代表取締役 中島 祥元

株式会社ルーツ・スポーツ・ジャパン 代表取締役 中島 祥元

代表取締役 中島 祥元

株式会社ルーツ・スポーツ・ジャパン
設立 平成21年2月3日
事業内容
  • 市民参加型スポーツイベントの主催
  • 市民参加型スポーツイベントの主催
  • 市民参加型スポーツイベントを通じた
    マーケティング支援業務
会社HP http://roots-sports.jp/company/index.html

生き方を模索しながら掴んだ「感動」というキーワード

正直高校の頃は、将来についてはあまり深くは考えていませんでした。
だから最初の進学先は、自分の成績に見合っていて、
地元の名門で親も喜ぶ、という大学を選び、
大学では経営学を専攻することにしました。

しかし、大学に入学して、最初の授業を受けてみて、
すぐに自分には合わないことに気づきました。

授業の内容に全く興味が持てないばかりか、
周りの学生ともなじめなかったんです。
こうして、すぐに「自分が本当にやりたいことを見つけないとダメだな」
と思うようになりました。

そこで選んだのが早稲田のスポーツ科学科。
最初の大学選びで失敗したので、
「とにかく自分が興味を持って取り組めることを」
という思いでスポーツの分野を選びました。

この頃は起業したいという気持ちはなかったですね。
色々と迷っていて、自分の生き方を模索していた時期という感じです。
ただ、この頃から、自分の中に「感動すること、ワクワクすること」という、
今に通じるキーワードは芽生えていたと思います。

最初は自分が「感動したい」「ワクワクしたい」だったんですが、
いつの頃からか、
「スポーツで体感していたあの感動を、
世の中にもっと生み出し影響を与えていきたい。」
そんなことを考えるようになっていたのです。

ただこの頃はまだスポーツ1本には絞りきれておらず、
同様に「音楽」や「お笑い」も自分の中では大きな「感動」を
感じられるものでした。

スポーツビジネスに集中するために独立・起業

「感動」というキーワードのもと、就職活動をしていたのですが、
ゼロから何かを創り上げるようなベンチャースピリットのある会社か、
スポーツ、音楽、お笑いなど、
「感動」を表現できるような仕事がいいな、と。

ベンチャー関連、マスコミ関連なども色々と受けて内定をもらい、
最終的には、
「音楽」や「お笑い」を扱っているテレビ番組の制作会社に決めました。

ところが内定後に、学生時代の仲間が会社を立ち上げるから、
一緒にやらないかと言ってきたんです。

「スポーツをビジネスに」ということに可能性を感じたのと、
なにより直感的に「こっちの方がワクワクできそう」と感じ、
内定をもらった制作会社には入社せずに、
自分たちで会社を始めることにしました。

結果的に8年間ここで、試行錯誤しながらビジネスをしていたのですが、
スタートはまさにゼロ。
漠然とスポーツで何かをやろうと考えてはみるものの、
具体的には何をやっていいのか分かりません。

本当に全てゼロから考えて、営業も広報も企画も全てやりました。
教えてくれる人もいなかったので、本を読みながら・・・。
大変でしたが、その時の経験が、
今の事業のベースになっている部分もあります。

しかし、徐々に他のメンバーと方向性が合わなくなってくるのを
感じるようになってきます。

自分の中では、
「こうしたらもっと面白いビジネスができる、もっとよくなる」
「これは会社として、やっちゃダメなことだ」というのが段々わかってきて
実践に移しかったんですが、周囲とはなかなか意見が合わなくなってきて。

やはりどうしても学生時代の友だちということで、
良くも悪くも「サークル」のような雰囲気から抜けきれず、
ビジネスとしては非常に甘かったと思います。

そこで自分の思いを実現するためには、
「もっと強い会社、強いチームをゼロから創っていきたい、
という想いが強くなり、独立をしました。

独立して最初の頃は本当に色々やりましたよ。
現在の主力事業である参加型スポーツイベント以外にも、
スクール事業や施設管理のお手伝い等も。またスポーツの種類も、
野球や水泳関係も手掛けました。

ただ、色々やってきて分かったことは、
自分たちが最も強みを発揮できるのは
「参加者数千人規模の参加型のスポーツイベント」であるということ。

社会的ニーズもありますし、
この領域であれば自分たちの強みを生かして戦っていけると確信しました。
現在では、競技種目は「ランニング、自転車」、
開催規模は「1,000~5,000名程度」と、
かなりセグメントを絞って強みに集中しています。

感動を作りたい!そして感動を味わってほしい!

我々が大事にしていること、伝えたいことは、
スポーツで味わうことができる「感動」。

私は学生時代にバレーやバスケをやっていて、
えもいわれぬ瞬間、言葉では表すことができない感覚を
体験しています。

その瞬間や感覚は、自分の人生において非常に重要で、
それがあるから前向きに生きていけるとさえ思います。

だから、スポーツがもたらす「感動」を作っていきたいし、
その感動を、より多くの人に味わってもらいたいのです。

それを実現するための「第一段階」として、
イベントの企画・運営を行っています。

リアルイベントは、まさに我々が作りたい「感動」を、
ダイレクトに感じることができます。
自分たちが企画したイベントに皆さんが参加してくれて、
その方々がすごく感動しているといった場面を、
テレビの画面を通してではなく、リアルに見ることができる。
それは本当に何物にも代え難い瞬間、やりがいを感じる瞬間です。

日本にスポーツを根付かせるために

当社が主に手掛けているのは、自転車とランニングがメインの
市民参加型スポーツイベント。
この種のイベントは、「愛好家(参加者)」「開催地」「企業」等の
要素があって成り立ちますが、三者三様のニーズがあります。

愛好家は、当然ながら面白いスポーツイベントを求めている。
開催地は、観光地ならお客さんに来て欲しいし、お金を落として欲しい。
企業は、愛好家に対するマーケティング機会・ツールが必要。

我々はイベントというツールを使って、
「三方よし」を創りたいと考えています。

開催地に関しては、やりたいという所はたくさんあります。
そこを見つけて、自分たちが持っているコンテンツとのマッチングを
実現していきたいですね。

また、2012年には「Wizspo(ウィズスポ)」という社団法人を立ち上げ、
スポーツイベントの主催から運営までを全て行っています。

日本全国の自治体とウィズスポが共催する形で、
全国横断型の自転車イベント
「ツール・ド・ニッポン」というシリーズも展開しています。

「ツール・ド・ニッポン」では、
必ず各地の元々ある観光資源をテーマにしたイベントを開催。
ただ自転車で走るだけでなく、地域の魅力を知り、
伝え広げてくれる方を1人でも多く増やして、
日本を元気にしていくことを目指しています。

ツール・ド・ニッポン
http://www.tour-de-nippon.jp/series/

スポーツビジネスの世界にも若い力が必要

今、スポーツはどんどん市場が広がっているタイミングです。
いうなれば、ビジネスの面で見たときに、
チャンスがそこらじゅうに落ちている市場だと思います。

また、日本におけるスポーツビジネスは、まだ歴史が非常に浅く、
産業としてまだ一巡していないという感覚があります。
誰かが一通りやった上で価格競争が生じ、
さらに次のイノベーションが起きるという状況に、なかなかなっていない。

だから、まだ試されていない手札や、
足跡の一つも見当たらない道が結構あるんです。

もちろん我々の進む道にも、
当然まだ試されていない新しい手法や施策がたくさん
残されているはずなので、
まずはそこにチャレンジして市場を拡大することを目指します。

自分よりも若い人たちには、勇気を持って、
「誰も踏み込んでいない領域」へも踏み込んでいってほしいと思っていますし、
実際にそういう人たちが大勢出てきていますね。

「とりあえずスポーツの世界に入りたい、
スポーツの仕事なら何でもいい」という人よりも、
スポーツをビジネスと考え、新しいビジネスモデルの発想ができる人に
どんどん入ってきてもらいたいですね。

「これとこれを掛け合わせてスポーツの世界でやってみよう」
「新しくて面白いものを作っていこう」、
そのような考え方が必要だと思います。
別の業界のスタンダードが、スポーツ業界では発明になる、
そんなことも十分あり得ると思いますよ。

学生へのメッセージ

最近の学生さんは、なんとなく保守的な傾向にあると聞いています。
しかし、もっとチャレンジしてほしいですね。
その方がワクワクするからです。単純に。

人間はいつか死ぬことが決まっているので、
生きているうちは楽しくワクワクできることへ
どんどんチャレンジしたほうがいいと思います。

ただし、チャレンジしても、すぐにやめるのは良くありません。
チャレンジするからには、やり抜くことが大切です。

自分で何かをするにしても、会社に勤めるにしても、
特に20代は、最低3年から5年は石にかじりついてでも、
がむしゃらにやる時期がないと、おそらく何もできない人に
なってしまうんじゃないでしょうか。

月並みな言葉ではありますが、大事なことだと思いますよ。

起業を目指している人たちへ

今僕もこの「ルーツ・スポーツ・ジャパン」という会社で、
社長をつとめていますが、毎日いろんな想いや感情を抱きます。

予想がつかないこともたくさんあるし、
なにより社長という立場になって改めて感じるのが
「社員とその家族の幸せ」を考えなければならないということ。

僕の師匠にあたる方から、
「経営者たるもの、どんなことがあっても、いつ何時でも、
自分の社員とその家族を守りなさい。」
ということ、何度も口をすっぱくして言われますが、
本当に心にしみる言葉です。

ただ、その分毎日が楽しいです。
0から1を生み出して、積み上げていくことは単純に “楽しい”。
3年前にはできなかったことが、今出来るようになったりだとか、
世の中に少しでも貢献できているという感覚は、
本当に“ワクワク”します。

社会によい影響をあたえられる会社・プロジェクトの渦中で、
ましてや先頭にたっていられることは、何にもかえ難いくらい、
楽しいです。