取締役営業本部長 原 浩之

株式会社白寿生科学研究所 取締役営業本部長 原 浩之

取締役営業本部長 原 浩之

株式会社白寿生科学研究所
設立 1925年
事業内容
  • 家庭用・医療用ヘルスケア機器および食品などの開発ならびに製造販売
会社HP http://www.hakuju.co.jp/

音楽に親しんだ学生時代

幼稚園の友人のお母さんが東京芸術大学でビオラを教えていた影響で、
幼少時からバイオリンを習っていました。バイオリンはその後も続けていましたが、
それと並行する形で小学校ではラグビーを、中学時代には大好きな野球に勤しむようになりました。

どちらかという文系でしょうね。高校に入ってからはオーケストラクラブで
バイオリンを本格的に取り組むようになり、40歳になった今でも、
約80人のオーケストラを仕切る団長を務めています。

就職は都市銀行へ

高校でもクラス委員でしたし、大学時代も200人超の人間を仕切る運営委員などを
務めていたことを思うと、無意識のうちに「将来は家業を継ぐぞ」という思いが
芽生えていたのだと思います。就職の時期を迎えたときには、そのまま家業を継ぐ
選択肢もありましたが、父親が「銀行に入って欲しい」という雰囲気があったので、
某都市銀行に入社しました。大学のゼミで金融論を専攻していたことも関係しています。

配属されたのは中小企業が集まる街として有名な神田にある支店でした。
顧客の新規開拓を中心に、そこで約4年近く働きました。新規のお客様を探すため、
自転車で10km近く走ったこともありました。また、そこでありとあらゆる業界、業種の
バランスシートを細部まで見れた事は大変勉強になりましたね。
23、4歳の若造でしたが、社長と呼ばれる方と直に会って、日々の話から様々な
考え方を知ることができたのは、現在でも役に立っています。
また、金利条件だけにとどまらず、自分という人間を信頼してお金を借りて下さる所もあり、
信頼できる人間とはどういう人間なのか?とても考えさせられる時期でもありました。

銀行を辞め、家業を継ぐことに…。

神田支店から異動する話が浮上したこともあり、銀行を辞めて家業を継ぐことにしました。
弊社では、「ヘルストロン」という医療機器を全国650店舗の体験型ショールーム
「ハクジュプラザ」に設置し、そこで実際に機器を試してもらい、効果を実感して
いただけたら販売するという方式をとっています。
累計では100万台近くご家庭や医療機関、福祉施設にお届けしています。

当時は正社員と契約社員合わせて1000人近くいまして、そのうち約9割が
営業の現場で仕事をしていました。メーカーでありながらも、直営の店舗を持っていますので、
営業色が強い会社です。そんな風潮の会社に営業の現場を知らない社長の息子が
いきなり入ってきたわけですから、社内の風当たりが強かったことを思い出します。

その3~4年後、本部の企画営業に移りました。
売上が伸びているときは気付かなかったような販売店政策の矛盾点や、社内派閥など
の組織的問題が浮き彫りになり、そういったものを解決する必要がありました。
店舗を運営する「店長」の上には「スーパーバイザー」という正社員がいるのですが、
スーパーバイザーを経由して情報を吸い上げる事が多く、実際の店舗でどういう声が
上がっているのかわからない部分がありました。
そこで、実際にお客様の声を聞いているのは店長なわけですから、スーパーバイザー
の立場も重んじながら、店長にも話を聞く機会を設け、現場の情報をとれるようにしました。

また、人材育成の面でも問題がありました。
自社の教育システムに自信を持っていたので、「人の入れ替えが激しくても、
また別な人を採用してすぐ育てればいい」という考えが蔓延していました。
営業マンの成績ばかりに注視し、努力の過程は重要視していなかったのです。
そこで、私の代になり、離職率の高まりを抑えるためにも、営業マンの努力の
過程を反映する評価方式に変更しました。営業成績が思わしくない社員であっても、
会社が必要としている人材であることに変わりはなく、「復活して欲しい」、「主力となる
人物になって欲しい」という思いを伝えるようにしました。
日本全国の支社・営業所に何度も赴き、この考えを伝えられたことは非常に
大きかったと思います。

震災とヘルストロンの不思議な関係

弊社の「ヘルストロン」という機器は、創業者が具合の悪い母親を何とか元気にしたい
という思いの下で作られた製品です。親子愛には利害関係がありません。
そういう製品だからこそ、営業マンにはあえてノルマを設けず、製品の良さをお客様に
理解していただいてからの販売を義務付けています。

今回の震災でも、創業者の思いをくみ取るような出来事がありました。
弊社も東北の各拠点で大きな被害を受け、特に福島の代理店に関しては全く先が
見えない状況でしたので、移転して営業することを提案しました。
しかし、福島の代理店の代表は、「移転はせずに営業を続け、売上は期待できなくても、
来ているお客さんを励ませられれば十分だ」と言ってくれました。
私はそこにこそ、弊社の原点があると気付きました。

現在は仮設住宅の集会所などにヘルストロンを置かせてもらい、一人暮らしの
高齢者などに声掛けをしながら励ます活動を30数カ所で行っています。
また、弊社の企業スローガンとして、「この世から介護をなくすこと」を掲げ、
介護で寝たきりになる前に、食生活を改善したり、自身の身体にまつわる
健康知識を学んでもらい、精神的にも肉体的にも、元気で過ごせるような
情報提供を行っています。今後もこれらの事業を積極的に展開していきたいと思います。

求める人材は思いやりのある人物

新卒は平均で5人くらい、今年は例年になく8人採らせていただきました。
中途採用では年間数10人を採用しています。また、アスリートとして活躍していた方の
第2ステージを作りたいという思いから、これまでにアスリート経験を持つ方を4人採用しています。
小さい頃から一心に打ち込めた人間は、セールスマンという全く違う領域でも有能
ではないかと考えています。求める人材はシンプルで、「優しくて思いやりがある人間」です。
弊社の説明会では、「お金が1番」という方はこの場から帰ってもらっていいという話をさせてもらっています。

真剣に打ち込めば「仲間」が作れる

「思い」をかなえるには、アルバイトでも、部活動でも、一生懸命やれることに打ち込むことが大事です。
社会人になってもその経験が活きるはずです。
面接を経た経験からも、「面白い子だな」「輝いている子だな」と思わせてくれる人は、
いつの時代も何かに真剣に打ち込んだ経験がある方が多いです。ひたむきな一生懸命さ
を持った人達に、これからもたくさん出会いたいと思っています。
皆さんも頑張って下さい。