代表取締役社長 博士(理学) 千葉 尚志

ネットレイティングス株式会社 代表取締役社長 博士(理学) 千葉 尚志

代表取締役社長 博士(理学) 千葉 尚志

ネットレイティングス株式会社
設立 1999年5月
事業内容
  • インターネット視聴率・ネット広告統計データ提供
  • アクセスログ解析データ提供とコンサルティング
  • インターネット上の口コミ情報分析サービス
会社HP http://www.netratings.co.jp/

学生時代に専攻していたものは?

私は小学生の頃から宇宙の研究がしたいと思っていました。
そして大学・大学院では理論物理学を専攻しました。
ずっと研究者になろうと思っていたんです。

理論物理の中の1分野である宇宙論を研究していて、
宇宙の成り立ちや現在の宇宙の大規模構造の起源についての研究をしていました。

よく宇宙の研究をしていると言うと、ロケットで宇宙に出て行く
工学的な分野と誤解されましたが、宇宙論の研究というのは大学研究機関以外に
全く就職先はなく、大変限られたものでした。

研究職も数が限られていましたし、
大学教員の職を得るまではポスドク(Post-Doctoral Fellow)という、
1年毎に身分を更新して待機している不安定な状況に少し悲観的になってしまって。
そこで、外に出て全く違う分野で自分を試してみたいと思いました。
その際に物理に関わる分野で取捨選択するのではなく、
広いビジネスのフィールドに出たいと感じたんです。

そしてマッキンゼー・アンド・カンパニーに入りました。

当時、キャリアイメージみたいのはありましたか?

それが正直まったくなかったんです。

とりあえず大学の同期の友人に追い着くには、
マッキンゼーで一気呵成にキャリアを築くのが良いぐらいに思って入社しましたから。

マッキンゼーに入社してまずビックリしたのが、同期も諸先輩方も、
いかにして経営者になるかと考えている人しか居なかったことです。

当時、起業する人が徐々に出始めていた時期でしたが、決して今のように多くはなかった。
ただ当時の同僚と話していくうちに、起業に対してだんだんイメージが沸いていった
ということはありました。

マッキンゼーではいかに「経営者の視点」で物を見られるかを叩き込まれたので、
それはすごく良かったと思います。

いろんな経営者といかにして視点を並べていけるかを、毎日試されクセづけさせられました。

実際経営者になっていかがですか?

マッキンゼーにいた経験から、経営者はどう見るのかと推測する
第三者的な視点はありましたが、自分がいざそうなってみて自己の視点から見ると少し違うんだなというのを感じました。

当社のような規模の会社だと、経営者として戦略的に経営を考えるだけでなく、
いかに日々の仕事の中に自分が入っていってハンズオンでコミットしていくかが求められる。
それは実感として早い段階で痛感しましたね。

今後の展望を聞かせてください。

うちの事業の特性として、いわゆるIT企業とはイメージが違うし、調査会社とも少し違う。
クライアントから調査の設計依頼を受けて実施するいわゆる
アドホック調査というものではなく、自社でパネルを構築して、インターネット視聴率として、
どのサイトに、どの時間に、どの年代が見ているかという情報を蓄えて
提供していくというものです。いわばネット上で“通貨”のような機能を果たし、各サイト・広告出稿スペースの価値を第三者的な公正な基準として提供することを主眼に据えています。
その他にも最近急激に伸びているのが、インターネット上で語られている口コミ情報を収集し、分析するバズメトリクスという分析サービスも提供しています。

ネットレイティングスをインターネット上の活動すべてを評価するような会社として、
確立をしていきたいと考えています。
インターネット上の情報に対して、当社が提供する第三者的な指標が適用されることで、
その価値を測る尺度となり、みなさまがネット上で何の問題もなくビジネスを展開したり、
取引ができる。我々が示す基準が、ネット上の活動を円滑に進めるうえで、
裏方として機能するようになることが1番だと思います。

社長の目標はありますか?

うちの会社は、知性を売り物にしている会社だと思います。
ただ、インターネット上の尺度がこれこれこうですという情報提供にとどまるだけではなく、
社員がお客様のニーズにこたえて、そこに付加価値をつけることが重要ですね。

生活者はこう見て、こう動いているというインサイトを提示していかなければならないと
考えています。

そのためには、今社会で何が起きていて、そのデータにどのような意味があるのか、
深い知見を加味したインサイトをもっと提供していけるようにしたいです。

あとは、今会社が立ち上がってから11年目に入っています。
最初はいけいけドンドンで突っ走ってきましたが、もう次の段階に入らねばなりません。
社員の啓発をして、インナーブランディングをきちんとしていきたいと思っています。
その中で、これまでと違ったアプローチの採用も始めているところです。

会社のメンバーに求めるものは?

ありきたりなものですがやはり熱意が大事です。
それは表層的なものではなく、自分の中に信念がある方ですね。
そしてそれがうちの会社が目指しているものと軌を一にしているかどうか。

第三者基準での尺度の提供という当社の存在価値に対して、理解をしているのか、共感しているのか、コミットしているのか、率先するのか…。

その機軸がズレていないかどうかが重要だと思います。

座右の銘とテーマカラーは?

座右の銘とは少し違いますが、よく意識しているのは人の縁(えにし)ですね。

この仕事をしていてよく思うのですが、以前自分が働いていたマッキンゼーや
博報堂の方々との縁が、今現在すごく宝物になっています。

元々物理を専攻している科学的思考タイプの人間なんですが、
科学では解明できない人の縁を実感しており、日々大事にしていきたいです。

そして悪い面だけでなく良い面に対しても、因果応報ということをすごく感じますね。

テーマカラーは…おそらく青だと思います。
これぞ!というプレゼンの時は青いネクタイをしますし、うちにあるネクタイの6割が青なんですよね(笑)。

就職活動生へのメッセージ

まずは、よく今の日本はダメだとか安直に悲観論を唱える人も多いですが、
若い人たちがそこまで懸念する必要はないと思います。
若いエネルギーを悲観で閉ざしてしまうべきではありません。
現実を正視する必要はありますが。

また学校の勉強は役に立たないと言われることもありますが、
私はあまりそうだとは思いません。
現代のビジネスの流儀はアングロ=サクソン流が席捲しています。
ピューリタニズムに礎を置く実利主義的な価値観が重視される傾向が強いですが、
人間の生活って、利益がすべてではないと思うんです。だからビジネスにおいてすら、
極端な利益重視志向だけでは進まない。ましてや日本においては。

日本には日本の良いビジネスの伝統・慣習、そして学問流儀があると思うのでそれを大切にしてほしい。そのためには、役に立つか立たないかという判断基準のみで、学問の機会を狭めるべきではない。若いうちにしか吸収できないことは多い。それを広く吸収すべきだと思うんです。

私自身も、自分が物理を学んできた思考パターンを毎日使っているんですよね。
あまり最初から間口を狭くして尖るのではなく、もっと広めに構えていろんなことを吸収したほうが良いと思います。