代表取締役社長 梅田 弘之
設立 | 1995年3月 |
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事業内容 |
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会社HP | http://www.sint.co.jp |
安定企業へ就職、その先には…。
就職活動では東芝1社しか受けず、有り難いことにそこでの就職が決まりました。
最初から起業を考えていたのではなく、東芝で定年まで勤め、その中で
出世できたらいいなぁという漠然とした考えを持って働いていました。
入社3年目くらいの先輩たちが皆、優秀に見えましたし、自分もそうなりたいと
思っていたので、就職して数年は学生時代よりも勉強をしましたし、クタクタになるまで
仕事も頑張りました。休日でも、自分の専門分野を研究したりしていましたよ。
その甲斐もあってか、同期ではトップで出世することができました。
ただ、就職して数年ぐらいたつと、東芝という巨大な企業の中で仕事をすることが
自分の実力が上げれば上がるほど、やりづらいなぁと感じるようになっていきました。
東芝は安定した企業でしたが、給与はそれ程高くなく、もう少し自分の実力に
見合った給料をもらってもいいんじゃないか?という思いがわいてきたのです。
自分の力を100%出さないと勿体ないという思いが日に日に強くなっていきました。
そして、ついに31歳のときに転職することしました。
転職先は給与と通勤を重視
転職した当時、日本はバブルのころでしたから、自分を必要としてくれる会社は
たくさんあり、引く手あまたの状態でした。
転職する際に重要視したことは、東芝よりも高い給与を払ってくれること、
通勤があまり遠くないという点でした。
職種も東芝時代はプラント系の仕事をしていましたが、将来的に独立することを考えた場合、
伸びしろのある情報産業に絞ることにしました。漠然とですが、38歳までに独立しようと
考えていたこともあり、新聞などで上場している会社を片っ端から調べ上げ、
住商情報システム(現、株式会社SCSK)に転職をすることにしました。
転職先での焦りと成功
転職先では、IT業界の専門用語や業務知識がないゼロからのスタートだったので、
大変な思いも味わいました。
自分が東芝で歩んできた過去のやり方にこだわってはいなかったのですが、
自分の実力を示そうとしても焦りばかり先走って、なかなかうまくいきませんでした。
例として挙げるなら、スキーの上手い人間が、未経験のスノーボードに挑戦して、
練習中に何度も転んでしまい、「スノボードはまだまだだが、俺は、スキーなら
すごく上手いんだぞ」と周りに叫びたくなるような気持ちです(笑)
こうした焦りを少しでもなくそうと、業界に必要な基礎的な勉強と並行して、
転職1年目には情報処理の資格や簿記2級の資格を立て続けに取得しました。
住商情報システムでは、日本で初となるERP(企業の経営資源を有効に活用し、
経営を効率化するために、基幹、業務を分野ごとではなく、統合的に管理するための
ソフトウェアパッケージ)を開発し、これをヒットさせることに成功しました。
この商品を生みだした際に、技術分野だけでなく、マーケティングなどにも
関わることが出来たので、これらの経験が、後に独立した際に大変役立ちました。
転職して勉強しない人は私は“バカ”だと思っています。ゼロからのスタートでも意識的に
勉強をして努力をすれば、知識が身に付きますし、知識さえ追い付くことができれば、
ビジネスパーソンとしては優秀だと認められます。
就職、転職を経た起業のメリットとは…。
住商情報システムには5年半程いました。自分の開発したERPがヒットしたことも
追い風となり、1995年3月に起業しました。住商情報システム時代の部下
(現在、システムインテグレータで専務の碓井満氏)を引き連れ、そこに新人一人と
自分を合わせた3人だけの会社からスタートしました。起業してわずか1年で
EC(電子商取引)サイト構築のパツケージソフトウェアをリリースしましたが、
当時は私と専務が昼間コンサルで働いて、夜、自分たちの商品開発を行うという
ビジネスモデルで収益を上げていました。
就職を経験しないまま、最初から起業をするという選択肢もあったとは思いますが、
私の場合は就職、転職を経験したことで、ビジネスの基礎を覚えて起業することが
出来たと思います。東芝からはクリーンで真摯的な商売を、住商情報システムからは
お客様思いの商売をそれぞれ学ぶことができました。弊社ではそれらの要素を
混ぜ合わせることで、理想の会社を目指しています。
リーマンショックなどの影響は受けましたが、創業当初から無借金経営を続けており、
2006年12月には東京証券マザーズ市場に上場することができました。
今年は2部上場を目標に、株価を倍にすることを目指して、私自身が先頭に立って
会社のPR作業に携わっていかなくてはいけなと思っています。
人材育成の重要性と今後の展望
採用に関しては、起業した年から新人採用を行ってきました。ベンチャー企業ですので、
即戦力となる中途採用の人材をとることは魅力的ではありますが、他人が育てた
人材ばかりを使って、会社を動かしていくことに、いささか抵抗があります。
自分が一から育ててもらったように、ベンチャー企業であっても、人材育成に
力を注いでいくことが重要だと考えているのです。
弊社は「ECサイト構築ソフト」「設計・開発支援ツール群」
「Web-ERP GRANDIT」「プロジェクト管理システム」の4本を
柱とするパッケージソフトの開発を行いながら、今後も時代を引っ張るような商品を
創出しいきたいと思っています。また、日本のIT業界が国際競争力をつけるためにも、
アジア、特に中国市場でのチャンスを狙っていきたいです。海外での挑戦は、
おそらく長期戦になるでしょうが、どこかでチャンスに巡り合えると信じています。
人と違ったPRを研究せよ!
リーマンショックや東日本大震災などで、就職活動の状況は厳しいものはあると
思いますが、自分を売り込む努力をした人は必ず報われると思います。
そのためには「アルバイトを頑張りました」「自分は粘り強いです」といったような、
ありきたりのPRをしていてはダメです。会社の決算短信を自分なりに分析して、
その会社の弱い部分や成長が見込まれる部分を面接で話せるなどの努力を
してみてはいかがでしょうか?
就職活動もプロジェクトと一緒で、ここまでに何をやる、会社に入ったら
これをやるといった目標を掲げることが重要だと思います。もし、うまくいかなくても、
ある程度の筋書きがたてられていれば、リカバリーができますからね。頑張って下さい!