代表取締役 中城 哲也

株式会社サイバーノイズ 代表取締役 中城 哲也

代表取締役 中城 哲也

株式会社サイバーノイズ 代表取締役 中城 哲也
設立 2006年7月31日
事業内容
  • WEB関連の独自ソフトウェア開発事業
  • 画像処理事業
会社HP http://www.cybernoids.jp/

起業の経緯

学生時代は、小泉元総理も在籍していたAIESEC(アイセック)という
インターンシップ事業を運営するサークルに加入していました。
当時は学内で企業ベンチャーのテーマが盛り上がった頃でもあり、
自分自身もサークルに大きく影響を受けました。
元々モノを創りたいという欲求があり、それなら最も個人の技術力と
アイディアで世界と勝負できる仕事=ソフト屋が良いだろうと考えていました。
高校生の頃からある程度の志望はありましたが、
サークルの影響でより強い志望になりましたね。

2回生の時、たまたまサークルの人が神戸のベンチャー企業への
インターンの話を持ってきました。
通常、インターンは公募で決まるのですが、夏休み前という急な時期だった為、
名乗り出たらすぐ面接を受けさせてもらえ、そのまま参加できることが決まりました。

その会社は印刷関係のプロフェッショナル向けのソフトを開発しており、
一般には認知されていませんが業界内では評価の高い会社でした。
特に社長がすばらしく天才肌の技術者で、「こんなものが作れるのか!」と
業界を驚かすような画期的、かつ実用的価値もあるソフトをいくつも作っていました。
そこでベンチャーの魅力にどっぷりはまってしまい、夏休みだけの
インターンだったはずなんですが、そのままアルバイトになり、
大学を休学の後に退学、社員に昇格しました。

そんなすごい会社ですが、上場を目指すのではなく家族的な雰囲気で。
ただ僕自身その雰囲気に少し物足りないものがあったので、
より勝負できる状況を希望し取締役にしてもらいました。
しかし元々は独立・起業したいという志が強かったわけですから、
結局2年くらい経った後、独立のために退社し上京。
その会社には10年くらいお世話になりました。
どうせやるなら東京で勝負しようと決意しての上京でしたが、
開発関係の知人が一切いない環境は不利でしたね。

立体化の新しい表現

起業する上でやりたかったのは、当初からの希望であるモノ創り。
初めは資金が無いので、ソフト屋としてモノを創ることに決めました。
その上で予算が無く人もいない現状を加味し、
一番成功する可能性があり価値のあるもの、ということで
Live2Dという技術開発を主軸に置くことにしました。

Live2Dとは漫画やイラストのような(2次元) の絵を、
3Dを使わずに立体的に表現する技術です。
現状の3Dは立体的な正しさ、現実的な形にしか対応できませんが、
漫画のようなアニメ調の表現に写実性は必ずしも求められません。
むしろキャラクターのベストを表現するなら、立体的正しさより
自由な表現を追及した方が良い場合だってあります。
Live2Dは、アニメ調の絵を美しい立体に表現できる可能性を持つ、
サイバーノイズの独自技術なのです。

まだ使い勝手や認知度の面で課題はありますが、
一部のクリエーターさんからは「これこそ求めていたものだ」と好評です。

現在、この技術は国内のゲームや電子書籍、
ウェブのソーシャルゲームで使っていただいています。
2011年6月からは海外でも売れる形にするべく、英語版を開発中です。

独自技術で勝負する

将来的には、新たな分野を作りたいと思っています。
日本発の ITベンチャーで世界的にも新しい分野を切り開いた会社はほとんどありません。
他の産業から見れば、世界と競走せずにぬくぬくやってきた業界です。
それはとても悔しいことです。

もちろん色々なベンチャーがあっていいのですが、
ありえなかったものが創れるようになるというイノベーションがなければ、
企業の体力は減っていくだけです。

僕は会社を作ろうと決めた時から、
日本のベンチャー企業があまりやっていない・できていない
「独自技術で勝負する」というテーマがありました。
趣味で少しだけ脱線することはあれど、4年間Live2Dの開発だけを行ってきました。
ソフトは腐りませんから、主力がこれ1本でもずっと使っていくことができます。
しかし僕は、Live2Dをもうこれ以上売れないくらい、世界中に行き渡らせて飽和させたい。
あと3年で理想形まで技術を上げたい。

そして3年後、世界中で採用されている、日本発の分野を作った会社になっていたいですね。

完璧は、目指さない

当社は少数精鋭、規模の拡大は目指していません。
ただ面白い人が来たら良いな、という思いからインターンの募集はかけています。
そして実際、「これは取らざるを得ないだろう!」という面白い人が来たら
採用してしまいますね。
面白さの基準は色々ありますが、まずその人が絵を描いたり物を
作ったりすることが好きかどうか。
とにかく仕事じゃなくても、睡眠時間を削ってでもついつい何かを作ってしまうような、
作ることが大好きな人は見ていて楽しいですし、どんどん成長します。
そんな人はいずれ独立していって欲しいと思います。

ちなみに独立を目指す人に僕の経験からアドバイスするなら、
「完璧は目指さない」ということですね。
日本は成熟しすぎるあまり、様々なことに厳しくなりすぎています。
完璧を目指すとすごい物は作れません。
僕は誠実ではありたいけれど、完璧はあえて目指さないようにしています。

当たり前のことを当たり前にやらない

今やっていることを、当たり前にやらずに工夫してみてください。
例えば効率をよくしてみるとか、みんなの流れとは逆を行ってみるとかです。

僕自身の受験勉強の記憶を思い返せば、受験勉強の仕方の勉強が
楽しくて仕方が無かったものです。
勉強すること自体も大事ですが、ノウハウを知り楽しんで
工夫するやり方を学ぶ意識も大事です。

決して、当たり前のことを当たり前にやらない。必ず工夫する。
そうやって物事を分析したり、異なった視点で見る訓練を重ねることは、
モノを創る上でのノウハウの蓄積になると思いますよ。