代表取締役社長 宮下 研一
設立 | 2000年3月 |
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事業内容 |
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会社HP | http://www.welllink.co.jp/ |
編集の仕事から一転、メンタルヘルスのジャンルへ。
私が大学生の頃は、まだ学生紛争が残っていた時代。
私は勉強よりアルバイトに精を出していて、
映画の紹介や文芸、テレビガイドの記者など、マスコミの仕事をしていました。
アルバイトで忙しい学生時代を送っていました。
卒業後は出版社に就職。
転職してもやはり編集業務に携わり、編集一筋でやっていこうと思っていましたが、
商売をしていた親から「いつまで人に使われているんだ」と言われたことが
独立するきっかけになりました。
デジタル化の波に乗り、アナログだけではなくCD-ROMなども扱うようになり、
資金援助を得て一時はゲームを作ったりもしました。
その時のメンバーが、心のチェックリストの原型を作ってくれました。
それが基になり、メンタルヘルスのジャンルに力を入れるようになりました。
「聴く」チカラ
私がメンタルヘルスのジャンルに力を入れるようになった原因のひとつに
大学時代の友人の死が深く関わっています。
「聴く」ということは、ただ音声として聞くのではなく、
意志を持ってパワーを傾けて、相手の話を聴いてあげることです。
もっと聴いてあげていれば友人の死を食い止められたのではないか、
何もできなかったという思いが、今も私の心に深く残っています。
「聴く」ということは軽んじられていることもありますが、
相手にとってどれだけ大切なことなのか、友人を亡くして初めて気がつきました。
悩みは誰にでもあるものです。
最初は大した悩みではないのに、放っておくとやがて大きくなり、
深く根付いてしまいます。
まだ軽い時期に話を聞いてあげるだけで摘み取れることがあります。
早い段階で摘み取ることが大切なんです。
私も経営者として、いろんな悩みがあります。
大企業や役所で働いていれば、調子が悪い日は休んでも給料や有休があります。
でもひとりでやっているとそうもいかない。休めば休んだ分だけ収入が減ります。
銀行からお金を借りることもできなくなります。
「銀行は、晴れた日には傘を差してくれるが、雨の日には傘を取り上げてしまう」
と言いますが、私もそれを経験した時は、死のうかと思ったこともありました。
経営者なら誰しも経験していることでしょう。
その経験があったからこそ、今日までやってこれたのではないでしょうか。
長く社長業を続けていると、いろいろあります。
それは、経営者にしか分からないことかもしれません。
私は基本的にはおとなしいタイプだと思いますが、野生の力を出さなければいけない時もあります。
給料も休みも安定していれば出さなくてもやっていけるのですが、
野生の力は、人間なら誰しも持っているものです。
今後の展開
電話相談、面談や研修などはすでに行っています。
他にも音声で診断できるものや、簡単な入力だけで診断ができるものなど、
今後も新しいサービスにもチャレンジしていきたいと思っています。
企業でもメンタルヘルスが重要視されてきていますが、
本当の意味で重要性を理解している企業は少ないのが現状です。
真面目で責任感が強く、仕事に熱心な人ほど、精神的に弱る時があるものです。
真面目な人は人一倍仕事をしますが、長時間労働が長く続けば
やはり疲れてしまいます。
どこかで区切りをつけて休ませてあげることが必要です。
本当に会社にとって大切な人材なのに、精神論で乗り切らせようとする場合もあります。
もちろん精神論は大切ですが、長く続くと心の負担になってしまいます。
そうなる前に、少し話を聴く、少し休ませてあげる。それが大切なんです。
本来、メンタルヘルスは人材育成の一環であるべきです。
社内でその環境作りが難しいから、わが社のような会社が外注で引き受けているんです。
最近は、すぐに医者に行かせようという傾向がありますが、
すぐに薬を出す医者が増えています。
薬をあまり飲むと調子が悪くなってしまう場合もあります。
薬の量も増えていき、深みにはまってしまう人も少なくありません。
それが自殺増加の原因のひとつと考える医者もいるほどです。
コミュニケーションを取ったり、少し休ませたり、きれいな景色を見たり…
そんなちょっとしたことで改善することは多々あります。
一旦気分が落ち込み始めると、そればかり考えてしまい、視野が狭くなってしまいます。
誰かが別のきっかけを与えてあげれば、自分で気がつくこともできます。
そういったことを啓蒙しながら仕事をしています。
学生へのメッセージ
せめて学生の間は、思い切り自分だけのために時間を使うべきだと思います。
就職の試験用に、面接用に勉強することばかり考えるのではなく、
自分のしたい勉強、友達との付き合いなど、思う存分やらなければ
何のための学生生活なのか分かりません。
学生時代にできる絆は、損得勘定がない分、大きいものです。
それは一生の宝になります。
そういうことを一生懸命やってきた人を、人事担当者も採用するのではないでしょうか。
リクルートブックばかり読んでマニュアル化した人は、大体すぐに分かるものです。
自分の思い描いたようなキャリア通りになる人なんて、見たこともないしあり得ません。
地震だって同じで、人生が大きく変わってしまった人がたくさんいます。
そこまで大きなものではなくても、
思いもかけない出来事というのは、日々の暮らしの中でいくらでも起こります。
私たちはそれに対応していかなければいけません。
強靭な力というものは、そういう時に折れないことだと思います。
柳のような心の強さ、resilientが重要になってきます。
風の弱い時、強い時、それぞれに対応できることが本当の強さだと思います。
その強さは、若い頃からいろんな人に会い、体験することが重要です。
挫折することもそのひとつ。
年を取ってからの挫折は、ぽっきり折れると何も残りませんが、
若い内の挫折は、挫折でも何でもありません。
むしろ軽傷で済む若い内に、どんどん挫折を経験した方がいいと思います。
社会に出てすぐうまくいくことなんてあり得ないのに、最近はすぐに答えを求めて、
3年も経たない内に会社を辞めてしまう人も多いのではないでしょうか。
昔から「石の上にも3年」と言いますが、
昔から言われていることは古臭く思えても、
皆が納得していることだから残っていくのでしょう。
いろんなことを経験して、世の中が教科書だと思ってチャレンジしてみれば、
なかなかおもしろい人になっていくと思います。
危険だからやらない、では発展性もないしおもしろくない。おもしろいことは大切です。
ひとつの仕事をきっちりこなせば、いろんなことができるようになります。