代表取締役社長 信濃 孝喜

株式会社リバークレイン 代表取締役社長 信濃 孝喜

代表取締役社長 信濃 孝喜

株式会社リバークレイン
設立 2002年1月7日
事業内容
    Eコマース事業
  • バイク用品オンラインショップの企画、構築、運営
  • インターネット広告、マーケティング事業
会社HP http://www.rivercrane.com/

オートバイとコンピュータに1万時間以上を割いた学生時代

オートバイに乗るようになったのは大学生の頃。
工学部だったので、周りにはメカ好きやオートバイ好きが多かったことから
興味を持ち、どんどんのめり込んでいったのです。
10人くらいのオートバイのチームを作って、つくばサーキットなどで
ミニバイクの耐久レースなどをよくやっていました。
レース費用を捻出したり、バイク屋さんにサポートをお願いしたり、
いろいろな人と関わりながらマネジメントを学びました。

1990年代後半、インターネットが普及し始めました。
アメリカのホワイトハウスのホームページができた時、それを見て、
「今、世界とつながっているんだ」ということを実感し衝撃を受けましたね。
コンピュータやインターネットに非常に興味を持ち、
自分たちでサーバを作ったりもしていました。

学生時代に、オートバイやコンピュータに携った時間は1万時間以上、
使ったお金は相当額です。
ある本に、
「成功する人は、若い時点でその分野において1万時間以上の訓練を積んでいる」
ということが書かれていました。
“1万時間”は成功への一つのキーワードなのです。

“好き”で“得意”なものを組み合わせて起業

学生時代から起業しようと思っていたものの、何をするかは決めていませんでした。
そして、大学院を修了して就職し、SEになりました。
システム関連の技術を身につければ、必ず起業に役立つだろうと思ったからです。

2000年はインターネットが普及しはじめていて、
アマゾンが日本に上陸し、楽天がジャスダックに上場した年。
インターネットビジネスをすれば必ず大きくなる、ネット通販のマーケットは
非常に大きくなるだろうと考えました。
その中で勝っていくには、自分が好きなことをできるようにすれば、
マーケットも可能性も広がるだろうと思ったのです。

そして、3年弱勤めて退職し、28歳で起業。
インターネットを使ってオートバイのEC事業を始めました。
自分が大好きで得意なものを組み合わせて起業したのです。

学生時代のバイク仲間と2人で創業。
資本金3万円の合資会社を作りました。
家賃5万円の2Kのアパートを2人で借りて住み、
バイク屋さんの建物の一部を間借りして、机1台・パソコン1台で始めました。

お金もなし、経験もない、取引先もない。
ないない尽くしですが、気合と根性だけはありました。
失うものもないし、「死ななきゃいいや」と思っていましたね。

成功の秘訣は「仕事を好きになる」「10年続けられる仕事をする」

私は、起業してから10年間、好きなことばかりしています。
24時間365日、仕事のことばかり考えています。
それができるのは、好きなことだから。
途中で「辞めよう」とか「辛い」などとは思いませんでした。
今でも仕事はおもしろいですよ。

学生のみなさんも、一流になって成功したいなら、
重要なのは、「仕事自体を好きになること」。
または「10年続けられる仕事をすること」です。
私の知っている限りでも、10年、頑張り続けられる経営者は確実に成功していますね。
それは大変難しいことなので、なかなかいないのですが。

ポイントは、10年続けられるかどうか。それをどうやって見出すか。
逆に、10年続けていれば、何かしら好きなものが見つかりますよ。

「好きなことがわからない」「好きな仕事しかやれない」という人も多いと思います。
でも、仕事を通して自分が成長したら、好きなものやできることが
増えて変わっていくかもしれません。
それを、「好きじゃないからやらない」とやらずにいたら、
いつまで経ってもできないという、負のサイクルに陥ってしまいます。

自分が成長することを見越して、好きかどうかわからなくても
とにかくやってみれば、必ず成長します。
成長する機会を自分で奪ってしまって、なんとなく自分探しをしていては、
好きなこと、やりたいことは永遠に見つかりませんよ。
学生のうちは、できる範囲はたいしたことないのですから、
今の小さな自分で“自分”を判断するのはやめましょう。

「ライフイズワーク」で自分のアイデンティティを確立

若いうちは「ワークライフバランス」は必要ありません。
仕事と生活を両立させていたら勝てないから、
「ワークワークワーク」でないと。
私は、仕事に全力を注いでこそ、
自分のアイデンティティを確立できるのだと思っています。
「プライベートを充実させるために仕事をする」という考え方もありますが、
それではビジネスマンとして誇りを持てるようになるのは難しいでしょう。
「自分が何者であるか」という問いに応えられるのは、
1日の8割以上の時間を使う仕事であるべきだと思います。

理想は、「ライフイズワーク」。
自分の基礎を作る時期は、ひたすら仕事。
そして、家族ができたら、個人から家庭人として、
そして、市民、日本人、アジア人として自分がどういう役割を担うか、
少しずつ考えてバランスを取っていけるといいですね。

そして、30歳になった時には一人前になっていてほしいです。
私にとっての一人前の定義は、「受け取るものより与えるものの方が多い」こと。
学生のうちは、親や社会から受け取っている方が多いと思いますが。

日本の就労人口は約6千万人で、残りの人は、
働いている人の支えによって生きています。
一人前にならなければ、子どもやお年寄りを支えることができず、
社会が成り立ちません。
30歳の時には、そのように社会での役割を考えて働けるようになっていてほしいですね。

オートバイ関連事業で世界一になりたい

私は、事業をやるために会社を作ったのではありません。
自分のアイデンティティのもとになるような、
誇りに思える共同体を作りたかったのです。

とはいえ、事業なので利益がないと大きくなりません。
ビジネスマンとしては、「オートバイ関連事業で世界一になりたい」
という情熱を持っています。
二輪用品のECでは、当社が日本でNo.1。
世界でも5位以内に入ると思います。
また、今後は、ECだけではなく、オートバイに関すること全てを
提供できるようにしていきたいです。

オートバイ業界は、1980年代には国内の年間出荷台数が320万台だったのが、
今は38万台と落ち込んでいます。
一方、海外では、年間約5千万台が出荷され、
そのうち2300万台は日本メーカーが製造したもの。
日本のバイク業界は世界一なのです。
自動車とは比較にならないくらい、世界中に日本のバイクメーカーのファンがいます。
日本が世界に誇る最強のコンテンツは、
漫画やアニメよりもバイクが圧倒的だと思います。

今後は海外ビジネスも広げていきたいので、
英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語のサイトを作り、
海外向けの販売もしています。
グローバル展開をし、それを日本に還流して、
日本のユーザーを盛り上げたいと思っています。
当社は、それができる立ち位置にいるのです。

日本の最強コンテンツ=オートバイで世界一のプラットフォームを作る

また、ハード面だけではなく、
オートバイの新しい遊び方・楽しみ方をもっと作っていきたいです。
インターネットは、これからはソーシャルの流れが
非常に盛り上がっていくのが見えていますから、
ソーシャル化、グローバル化の中で、世界最強の日本のオートバイを活かして、
世界一のプラットフォームを作るのが、今後の大きな戦略です。

また、オートバイの全日本選手権に当社がメインスポンサーでチームを持っていて、
15歳のライダーを世界チャンピオンにしようと支援しています。
世界中で二輪のレースは非常に人気があり、
ヨーロッパではゴルフ選手より地位が高いくらいです。
でも、選手が乗っているのは日本のオートバイなのです。
日本でも、もっと盛り上げていきたいですね。

“不景気”ではなく、成功の可能性を秘めたチャンスの時代

今は不景気だといわれていますが、
そうではなく社会構造が大きく変革している時期なのです。
だから、その変革にうまく乗れば大きく成功する可能性がある、
チャンスの時代ということです。

インターネット、グローバル、ソーシャルなど、
今までになかったものが登場し、昔とは違う世界になろうとしています。
その中で変化をつかんだ者にとっては、ビッグチャンスの時代。

学生のみなさんは、先進国の日本に生まれ、
今、この時代に20代を迎えることは、大きなアドバンテージです。
体力も能力もあって、何でもやれるということを活かして、
どんどんチャレンジしてほしいですね。