと。
自分の同期や下の人に追い越される、そのようなことを味わうのは
絶対に嫌だと感じていました。
大学の専攻は工学部。
子供の頃から工作や修理が好きでしたし、父や祖父、叔父、親族に
理系が多かったこともあり、また数学が得意でしたので、自然と理系の道に
進んだという感じで進路選択をしていました。
大学4年では電子や磁気などの研究をしていたこと、音楽が好きだったことから、
それを活かせると思ったカセットテープでNo.1のTDKを志望し入社しました。
もちろん入社時の夢はTDKの社長になることでした。
自分の得意分野を活かした仕事をするため転職
入社してからの7年ほどは、長野県佐久市の研究所で研究開発に携わり、
とにかく競合に負けない良い製品を作ることだけに没頭しました。
そして入社8年目、希望していた本社商品企画部に異動になりましたが、
本社の仕組みが分かってきて「この会社では社長にはなれない」と感じ始めました。
私が携わってきた「磁気テープ」という分野に将来はないと感じ、
自分が得意とする技術や経験を活かして
会社のトップを目指すのは難しいとも思いました。
さらに実力主義が気に入って入社したのに、現実はそうではないことがわかりました。
そこで転職をしたのが、株式会社マルマンです。
オーディオやビデオなどAV機器関係の商品企画開発ができるということで、
これは自分の持っている経験や技術を活かせると思いました。
マルマンには素晴らしい創業社長がいました。経営理念にも共感していたのですが、
残念ながら「お家騒動」が勃発し、計画していた事業も断念することになりました。
そこでその事業を自分でやるために部署の有志を募って独立をしたのです。
事業内容は、家電製品や健康機器の企画をし、それを海外メーカーに
作らせて輸入し通販で販売するというものでした。
1995年、10人弱の規模で通販をメイン事業とした、
株式会社エムアンドシーを設立しました。
インターネットリサーチに活路を見い出し、新規事業をスタート!
しかしエムアンドシーでは失敗の連続で、多額の借金もできてしまいました。
そこで感じたのが、在庫を持つビジネスはよいビジネスモデルではないということ。
輸入して在庫を持って宣伝をし通販で売る、媒体費にお金がかかる、
そういったビジネスモデルは自分には向いてないと思ったのです。
色々と模索をしている中で、インターネット通販で集まった顧客リストに
活路を見出しました。これは使えると。
そこで、顧客リストを調査モニターとしたリサーチ事業を始めたのです。
もともと私は理系で、データ解析が得意だったこともありますし、
TDK時代の知り合いで独立してリサーチ関係の会社をやっている友人と、
意気投合したといういきさつもあります。
「これからはインターネットリサーチだ!」ということで、プロジェクトを立ち上げ、
相手の会社と共同でパッケージ商品を開発をしたところ、それなりに良い反応が
あったので、2000年に株式会社インタースコープを設立しました。
他社にはない強みで事業の拡大を目指す
インタースコープは、売上十数億、利益も何億も出る会社になったものの、
リサーチの市場というのは、もともと非常に市場規模が小さく、
IPO(上場)に耐えられる成長モデルを描くのが難しいと感じていました。
インタースコープの方向性を変える必要がある、そう思っていました。
そこで、インタースコープを立ち上げた時から研究を続けていた、
人と物のマッチング、購買予測をもとにしたレコメンドエンジンの開発を
新事業と位置づけ、フォーカスしていくことにしたのです。
そこで私と社長の上村を共同代表とし設立したのが株式会社ALBERTです。
当社は、最近盛んに言われている「ビッグデータ」を扱っていますが、
同じような業態の他社とは一線を画しています。
ビッグデータの収集・蓄積・抽出・集計というのは、どの会社もやっていますが、
そのテラバイト級のビッグデータを、次の売上にいかにつなげていくか
というところまで分析し、提案できる会社はほとんどありません。
実際に当社は、大手通販会社のビッグデータ分析を手掛けていますが、
それをソリューションに結び付け事業戦略に活かすことができていると自負しています。
今後の展開は、「CRM・広告・海外展開」
当社はレコメンデーションの専門企業として事業をスタートしましたが、
最近は「情報最適化企業」というコンセプトで事業展開をしています。
CRM、ビッグデータの分析、そのソリューション提供と拡大し、
加えて、広告最適化ビジネスにも力を入れ始めています。
広告の分野で我々の分析力を活かし、広告配信最適化を進めていきたいと考えています。
また、アジアを中心に海外展開もスタートしています。まずは韓国や中国ということで、
現在は出張ベースで営業し、導入実績も増えてきましたが、今後は支店設立や
現地との合弁会社設立等も視野に入れています。
ただ、ALBERTの企業規模をどんどん大きくしていこうとは考えていません。
私はいつも、経営は「バス1台」と言っていますが、理想的には社員50人くらいが限度。
会社のトップとして、全社員に目を配ることができる限界だと思いますし、
皆が情報や想いを共有していくためにも、それ以上では難しい。
しかし企業は発展し続ける宿命を背負っています。ですから将来的には
社員が独立起業し、分社化、ホールディングス化を推進することも考えています。
その独立は子会社的ではなく、事業コンセプトも人事制度も独自のものを持つことが理想です。
皆がお互いを知っていて、一体となって企業理念を共有しながら進んでいく、
そういった企業グループを目指しています。
学生へのメッセージ
会社員としてやってくにしろ起業をするにしろ、大切なのはロジカルシンキング、
論理的思考だと思います。
これは人を説得するために必要なスキルです。
ロジカルシンキングには、「話す」「書く」「聞く」の前提にある「言葉」ができないと駄目。
「ペンは剣よりも強し」と言いますが、まさに言葉は武器よりも強いのです。
会社などで何かをやろうとする時には、人を説得する必要がありますが、
それにはまず言葉が重要です。
政治家は言葉だけで票を集め国家を動かしていきます。
「これがこういう理由でこうだから、こうすればいい」ということを
きちんと筋を通して説明をして、相手に「なるほど、そうか」と思わせる。
これができない人は自分の思いを実現させることはできせん。
「言葉のパワー」が強ければ、相手は「分かった」となりますから動くのです。
今の学生は、ロジカルシンキングを鍛えられることなく育っているので、
まずは「分類・整理・体系化」を学び、
そして相手とのコミュニケーション円滑化の訓練をして欲しいですね。