代表取締役 石川 善光

株式会社インテグラシーラボ 代表取締役 石川 善光

代表取締役 石川 善光

株式会社インテグラシーラボ
設立 平成20年
事業内容
  • インテグラシーカレッジの運営
  • 直営サロンの運営
  • 美容、健康食品の開発
会社HP http://www.integracy.co.jp/

化粧品メーカーで働くも、肌改善に限界を感じて退社

子供の頃は、具体的に何かをやりたいなどと
思ったことはありません。
実家は化粧品店ですが、男の仕事じゃないと
思っていましたし、興味もありませんでした。
ところが高校生の時に、母親の店で行われた
化粧品メーカーのイベントを間近で見て
考えが変わったんです。
イベントは、男性社員を中心として動いていたので、
「男でもこういう仕事があるのか」と。

もともと、「プロフェッショナル」や「スペシャリスト」に
漠然とした憧れがあったので、
化粧品メーカーの人やメーキャップをする人に、
とても魅了されました。
また、親の役に立てるかもしれないという気持ちもありました。
そこでさらに詳しく話を聞いて、やる気になったので、
その化粧品メーカーに就職したんです。

会社では、商品開発を担当。
商品開発に加えて、使い方やメーキャップ法の提案など、
奥深さを感じる仕事でした。
メーキャップによってコンプレックスが目立たなくなると、
その人は変わります。
それまで下を向いてきた人が、明るく表現できるようになり、
性格や立ち居振る舞いまで変わってくる。
その変化を実感できて、とても嬉しかったですね。

しかし、限界も感じ始めました。
どんなに一生懸命に商品開発や肌の研究をしても、
内臓や自律神経の問題、ホルモンバランスの乱れがあると、
肌の状態は良くなりません。
それなら医学的な部分からやるべきだという思いが強くなり、
会社を辞めました。

自分が思い描くものを求めて海外へ

私が考えたのは、体が持っている機能を生かすこと。
肌荒れの原因が医学的な問題となると、
現代医学では、薬で抑えたり治すしかありません。
そうじゃない、何か他にあるはずだと考えました。
しかし、具体的な方法は見つからず、得た情報といえば
「ヨーロッパに行けば色々な療法がある」という噂だけ。
そこで、とりあえずイギリスに行ったのです。
イギリスがダメだったら、次はドイツ・・・と色々と行って
探っていけばいいかな、という感じでした。

この時には、ずいぶん反対されましたよ。
向こうに知り合いがいるわけでもありませんから。
しかし若かったから一直線。
何も知らないからこそ真っ直ぐになれる。
「ダメだったら」などと考えず、絶対に見つかる、と。
当時23歳くらい、若気の至りですね。
今だったら行かないですよ(笑)。

イギリスに行ってからは、電話帳で色々と調べて、
会いに行って説明を聞くことの繰り返し。
もともと有益な情報も、コネも頼る人もなかったので、
とにかく自分で調べて動きました。
英語に関しては、小学校の頃から
英会話スクールに通ってはいましたが、
習ったアメリカ英語とイギリス英語は全く違っていて、
ほとんど聞き取ることはできませんでした。
だからもうボディランゲージですよ、そこは勢いで(笑)。

自然療法との出会い

イギリスで最初に学んだのは「ビューティセラピー」です。
これは、それまで私がやってきた美容関係に、
身体的な関わりをプラスしたものでした。
しかし、そのビューティセラピーも、
医学的な不具合が生じた時に改善したり、
通常の機能に戻すことに関しては、十分ではありません。
きれいにするセラピーだけではなく、
治療する医学も必要だと分かったのです。

そんな時、日本では存在しない「自然療法科」という、
薬を使わずに治す科を見つけました。
「これは面白い」と思いましたよ。
これを取り入れて、今までやってきたことと繋げていけば、
私が思い描いてきた形になるのではないか、と。
ただ、私の中では1つの職業として捉えていても
イギリスでは、ビューティセラピーと自然医学は別の職業で、
資格も働く場所も違います。
しかし、その職業がないなら作ればいいと考え、
自然医学を学ぶ機関に通いました。

初めの頃は、専門用語も医学用語も分からず、
「言葉も理解できないヤツが何しに来たんだ」と言われて、
全く相手にしてもらえませんでしたね。
しかし一生懸命にやれば何とかなると、ひたすら頑張ったら、
トップで卒業できたんです。
そして、貴族や称号のある人達だけが訪れる、
ヘルスファームというところに就職をしました。

病気や寝たきりにならない、させないためには

ヨーロッパでは、患者は自然の力による自然療法と、
薬を用いる医学療法から選ぶこともできます。
しかし日本では、薬が嫌なら我慢するしかない。
あるいは逆に薬漬けになるか、たらい回し。
そして最後に行きつくのが、精神科の薬というケースも・・・。
私はそれは違うだろうと思っていたので、
日本でこの療法をやりたかったんです。

それで日本に帰国して開業したところ、
訪れてくる人でいっぱいになりました。
これは、高齢化で社会構造が変わりつつあることも、
大きく影響していると思います。
若者が少ないのに、年をとって病気になり、
寝たきりにでもなったらどうしよう?という不安。
介護といっても、支える若者が少なければ期待はできません。

しかし、政府も企業も、年をとって病気になる、
介護が必要になるという前提に立っています。
そうではなく、いかに病気や寝たきりにさせないか、
あるいはならないかと考えるべきなんです。
最近では、患者側も気づき始めていますね。
検査ばかりではダメ、病院に頼っていてはダメ、
そして薬だけではダメ、と。

インテグラシーを普及させ、医療改革を目指す

私は、自然医学療法と美容療法を統合した「インテグラシー」で、
薬に頼らない治療を目指し、その普及のために、
人材を育成するカレッジも運営しています。
ただし日本には、自然医学の土壌がないので、
まだイギリスと同じようにはいきません。
だから今のところは、1年半のカリキュラムでやっています。
これから先、法的な部分や治療や資格などの規制緩和が進み、
医療現場や社会全体が変わってくると、
4年制や5年制、さらにどこかの機関と融合するなどの
可能性も将来的には出てくるでしょう。
しかし今は、できるところからやっていこう、
今、役に立つのは何だろうと考えることが大切だと考えています。

これからは、「治す方法」プラス「防ぐ方法」が大切で、
それらを繋ぎ合わせた療法が必要です。
特に慢性疾患などは、症状によっては
現代医学では抑えるだけで、治すことはできません。
本当は自然医学の分野で、生活習慣から見直すと治る、
しかし、その方法を知らない人が多いんです。
だから現代医学は進化しているのに、どんどん病人が増え、
寝たきりの人も増えている。
それを何とかするための手段が、職業の一つとして
成り立っていくと考えています。

学生へのメッセージ

何がどうなっていくかなんて、先のことは分かりません。
まずはできることを一生懸命にやることです。
最初から保証はないんですから。
ダメになるという保証もないし、良くなる保証もない。
頑張っている人間だけが先に進むことができるのです。

「この会社に入りさえすれば大丈夫」というのは間違いです。
あるいは逆に、第5志望くらいの会社に就職したとしても
ダメではありません。
頑張ることで、いくらでも逆転できますから。

今は就職難と言いますが、人を求めている中小企業は
たくさんあります。
しかし、大企業の安定とブランドという部分に皆が群がり、
その結果、あぶれる人が増えているのです。
ただ、あぶれたらあぶれたでもいいじゃないですか。
入れる会社に入ればいい。
その会社で一生懸命に頑張るんですよ。
そうすると、次が見えてきますから。