代表取締役 池永 和義

株式会社エー・シー・トランスポート 代表取締役 池永 和義

代表取締役 池永 和義

株式会社エー・シー・トランスポート
設立 2002年1月
事業内容
  • 貸切便
会社HP http://www.ac2002.co.jp/

吸収合併された会社を飛び出し、29歳で起業

起業しようと思ったきっかけは、勤めていた運送会社が吸収合併されたことでした。
吸収された側としてはどうしても馴染みづらい部分もあり、
母体が大きくなったことで小回りが利かなくなり、お客様への対応も鈍くなっていきました。

それでまあ、自分でやってみようかと考えるようになったんですね。
最初は自分に出来るのか相当悩みましたが、会社の同僚と2人で
「とにかくやろう!」と、半ば勢いで始めたのです。
それが29歳のときでした。

食うために何でもやった1年目

起業して最初のうちは、もとの会社に頭を下げて仕事を頂いたりもしましたが、
それでも仕事がない日々が続いていました。
なので、運送以外の仕事もいろいろやりましたよ。
解体の仕事があると聞けばその現場に行きましたし、
下水道に光ケーブルを取り付ける仕事をしたりと、
とにかく従業員を食わせていかなきゃいけないから、
運送以外の仕事だって何でもやりました。

本業の運送に関しては、資金もたいしてあるわけではなかったので、
仕事仲間から乗らなくなった中古のトラックを20万とか30万で譲ってもらって開始しました。
一番最初に買った車なんてエアコンが壊れていて、
夏場は運転手が暑さでどうしようもないというので、
食品を運ぶために積んでいたドライアイスを運転席に持ち込んで涼んでいた、なんてこともありました。
それを聞いたときにはさすがに、「お前窓あけないと死ぬぞ!」って怒鳴りましたね(笑)
今でも忘れられない思い出です。
運送の免許の申請がおりるまでの1年間は、
「従業員を食わすため」その一心だけで働いていました。

立て続けに不幸に見舞われ

そうして何とか運送の仕事が出来るようになった矢先、
運転手が大型トラックに追突されて亡くなるという事故が起きてしまいました。
朝方にいきなり「おたくの社員が事故にあって・・・」と
警察から電話が掛かってきたときは本当に驚いたし、信じられませんでした。
大切な仲間の死と直面し、初めてこのまま会社を続けていっていいのかどうか真剣に悩みました。

そしてさらにその翌年には、信号無視した子供を、今度は会社のトラックがはねてしまう事故が起きたのです。
そのときは本当に、「どうなってしまうんだ…」と途方にくれました。

いくら信号無視といっても、相手方のご家族からは当然厳しい言葉もかけられますから、
それは本当に辛かったです。
しかも信号無視というのは立証が難しく、結局は会社の過失は2割と判断されましたが、
結論が出るのにも1年近く掛かりました。
それがきちんと立証されなければ運送業は続けていけなかったわけですから、
会社としても、生きるか死ぬかの激動な期間でした。

事業としては順調に伸びながらもそうした悲劇が続いたことで、
会社の存続自体どうしようかとも考えました。
でもそれでも辞めなかったのは、
従業員を路頭に迷わせる訳にはいかないという、本当にその気持ちひとつでした。

「ドライバーさん」という付加価値

当社は精密機器をはじめとした運送サービスだけではなく、
事務所移転に関しての引っ越し業も行っております。

個人宅の引っ越しはそう多く行うことではないですが、
企業は規模が大きくなるたびに何度も移転するものです。
多いところでは、年に2回移転することもあるくらいですからね。
そこで当社では、マニュアルには載っていない、“心からのサービス”を
常に心がけてお手伝いをさせていただいております。
例えば、ほこりのたまった家具や退去する事務所の掃除を行うなど・・・
ほんのちょっとしたことですが、喜んでくださる方も多く、
またそれがキッカケで長いお付き合いをしてくださる方もいらっしゃいます。
実はこれ、ドライバーの質を上げたいという気持ちからやらせていることでもあるのです。
私は「運ちゃん」という呼び方は、なんだか好きになれません。
昔からのイメージなのか、運転手を蔑んで見られる方がいらっしゃるように思えます。
しかしこれからは、「ドライバーさん」と呼ばれるような、運転技術以外にも、
言葉使いをはじめとした、接客の部分でも十分に教育された人間を
育てていきたいと思っているのです。
「ドライバーさん」一人一人が持つ、些細だけど重要な付加価値。
そうしたものが、これからのこの仕事に求められていくものではないかと思うのです。

社会貢献なんて柄じゃないけど

運送の仕事もある程度落ち着いてきた今、じつは新しく始めたことが…。
それは、ペットボトルのキャップを回収し、
その対価で世界の子供たちにワクチンを届けるという活動です。
回収ボックスに集められた中からキャップとそうでないものとを分別する仕事を
障害者施設に依頼し、そのキャップの売却益の一部を施設への作業費として、
そしてその残りで世界の子供たちにワクチンを届ける活動の理事を行っているのです。

社会貢献というと何だか自分の柄ではないのですが、
今までそんなに真面目に生きたわけではなかったので、
そろそろ社会に恩返しをしてもいい時期なのかなと(笑)

本当にありがたいことなのですが、この活動を通してお仕事を頂く機会が増えてきました。
たとえばキャップの回収をさせて頂いているパチンコ店で、
そうした社会貢献度の高い会社にぜひ仕事を頼みたいと新しく仕事を頂けるなど、
皆さまの温かさを改めて感じました。

目に見えるコスト以外の面で会社に強みが生まれ、
さらに世界の子供たちには命をつなぐワクチンを、
そして施設の人たちにもその作業によって
世の中に自分たちが貢献しているという意識を届ける。
こうした素晴らしい循環を生み、届けていくことを
これからの自分たちの仕事にしていきたいと思っています。

挨拶に始まり、挨拶に終わる

私は剣道をやっていたので、人と接するうえで挨拶はとても大切に考えています。
何と言っても剣道というのは、挨拶に始まり挨拶に終わるスポーツですからね。

なので、若い子、特に新卒の場合なんかは、挨拶さえ出来ればいいとさえ私は思っています。
それだけ挨拶は重要なことなのです。
それさえ出来れば、あとは会社がいくらでも育てらますから。

うちの運転手でも、挨拶をしない人間は容赦なく蹴っ飛ばしていますよ(笑)
会社のなかで挨拶できない人間が、お客さんの前で出来るはずがない。
挨拶が出来ない人間は、他人の話にも耳を傾けられないものです。
ですから元気のよい挨拶、これをまず徹底的に身につけて、就活を頑張ってもらいたいですね。